米国経済は7割を消費が占める。
このため注目される小売売上高の12月分は、期待に反して大幅に悪化した。
米商務省が発表した12月小売売上高は前月比-1.2%と、予想外のマイナスとなった。
価格の下落が影響しガソリンの売り上げが減少し、下落率は2009年9月以降9年ぶりで最大を記録した。
また、国内総生産(GDP)の算出に用いられる自動車・建材・給油・食品を除いたコントロールグループと呼ばれるコアの小売売上高も前月比−1.7%と、2001年9月以降17年ぶり最悪となり、10−12月期のGDPに大きな影響を与える可能性が懸念される。
11月からの株式相場の急落または、政府機関閉鎖の影響が考えられるが、統計の発表がすでに遅れており、修正もないと見られている。
低調な結果を受けて米国経済の先行き見通しが悪化。
各金融機関は10−12月期GDPの成長見通しを下方修正した。
アトランタ連銀は10−12月期GDP見通しを+1.5%と、従来の+2.7%から大幅に引き下げ。
個人消費支出は3.7%ポイントから2.7%ポイントへ低下、在庫投資も0.27%のマイナス寄与度から0.55マイナス寄与度に悪化したと説明した。
ゴールドマンサックスは従来の2.5%から2.0%へ引き下げ。
バークレイズ銀は従来の2.7%から2.1%へ引き下げた。
2018年通年の成長率も当初の3.2%付近から3.0%へ引き下げられている。
28日に発表予定の10−12月期GDP速報値は平均予想が前期比年率で2.6%。
景気後退入りも近いとの警戒感も根強い。
小売り売上高の鈍化が1カ月だけの一時的なものか中期的な基調になるのか今後の指標で判断していくことになる。
小売売上高の低調な結果は米連邦公開市場委員会(FOMC)の当面政策金利を据え置く、辛抱強い方針を後押しする。
現状で、本年の利上げは「ほぼなし」と見られている。
一方で、欧州で最大のドイツ経済はゼロ成長にとどまっている。
米国経済の成長減速が予想されるとはいえ他国の成長ペースは依然上回ると考えられ今後もドルを支援すると見る。