[20日 ロイター] - <為替> ドルが再び下落。米国債利回りの低下がドル売りを誘った。景気後退(リセッション)への懸念が根強い中、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が週末にワイオミング州ジャクソンホールで開かれる年次経済シンポジウムでの講演でハト派発言を行うという期待が膨らんだ。
スコシア銀は調査リポートで「パウエル議長講演に向け円ロング(買い持ち)が妥当と考える。議長がハト派発言をすれば米国債利回りは低下しドルもつれ安となる。反対に一段とタカ派となれば安全資産が買われることになる」と予想した。
ドル/円は0.4%安の106.24円。ドル/スイスフランも0.4%安の0.9777フラン。
主要6通貨に対するドル指数 (DXY)は0.2%安の98.166。一時98.40と2週間半ぶりの高値を付ける場面も見られた。
ユーロ/ドル (EUR=)は0.2%高の1.1102ドル。イタリアのコンテ首相は20日、連立政権の一翼を担う右派「同盟」から内閣不信任案が提出されたことを受け、辞意を表明した。[nL4N25G39I]
ポンド/ドル は0.3%安の1.2170ドル。対ユーロ (EURGBP=) (EURGBP=D3)では0.1%安の91.20ペンス。欧州連合(EU)は20日、ジョンソン英首相が求めるEU離脱協定案の再交渉に応じない姿勢を鮮明にした。協定案の争点とされるアイルランド国境問題の解決策 「バックストップ(安全策)」を巡り、英国が「現実的な代替策」を提示していないと批判した。[nL4N25G3IP]
<債券> 国債利回りが低下。中銀による緩和期待の高まりが債券需要を押し上げたほか、イタリア政局や英国の欧州連合(EU)離脱を巡る懸念が安全資産への買いを後押しした。
投資家は来月の米連邦公開市場委員会(FOMC)や欧州中央銀行(ECB)理事会に注目しており、成長鈍化を理由に利下げを決定すると見込まれている。
今週は21日に7月30─31日の米FOMC議事要旨発表を控えるほか、23日にはパウエル議長がジャクソンホールで開かれる年次経済シンポジウムで講演する予定で、9月利下げの可能性について方向性を示すと見込まれている。
CMEグループのフェドウオッチによると、金利先物市場が織り込む9月利下げ確率は100%。
米指標10年債利回り (US10YT=RR)は前日終盤の1.598%から1.556%に低下。10年債と2年債の金利差は6ベーシスポイント(bp)から4bpに低下した。
この日はイタリア連立政権崩壊への懸念や合意なき英EU離脱に対する不安感も安全資産の追い風となった。
イタリアのコンテ首相は20日、連立政権の一翼を担う右派「同盟」から内閣不信任案が提出されたことを受け、辞意を表明。これを受け、発足から1年2カ月しか経っていない連立政権が崩壊し、今秋にも予定より3年半前倒しで総選挙が実施される可能性が高まった。[nL4N25G39I]
<株式> 下落。ダウ平均株価 (DJI)は173ドル値下がりして終了した。金融株が売られたことが重しとなった。市場ではFRBのパウエル議長が23日にジャクソンホールの年次経済シンポジウムで行う講演が注目されている。
S&P500金融株指数 (SPSY)は1.4%安。先週は長短金利の逆転(逆イールド)から景気後退懸念が広がり株式相場は大幅に値下がりしたものの、その後は買い戻しが継続し、前日までにほぼ下げを取り戻した。S&P総合500種指数 (SPX)は足元、終値での最高値まで4.1%の水準。
パウエル議長の講演では、金融政策の行方に関して何らかの手掛かりが示されるのか注目される。また同様の理由から21日発表のFOMC議事要旨にも関心が集まる。
トランプ米大統領は20日、政府が減税の可能性を検討していることを明らかにした。同時に、現時点で何らかの措置を実施するという意味ではないとも強調。さらに、給与税の減税についても、常に検討していると述べた。[nL4N25G3LY]
個別銘柄では動画配信のネットフリックス (O:NFLX)が3.4%安。娯楽大手ウォルト・ディズニー (N:DIS)が新動画配信サービス「ディズニー・プラス」を米国と同じく11月12日にカナダとオランダでも開始すると発表した。[nL4N25F51D]
