[9日 ロイター] - <為替> 終盤のニューヨーク外為市場では、ドルが対円で1週間ぶりの高値に上昇した。中国が米国との部分的な通商合意を依然として受け入れる用意があるとのブルームバーグ報道を受け、米中貿易摩擦が友好的に解消されるとの期待感が高まった。
前日には米国務省が、新疆ウイグル自治区のイスラム教徒への弾圧や虐待などを理由に中国政府や共産党の当局者に対するビザ発給を制限すると発表したことを受け、通商面での緊張が再燃していた。
また英フィナンシャル・タイムズ紙(FT)は、中国政府が米中貿易摩擦の解消に向け、米農産物の年間購入を拡大することを提案すると報じた。
中国の劉鶴副首相は、米中通商協議のため10─11日にワシントンを訪問する予定。
OANDAのシニア通貨アナリスト、アルフォンソ・エスパルザ氏は「リスク選好が確かに存続している」と述べた。
ドルは安全資産である円に対し0.43%高の107.53円。対スイスフランでは0.3%上昇した。
一方、米中通商協議を巡る楽観的な見方に警戒する声も出ている。
スコシアバンクのチーフ市場ストラテジスト、ショーン・オズボーン氏は、トランプ政権による中国当局者へのビザ規制や禁輸リストへの中国ハイテク企業の追加、米年金基金による中国への投資制限などについて、中国側の反応がまだないことを考慮すると通商協議に好影響を与えているとは言えないと述べた。
ドル指数 (DXY)はほぼ横ばいだった。
ポンドは序盤の上げ幅を縮小。タイムズ紙の記者が、英国の欧州連合(EU)離脱交渉で、EUが大きな譲歩に同意する用意があると報じたが、英政権に閣外協力する北アイルランドの地域政党、民主統一党(DUP)が反対する意向を示した。
ポンドは対ドルで0.05%安の1.2211ドル。一時1.229ドルまで上昇した。
<債券> 利回りが上昇した。ワシントンで10日から始まる閣僚級の米中通商協議に楽観論が広がった。
また、財務省はこの日、240億ドルの米10年債(リオープン)入札が実施。10日には160億ドルの30年債(同)入札も予定されている。
10年債利回り (US10YT=RR)は4.5ベーシスポイント(bp)上昇の1.584%。この日の入札への需要はやや軟調。応札倍率は2.43倍と、このところの平均付近だった。海外中銀など間接入札者による落札比率は58.5%と、リオープンでは1月以来の低水準だった。
30年債利回り (US30YT=RR)は明日の入札を控え4bp上昇した。
ブルームバーグはこの日、米中協議に詳しい当局者の話として、中国が米国との部分的な通商合意を依然として受け入れる用意があると報じた。これも利回り押し上げにつながった可能性がある。
また英フィナンシャル・タイムズ紙(FT)は、中国政府が米中貿易摩擦の解消に向け、米農産物の年間購入を拡大することを提案すると報じた。
ただ、米中協議の進展が債券市場に与える影響については懐疑的な見方もある。
マニュライフ・インベストメント・マネジメントのシニア債券トレーダー、マイケル・ロリジオ氏は「進展や変化の兆しを見るのは本当に難しい。なぜなら、大きなニュースは無視したくはないが、同時にそれぞれが同じことを伝えているようにも思える。つまり、双方が何か進展していると考えようとし、何かが起きる可能性があると促されているためだ」と述べた。
米連邦準備理事会(FRB)がこの日公表した9月17─18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨では、大半のFOMCメンバーが9月利下げの必要性を支持したものの、金融政策の道筋については依然として意見が分かれていることが示された。
<株式> 上昇して終了した。米中通商協議が進展するとの期待が株価の押し上げ要因となった。ただ、取引終盤に中国政府が今週の対米交渉での大きな進展に対する期待値を下げていると伝わったことで、株価は上げ幅を縮小した。
