[27日 ロイター] - <為替> ドルが下落。米中貿易戦争を巡る警戒感が再び高まる中、安全資産とされる円などが買われた。米債市場では長短金利の逆転が一段と進行した。
前日はトランプ米大統領が中国から通商交渉再開に向けた申し入れがあったことを明らかにし、通商協議を再開する方針を表明。これを受けてリスク選好度が高まっていたものの、中国外務省の報道官がこの日、中国と米国が最近電話協議をしたという話は聞いていないと改めて表明したことを受けて、警戒感が広がった。[nL3N25N1YR]
円は対ドルで0.34%高の105.75円。米中貿易摩擦がエスカレートする中、円は対ドルで年初来3.45%上昇している。
ユーロ/ドル (EUR=)は小幅下落し、1.1090ドル。ただ、イタリアで新連立政権が誕生するとの期待からイタリア株が上昇する中、ユーロは下げ幅を縮小した。
ポンド/ドルは0.6%高の1.2288ドル。対ユーロ (EURGBP=)でも0.69%上昇し、90.24ペンスを付けた。英野党・労働党のコービン党首が国内紙インディペンデントに寄稿し、合意なきEU離脱を阻止するため「あらゆる必要な措置」を講じると表明したことが材料視された。[nL3N25N2H0]
<債券> 長短金利の逆転が一段と進行し、2年債と10年債利回りの差が拡大したほか、3カ月物財務省短期証券(Tビル)と10年債の利回り格差は2007年3月以来の大きさとなった。逆転は景気後退入りの予兆とされるため、株式が売られ、安全資産と見なされる国債にさらに買いが入る状態となっている。
終盤の取引で10年債 (US10YT=RR)利回りは5.60ベーシスポイント(bp)低下の1.488%。2年債 (US2YT=RR)利回りは2.00bp低下の1.531%。前日の取引では10年債利回りは1.443%と3年ぶり低水準、2年債利回りは1.449%と17年9月以来の低水準を付けていた。
この日は3カ月物Tビルと10年債の利回りの逆転も一段と進展。リフィニティブのデータによると3カ月物Tビルの利回りが10年債を52bp上回り、差は07年3月以来の大きさとなった。
長短金利の逆転は景気後退懸念のほか、米中貿易戦争を巡る先行き不透明感などを反映。国債に対する需要が増大する中、財務省がこの日に実施した400億ドルの2年債入札には堅調な需要がみられ、最高落札利回りは1.516%と、2年債入札としては17年9月以来の低水準となった。
財務省は28日に410億ドルの5年債と180億ドルの変動率付債、29日に320億ドルの7年債の入札を実施する。
この日発表された米経済指標では、コンファレンス・ボード(CB)の8月の米消費者信頼感指数は135.1と、前月の135.8(修正)からやや低下した。ただ市場予想の129.5ほどは落ち込まなかった。[nL3N25N3QK]
<株式> 下落。ダウ平均株価 (DJI)は120ドル値下がりして取引を終えた。長短金利の逆転が進行する中、景気後退(リセッション)懸念が深まり、金融株などに売りが出た。米中通商協議を巡る不透明感も根強かった。
株価は当初は、トランプ大統領の中国との通商協議再開を巡る発言を受け上昇した前日の流れを受け継いで上向いていたが、中国外務省はこの日、通商問題を巡り中国と米国が最近電話協議をしたという話は聞いていないと表明。[nL3N25M366][nL3N25N1YR]米2年債と米10年債の利回りの逆転が一段と進行したことも重しとなった。
金融株 (SPSY)は0.72%低下。一方、ディフェンシブ銘柄の公益株 (SPLRCU)は0.14%上昇。
S&P総合500種は8月は月初から約4%下落。米中貿易戦争のほか、連邦準備理事会(FRB)の利下げペースを巡る先行き不透明感が重しとなっている。
個別銘柄では製薬大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J) (N:JNJ)が1.44%高。オクラホマ州地裁は前日、不適切な手法で麻薬入り鎮痛剤「オピオイド」を販売し、オピオイド中毒をまん延させた責任があるとして同社に対し5億7210万ドルの制裁金支払いを命じたが、制裁金の額は市場予想を大きく下回った。[nL3N25M4CT]
たばこ大手フィリップ・モリス・インターナショナル (N:PM)は7.76%安。フィリップ・モリスとアルトリア・グループ (N:MO)は株式交換を通じた対等合併に向け協議していると発表した。アルトリアは3.95%安。[nL3N25N3T8]
