[12日 ロイター] - <為替> 主要6通貨に対するドル指数がおおむね横ばいで推移したほか、円高が進んだ。全般的に夏枯れ相場となる中、様子見ムードが根強かった。
ドル指数 (DXY)は0.1%安の97.390。米中貿易戦争の長期化が米経済に悪影響を及ぼすという懸念から下げが拡大する場面もあった。貿易戦争長期化に伴いマネーの逃避先として円が買われるという思惑から円が対ドルで上昇、0.4%高の105.26円近辺で取引された。
ウエスタンユニオン・ビジネスソリューション(ワシントン)のシニア市場アナリスト、ジョー・マニンボ氏は「貿易戦争が長引けば長引くほど、世界経済への重荷となり、市場心理は悪化する」と述べた。
ポンド/ドル は0.4%高。ユーロ/ドル (EUR=)は0.2%高。
BMOキャピタルマーケッツ(ニューヨーク)の国際為替戦略部長、グレゴリー・アンダーソン氏は「市場は終日とても静かだった。ポンドやユーロがやや値上がりしたが、特に理由はないようだ」と述べ、ショートカバー(ショートポジションの買い戻し)が入った可能性があるとした。
ゴールドマン・サックスは週末の調査リポートで、2020年11月の米大統領選までに米中間で交渉が成立する見込みはないとした上で、10―12月期の米経済成長見通しを引き下げ、景気後退(リセッション)の可能性が高まっていると指摘した。[nL4N2580O2]
今週は中国の小売売上高や鉱工業生産などの指標が注目される。
<債券> 貿易不安のほか香港やアルゼンチンなど世界で政治的緊張が走り、株式相場が軟調に推移する中、国債利回りが低下した。
30年債利回り (US30YT=RR)は9日の2.247%から一時、3年強ぶりの低水準(2.119%)を記録、直近で2.13%。
10年債利回り (US10YT=RR)は9日終盤の1.734%から1.64%に低下した。年初から100ベーシスポイント(bp)超下がっており、8年ぶりの大幅低下となる見通しだ。
2年債利回り (US2YT=RR)は9日の1.63%から1.581%に下がった。
リフィニティブのデータによると、10年債と2年債の利回り差は5.3bpで、少なくとも2010年以来の水準まで縮小した。不安の高まりを映したとみられる。
米中貿易摩擦を巡る懸念が根強かった。香港の抗議活動で国際空港が麻痺するなどしたほか、アルゼンチン大統領選挙予備選で現職マクリ氏の再選が危ぶまれる状況となったことを受け、債券価格が急伸した。[nL4N2582C8] [nL4N2582E9]
アナリストらは、日本やシンガポール、インドなどアジアが休日で、債券価格が大きく上昇したとも指摘した。
FTNファイナンシャルの金利ストラテジストは、なお不安定な状況が懸念されており、株式市場で状況改善の兆しがなければ、国債利回りはレンジの下半分に向かうと予想した。
<株式> 主要株価指数が1%超下落して取引を終えた。長引く米中貿易摩擦を背景に景気後退懸念が高まる中、地政学的な緊張感が投資家の動揺を誘った。
主要3指数は薄商いの中、そろって大幅安。香港の抗議デモ、アルゼンチン大統領予備選での現職マクリ氏敗北、長期化する米中貿易摩擦を巡って市場の不安が続いた。
パフォーマンス・トラスト・キャピタル・パートナーズのトレーディング責任者、ブライアン・バトル氏は、債券の大幅高を受けて株式が売られたとし、「政治的な不透明感を巡る問題が複数あり、安全への逃避が見られた」と述べた。
また、リスク回避から金価格も1%上昇し、6年超ぶりの高値を更新した。
ゴールドマン・サックス (N:GS)のエコノミストらは11日、米中貿易戦争がリセッション(景気後退)につながるリスクが高まっていると指摘。両国は2020年の米大統領選までには通商協議で合意しないとの見方も示した。[nL4N2580O2]
キングスビュー・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ポール・ノルテ氏は、海外要因が米経済成長だけでなく世界的に影響をもたらしていると市場が認識し始めたとし、「金利がどの水準にあろうと貿易問題は緩和しないという事実に投資家は同調しつつある」と述べた。
S&P500の主要11セクターがすべて下落。金融 (SPSY)、素材 (SPLRCM)、エネルギー (SPNY)、一般消費財 (SPLRCD)の下げがきつかった。
動画ストリーミング用機器メーカーのロク(Roku) (O:ROKU)が7.2%高。ニーダムが中型株の「トップピック」として推奨。競合大手ネットフリックス (O:NFLX)より選好するとした。