フェイスブック (O:FB)は1.3%安。同社がターゲット広告向上のためにウェブサイトやアプリと共有している閲覧履歴などの情報について、ユーザーが管理できるよう指針を変更したと発表。[nL4N25G3JW]
ホームセンター大手のホーム・デポ (N:HD)は4.4%高。第2・四半期(8月4日まで)の調整後利益が市場予想を上回った。堅調な国内消費や安定的な住宅環境の継続が寄与した。[nL4N25G34W]
<金先物> 対ユーロでのドル安を背景に買われ、3営業日ぶりに反発した。12月物の清算値は前日比4.10ドル(0.27%)高の1オンス=1515.70ドル。外国為替市場では、対ユーロでドルが下落。ドル建てで取引される金塊などの商品に割安感が生じ、金が買われた。米追加利下げ観測も引き続き、金利を生まない資産である金の支援材料。
ただ、翌21日に発表を控える7月30、31日両日のFOMC議事要旨や週末のパウエルFRB議長の講演を控えて様子見ムードも広がり、相場の値動きは限定的だった。
<米原油先物> 需要減速懸念が重しとなり一時、売りが先行したものの、ドル安に伴う割安感などを 背景に買い戻され、まちまちとなった。米国産標準油種WTIの中心限月9月物の清算値は前日比0.13ドル(0.23%)高の1バレル=56.34ドル。10月物の清算値は0.01ドル安の56.13ドルだった。
相場は午前に一時55.28ドルまで下落。中東の地政学的リスクの高まりを警戒した 前日の買いの流れが一服し、米株安などを眺めて売りが先行した。ただ、売り一巡後は、外国為替市場でドルが対ユーロで下落し、ドル建てで取引される原油などの商品に割安感が生じたことが買い戻しを後押しし、前日清算値近辺に値を戻した。
中国人民銀行(中央銀行)が20日に新たな金利決定メカニズムを導入し、「実質的な利下げ」(市場関係者)に踏み切るなど、主要国による景気浮揚に向けた動きを受けて、 過度の景気減速懸念がひとまず和らぎ、エネルギー需要の先行き不安は抑えられた。
市場の次の注目材料は、20日夕と21日午前に発表される官民の米在庫週報。ロイター調査によると、16日までの1週間の米原油在庫は前週比190万バレルの取り崩しとなったもよう。ガソリン在庫、ディスティレート(留出油)在庫はそれぞれ20万バレル増、30万バレル増と、小幅な積み増しが見込まれている。
ドル/円 NY終値 106.22/106.24
始値 106.31
高値 106.44
安値 106.19
ユーロ/ドル NY終値 1.1099/1.1102
始値 1.1080 (EUR=)
高値 1.1106
安値 1.1067
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 104*25.00 2.0361% (US30YT=RR)
前営業日終値 103*21.00 2.0850%
10年債(指標銘柄) 17時05分 100*21.50 1.5521% (US10YT=RR)
前営業日終値 100*08.00 1.5980%
5年債(指標銘柄) 17時05分 101*17.00 1.4280% (US5YT=RR)
前営業日終値 101*11.50 1.4640%
2年債(指標銘柄) 17時05分 100*14.63 1.5103% (US2YT=RR)
前営業日終値 100*13.00 1.5370%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 25962.44 -173.35 -0.66 (DJI)
前営業日終値 26135.79
ナスダック総合 7948.56 -54.25 -0.68 (IXIC)
前営業日終値 8002.81
S&P総合500種 2900.51 -23.14 -0.79 (SPX)
前営業日終値 2923.65
COMEX金 12月限 1515.7 +4.1
前営業日終値 1511.6
COMEX銀 9月限 1714.8 +20.8
前営業日終値 1694.0
北海ブレント 10月限 60.03 +0.29 (LCOc1)
前営業日終値 59.74
米WTI先物 9月限 56.34 +0.13 (CLc1)
前営業日終値 56.21
CRB商品指数 170.8950 +0.1178 (TRCCRB)
前営業日終値 170.7772
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