食品大手JMスマッカー (N:SJM)は8.18%安。第1・四半期(7月31日まで)はペットフードやコーヒーなどの需要低迷が重しとなり、売上高と利益が市場予想を下回ったほか、通気の純売上高および利益見通しも引き下げた。[nL3N25N3NG]
<金先物> 米中貿易協議の再開期待がしぼむ中、買い戻しが入り反発した。中心限月12月物の清算値は前日比14.60ドル(0.95%)高の1オンス=1551.80ドル。これは2013年4月11日(1564.90ドル)以来、約6年4カ月ぶりの高値水準。トランプ大統領が前日、中国政府から貿易協議再開の申し入れがあったと発言したことについて、中国外務省の報道局長が電話をかけたか確認していないと述べたと報じられた。また、ドイツ連邦統計局が27日発表した2019年4─6月期の実質GDP(国内総生産)が3四半期ぶりのマイナス成長になったことも投資家心理を冷やし、安全資産とされる金塊は早朝にかけて小高い水準で推移していた。
さらに、午前に発表された米経済指標で住宅関連の統計が低調だったほか、コンファレンス・ボードがまとめた8月の消費者信頼感指数と期待指数もそれぞれ前月から低下。 国内外の景気減速リスクが改めて意識される中で相場は上げ幅を拡大し、昼ごろには一時1554.50ドルの高値を付けた。
<米原油先物> 米中貿易摩擦をめぐる過度の懸念後退や米原油在庫の減少期待を背景に買いが優勢となり、5営業日ぶりに反発した。米国産標準油種WTIの中心限月10月物の清算値は前日比1.29ドル(2.40%)高の1バレル=54.93ドル。11月物の清算値は1.27ドル高の54.77ドル。
トランプ米大統領は26日、中国政府から貿易協議の再開を申し入れがあったとし、 「中国は合意を強く望んでいる」と協議進展への期待を表明。これを受けて、米中の報復 合戦激化への懸念がひとまず後退した。貿易摩擦の長期化がエネルギー需要に影響すると の警戒感が和らぐ中、最近の下落を受けた値頃感からの買い戻しの動きも加わり、早朝か ら原油買いが先行した。
利益確定の売りや米株価の反落などが下押し要因となり、上げ幅を縮小する場面もあったが、官民の米在庫週報の発表を27日夕、28日午前に控え、原油在庫の取り崩し期待から旺盛な買い戻しが入り、相場は清算値確定間際に一時55.00ドルまで上昇した。ロイター調査によると、23日までの1週間の米原油在庫は前週比210万バレルの減少となったもよう。ガソリン在庫は40万バレル減、ディスティレート(留出油)在庫は90万バレル増と見込まれている。
ドル/円 NY終値 105.72/105.75
始値 105.80
高値 106.06
安値 105.67
ユーロ/ドル NY終値 1.1090/1.1091
始値 1.1106 (EUR=)
高値 1.1109
安値 1.1087
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 106*22.50 1.9534% (US30YT=RR)
前営業日終値 104*22.00 2.0400%
10年債(指標銘柄) 17時05分 101*12.50 1.4744% (US10YT=RR)
前営業日終値 100*24.00 1.5440%
5年債(指標銘柄) 17時05分 101*24.00 1.3811% (US5YT=RR)
前営業日終値 101*16.50 1.4300%
2年債(指標銘柄) 17時02分 100*13.63 1.5244% (US2YT=RR)
前営業日終値 100*12.00 1.5510%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 25777.90 -120.93 -0.47 (DJI)
前営業日終値 25898.83
ナスダック総合 7826.95 -26.79 -0.34 (IXIC)
前営業日終値 7853.74
S&P総合500種 2869.16 -9.22 -0.32 (SPX)
前営業日終値 2878.38
COMEX金 12月限 1551.8 +14.6
前営業日終値 1537.2
COMEX銀 9月限 1815.3 +51.2
前営業日終値 1764.1
北海ブレント 10月限 59.51 +0.81 (LCOc1)
前営業日終値 58.70
米WTI先物 10月限 54.93 +1.29 (CLc1)
前営業日終値 53.64
CRB商品指数 169.7004 +0.7897 (TRCCRB)
前営業日終値 168.9107
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