コーチを傘下に持つタペストリー (N:TPR)とベルサーチの親会社カプリ (N:CPRI)は、それぞれ3.9%と4.4%下落。商品に中国の主権を侵害するデザインがあったとして、相次いで謝罪を表明した。[nL4N25829E]
メディア大手CBS (N:CBS)は1.9%、バイアコム (O:VIAB)は4.9%それぞれ下落。複数の関係筋によると、両社は株式による合併に向け詰めの協議を行っている。[nL4N2582GZ]
<金先物> 米中貿易摩擦激化に対する懸念が強まる中、対ユーロでのドル安を背景に買われ、小反発した。中心限月12月物の清算値は前週末比8.70ドル(0.58%)高の1オンス=1517.20ドル。
トランプ米大統領が9日、中国との貿易協議で「合意する準備ができていない」と述べ、9月上旬に予定されている閣僚級協議の開催が不透明となっていることを示唆した。これを受けて、米中「貿易戦争」に対する警戒感が広がり、週明けの米株式相場は一時300ドル超下落。金に「質への逃避」の買いが入った。
また、外国為替市場では、ドルが対ユーロで下落。ドル建てで取引される金塊などの商品に割安感が生じたことから、金塊が買われた面もあった。
<米原油先物> ドルの対ユーロでの下落に伴う割安感などから買われ、3営業日続伸した。米国産標準油種WTI中心限月9月物の清算値は前週末比0.43ドル(0.79%)高の1バレル=54.93ドル。10月物は0.48ドル高の54.85ドルだった。
ドイツのIFO経済研究所は世界1200人近くの専門家を対象とした調査で、米中貿易戦争の影響などを背景に第3・四半期の現行と期待の景況感指数がともに悪化していると指摘。景気減速が世界のエネルギー需要にも影響を与えるのではないかとの懸念が広がる中、朝方の原油相場は軟調に推移していた。
ただ、クウェートのファディル石油相は12日、同国が石油輸出国機構(OPEC)主導の協調減産を完全に順守していると説明した上で、石油需要が2019年下半期に増加し、緩やかな在庫減少に寄与するとの見方を示した。外国為替市場でドルが対ユーロで下落しドル建てで取引される原油の割安感が強まったこともあり、相場は次第にプラス圏に浮上した。
ドル/円 NY終値 105.29/105.32
始値 105.12
高値 105.43
安値 105.06
ユーロ/ドル NY終値 1.1212/1.1216
始値 1.1196 (EUR=)
高値 1.1230
安値 1.1186
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 102*22.50 2.1276% (US30YT=RR)
前営業日終値 100*02.00 2.2470%
10年債(指標銘柄) 17時05分 99*27.50 1.6403% (US10YT=RR)
前営業日終値 99*00.00 1.7340%
5年債(指標銘柄) 17時05分 101*08.25 1.4862% (US5YT=RR)
前営業日終値 100*28.50 1.5630%
2年債(指標銘柄) 17時05分 100*10.63 1.5776% (US2YT=RR)
前営業日終値 100*07.38 1.6300%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 25897.71 -389.73 -1.48 (DJI)
前営業日終値 26287.44
ナスダック総合 7863.41 -95.73 -1.20 (IXIC)
前営業日終値 7959.14
S&P総合500種 2883.09 -35.56 -1.22 (SPX)
前営業日終値 2918.65
COMEX金 12月限 1517.2 +8.7
前営業日終値 1508.5
COMEX銀 9月限 1707.1 +14.0
前営業日終値 1693.1
北海ブレント 10月限 58.57 +0.04 (LCOc1)
前営業日終値 58.53
米WTI先物 9月限 54.93 +0.43 (CLc1)
前営業日終値 54.50
CRB商品指数 170.6230 ‐1.4680 (TRCCRB)
前営業日終値 172.0910
(※関連情報やアプリは画面右側にある「関連コンテンツ」メニューからご覧ください) OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20190812T222327+0000