[ワシントン 28日 ロイター] - イエレン米財務長官は28日、第2・四半期の米国内総生産(GDP)縮小が景気減速の兆候であるものの、雇用をはじめ、米経済は引き続き幅広い分野で底堅く推移しているという見解を示した。
朝方発表された第2・四半期の実質GDP速報値は年率換算で前期比0.9%減と、2四半期連続で縮小。2四半期連続のマイナス成長は「テクニカルリセッション」の定義とされる。
イエレン長官は、米連邦準備理事会(FRB)やバイデン政権が40年ぶりの高水準に達しているインフレ抑制に向けた取り組みを続ける中、景気後退(リセッション)突入の可能性を排除しなかった。
同時に、景気後退とは「大規模な雇用の喪失や大規模なレイオフ、企業の倒産、民間部門活動の大幅な減速、家計への圧迫など、広範囲における経済の弱体化」と考えられているとした上で、「現在の状況はそのようなものではない」とし、景気後退が進行しているという見方を否定した。
その上で、第2・四半期のGDP縮小は、変動しやすい民間財の在庫の変動と、政府支出の減少が主な要因だったとし、サービス業を中心とした個人消費の伸びは心強いと指摘。「今回のGDP統計で、経済が持続可能な成長に移行していることが示された」と述べた。
また、経済に関して国民が抱いている懸念の対象は雇用ではなく、物価上昇だとし、エコノミストは経済情勢を巡る「意味論的な戦い」を避ける必要があると指摘。労働市場が極めて引き締まった状態にあることがインフレの一因になっているとし、完全雇用を維持しながら賃金上昇圧力の一部を軽減することはできると述べた。
労働市場以外のインフレ圧力が後退し始めている兆候も出ているとしながらも、こうしたプロセスにどの程度時間がかかるかは分からないと述べた。
イエレン氏は昨年、インフレは「一過性」のもので、供給網の混乱が緩和するにつれて後退するとの見方を示していた。ただ物価上昇に歯止めはかからず、5月末にインフレを巡る予想が「間違っていた」と認めた。
インフレと経済成長が安定するまで財務長官の職に留まるかとの質問に対し、「バイデン大統領が私の仕事を有用と認めてくれる限り、職に留まる」と答えた。
バイデン大統領はこの日のGDP統計を受け、FRBが物価対応を進める中での景気減速は驚くべきことではないとし、「われわれは正しい道を進んでいる。この移行期をより強く、より安全に乗り越えていく」とする声明を発表した。