[11日 ロイター] - <為替> ユーロが対ドルで下落し1週間ぶりの安値を付けた。あすの欧州中央銀行(ECB)理事会では追加緩和策の採択がほぼ確実視されている。[nL3N2610DS]
複数の関係筋によると、理事会では利下げのほか、マイナス金利が銀行に及ぼす影響を軽減するための金利の階層化、および低金利政策の長期的な継続を確約するフォワードガイダンスの強化を含む包括的な刺激策を決定する方向に傾いているという。[nL3N25U3C9]
スコシア銀(トロント)の主任為替ストラテジスト、ショーン・オズボーン氏は「緩和観測がユーロの下押し要因となったが、大幅な緩和が打ち出されるかどうかは定かでない。あすの理事会後にユーロが値を戻す可能性もある」と述べた。
ユーロ/ドル (EUR=)は0.34%安の1.1006ドル。
円相場は値下がりし、8月1日以来の安値を付けた。中国が一部の米国製品を追加関税対象から除外すると発表したことが材料となった。トランプ大統領はこれについて「大きな動き」だとして歓迎する意向を表明した。[nL3N2623F4]
ドル/円は0.22%高の107.77円。
ポンド/ドルは0.19%安の1.2323ドル。スコットランドの裁判所は11日、ジョンソン英首相が来月中旬まで議会を閉会したことについて、違法だという判断を示した。[nL3N2622ZV]
経済指標では、8月の卸売物価指数(PPI)が総合ベースで前月比プラス0.1%と、市場予想の横ばいに反して上昇した。ただし米連邦準備理事会(FRB)が来週の連邦公開市場委員会(FOMC)で、景気減速に対処するため追加利下げを行うという見方に変わりはないという。[nL3N2622WK]
<債券> 国債利回りがユーロ圏国債に追随して3日連続で上昇した。欧州中央銀行(ECB)が12日に開く理事会は、大幅な緩和が打ち出されるか不透明な状況だ。
利回りは米10年債と2年債が5週間ぶり水準に上昇。30年債は4週間ぶり水準に上げた。ユーロ圏では大半の10年債利回りが、このところの高水準付近にある。
アナリストは、ECBが量的緩和策の導入を遅らせるという10日の報道がユーロ債の売りにつながったと指摘。
ジェフリーズの金融市場エコノミスト、トム・シモンズ氏は、ECBが大胆な緩和策を導入しない場合、「算段がやや変わってくる。神経質な見方が強まり、かなりのポジション減らしが出ている」と述べた。
ロイターがエコノミスト70人近くを対象に実施した調査では、大多数が10ベーシスポイント(bp)幅の利下げを予想し、20bp幅の利下げ予想も4分の1近くに達した。[nL3N25V0AK]
中国財政省が11日、米国からの輸入品に対する追加報復関税について16品目を免除の対象とすると発表したことも、利回り押し上げにつながった。[nL3N2621LV]
エバーコアISIの債券ストラテジスト、スタン・シップリー氏は「リセッション(景気後退)に陥りつつあるとのセンチメントは急速に衰えつつある」と指摘した。
トランプ米大統領はこの日、FRBに対し政策金利をマイナス圏まで引き下げるよう要求。ツイッターへの投稿で、マイナス金利政策は政府の債務費節減に貢献するなどと指摘した。[nL3N2622ZB]
シップリー氏はこれについて、FRBが取る政策ではないとし、「ゼロ金利やマイナス金利はリセッション時に取るべきもので、トランプ氏が最後に求める政策だ」と述べた。
午後の取引で、10年債利回り (US10YT=RR)は前日終盤の1.702%から1.74%に上昇。一時は5週間ぶり水準の1.752%を付けた。
30年債利回り (US30YT=RR)は前日の2.181%から2.217%に上昇。一時、4週間ぶり水準の2.233%を付けた。
2年債利回り (US2YT=RR)も1.676%と、前日の1.664%から上昇。一時は5週間ぶり水準の1.686%まで上げた。
<株式> 上昇して取引を終了。中国が対米報復関税の対象から一部の製品を免除すると発表したことが好感され、関税の動きに敏感なハイテク株や工業株の買いが膨らんだ。S&P総合500種は7月30日以来、初めて3000を上回って終了した。
アップル (O:AAPL)が3.2%上昇し、S&P総合500種とナスダック総合の上昇をけん引。時価総額は1兆ドルを回復した。アップルは前日、新型の「iPhone11」シリーズ3種類を発表。動画配信サービス「アップルTV+(プラス)」を11月1日に開始することも明らかにした。価格は月額4.99ドルと、競合他社を下回る水準に設定した。[nL3N2613UB]
このほかボーイング (N:BA)が3.6%上昇し、ダウの上昇をけん引した。
中国財政省はこの日、米国からの輸入品に対する追加報復関税について、16品目を免除の対象とすると声明で発表。乳清(ホエイ)やフィッシュミールなどの飼料や一部の抗がん剤、潤滑油などが含まれ、9月17日から来年9月16日までの1年間適用される。[nL3N2621LV]
インバーネス・カウンセル(ニューヨーク)の主席投資ストラテジスト、ティム・グリスキー氏は「米中の動きは交渉上の戦略に過ぎないと市場では受け止められている」と指摘。「毎日のように振れが見られるが、現時点では妥当な時間枠の中で合意が得られる公算が高いとの観測に振れている」と述べた。
連邦準備理事会(FRB)は17ー18日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開くが、トランプ大統領はこの日、ツイッターに「FRBは政策金利をゼロ%、もしくはこれを下回る水準に引き下げる必要がある」と投稿し、利下げに向け改めて圧力を掛けた。
ナショナル証券(ニューヨーク)の主席市場ストラテジスト、アート・ホーガン氏は「日銀と欧州中央銀行(ECB)が行った実験で、マイナス金利政策には瑕疵があることが確認された。米国はいかなる代償を払ってもこれを回避する必要がある」と述べた。
FRBは7月30─31日に開いたFOMCで、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を2.00─2.25%に25ベーシスポイント(bp)引き下げることを決定。[nL4N24W51E]今月のFOMCでも25bpの利下げを決定するとの見方が大勢となっている。
個別銘柄では、マイクロン・テクノロジー (O:MU)が2.2%高。ロングボウ・リサーチが投資判断を「バイ」に引き上げたことが好感された。
石油サービスのベーカー・ヒューズ (N:BHGE)は7.5%安。親会社のゼネラル・エレクトリック(GE) (N:GE)が株式30億ドルを売却すると伝わったことが嫌気された。
<金先物> 米欧中銀が一段の金融緩和に動くとの期待などを背景に買いが入り、5営業日ぶりに反発した。中心限月12月物の清算値は前日比4.00ドル(0.27%)高の1オンス=1503.20ドル。
相場は前日、中心限月の清算値ベースで約1カ月ぶりに心理的な節目である1500ドルを割り込んだ。この日は前日の反動による安値拾いに加え、欧州中央銀行(ECB)、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策会合を控えて、両中銀が一段の金融緩和に動くとの期待が金利を生まない資産である金塊の支援要因になった。
ただ、米中貿易協議の進展期待や過度の景気減速懸念の後退などを背景にリスク投資意欲の改善が続く中、資金の安全な逃避先としての金需要は細っていもよう。金の上値は限定的で、相場は朝方、マイナス圏に沈む場面もあった。
<米原油先物> トランプ米政権による対イラン制裁の緩和観測などが重しとなり、続落した。米国産標準油種WTIの中心限月10月物の清算値は、前日比1.65ドル(2.87%)安の1バレル=55.75ドル。11月物は1.62ドル安の55.67ドルだった。
米エネルギー情報局(EIA)が11日午前に発表した統計によると、6日までの1週間の国内原油在庫は前週比690万バレル減少。10日夕の米石油協会(API)週報が示した720万バレル減に近い取り崩しの規模となり、市場予想(270万バレル減=ロイター通信調べ)に比べて大幅なマイナスだった。
ただ、同統計の発表後は需給の緩みに対する警戒感が強まり、相場はマイナス圏に転落。トランプ米大統領がイランに対する制裁緩和に言及したとの一部報道がきっかけとなったもよう。トランプ氏は10日、対イラン強硬派のボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)の更迭を発表していた。
また、石油輸出国機構(OPEC)が11日に公表した月報で、2019年および20年の世界石油需要の増加見通しを下方修正したことも弱材料。10日にはEIAが月次短期エネルギー見通しで、19年の世界石油需要の増加見通しを引き下げていた。
ドル/円 NY終値 107.81/107.84
始値 107.66
高値 107.85
安値 107.64
ユーロ/ドル NY終値 1.1009/1.1011
始値 1.1007 (EUR=)
高値 1.1013
安値 1.0986
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 100*16.50 2.2263% (US30YT=RR)
前営業日終値 101*16.00 2.1810%
10年債(指標銘柄) 17時05分 98*29.00 1.7455% (US10YT=RR)
前営業日終値 99*09.50 1.7020%
5年債(指標銘柄) 17時05分 98*11.00 1.5981% (US5YT=RR)
前営業日終値 98*16.00 1.5650%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*21.13 1.6762% (US2YT=RR)
前営業日終値 99*21.88 1.6640%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 27137.04 +227.61 +0.85 (DJI)
前営業日終値 26909.43
ナスダック総合 8169.68 +85.52 +1.06 (IXIC)
前営業日終値 8084.16
S&P総合500種 3000.93 +21.54 +0.72 (SPX)
前営業日終値 2979.39
COMEX金 12月限 1503.2 +4.0
前営業日終値 1499.2
COMEX銀 12月限 1817.0 ‐1.6
前営業日終値 1818.6
北海ブレント 11月限 60.81 ‐1.57 (LCOc1)
前営業日終値 62.38
米WTI先物 10月限 55.75 ‐1.65 (CLc1)
前営業日終値 57.40
CRB商品指数 173.7265 ‐1.2130 (TRCCRB)
前営業日終値 174.9395 OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20190911T222803+0000