中国政府高官らは、米政府が今週、中国の28団体・企業を事実上の禁輸リストに追加したことで信頼感が損なわれたとし、今週の協議での大きな進展に対する期待値を下げていると明らかにした。
序盤には、中国が部分的な合意を依然として受け入れる用意があるとのブルームバーグの報道が相場を押し上げた。フィナンシャル・タイムズも、中国が米農産物の年間購入拡大を提案すると報じた。
インバーネス・カウンセルの首席投資ストラテジスト、ティム・グリスキー氏は「部分合意は少なくとも将来のより大幅な合意に道を開く」とした上で、「毎日異なるツイートが出てきて、市場の方向が変わる。きょうは好ましい内容で上昇する日だった」と語った。
米連邦準備理事会(FRB)が公表した9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨では、大半のメンバーが9月利下げの必要性を支持したことが示された。一方、メンバーは貿易摩擦や世界経済の減速などが及ぼすリスクへの不安が高まったとしたが、米経済への影響に関しては異なる見解を示した。
ノバポイントの最高投資責任者ジョセフ・スロカ氏は「(FOMCでの)投票では反対もあったが、金融政策決定が経済指標次第という考えでは全員が一致している」とし、「製造業をはじめ最近のデータは、10月のFOMCで利下げが行われる可能性が十分あることを引き続き示唆するだろう」と述べた。
9日の取引ではS&P500の主要11セクターすべてがプラス圏で引け、情報技術 (SPLRCT)やエネルギー (SPNY)が特に好調だった。
通商問題に敏感な半導体が買われ、フィラデルフィア半導体指数 (SOX)は1.7%高となった。
個別銘柄ではマイクロソフト (O:MSFT)が1.9%高でダウを主導した。
一方、ジョンソン・エンド・ジョンソン (N:JNJ)は2%安。抗精神病薬を巡る訴訟で、陪審が80億ドルの賠償支払いを命じる評決を下したことが重しとなった。
<金先物> 対ユーロでのドル安を背景に買われ、反発した。中心限月12月物の清算値は前日比8.90ドル(0.59%)高の1オンス=1512.80ドル。
外国為替市場では、対ユーロでドル安が進行。ドル建てで取引される金塊などの商品の割安感につながり、金塊の買いを誘った。ただ、米メディアは9日、関係者の話として、中国は米国と貿易協議で部分的合意の可能性をまだ排除していないと報じた。これを受けて、10日からの閣僚級協議の行方をめぐる過度の懸念が後退、安全資産としての金は売られやすく、上値は重かった。
米連邦準備理事会(FRB)は9日、追加利下げを決めた9月17、18両日の連 邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を公表した。参加者は、貿易摩擦や世界経済の減 速などを受け「景気の先行きリスクは7月会合から幾分高まった」と指摘しつつも、利下 げの決定をめぐっては引き続き意見が割れたことが示された。ただ、金相場の反応は限定的だった。
<米原油先物> 米中貿易協議の進展期待や地政学的リスクへの懸念を背景に買いが先行したものの、米原油在庫週報の発表をきっかけに売り込まれ、ほぼ横ばいとなった。米国産標準油種WTIの中心限月11月物の清算値は、前日比0.04ドル(0.08%)安の1バレル=52.59ドル。12月物の清算値は0.01ドル安の52.61ドルだった。
10日からワシントンで開かれる米中の閣僚級貿易協議の行方に注目が集まる中、米ブルームバーグ通信は9日、関係者の話として、中国が米国との部分的合意の可能性をなお排除していないと報じた。これを受けて、協議進展への期待が再び浮上し、リスク投資意欲が改善。米株価が反発し、原油も買われた。
トルコ軍がシリア北部でクルド人勢力に対する軍事作戦を開始し、地政学的リスクへの警戒感が広がったことも買い要因となった。ただ、買い一巡後は米国内の原油供給過剰懸念が重しとなり、朝方の上げ幅を一掃。米エネルギー情報局(EIA)が午前に発表した4日までの1週間の米原油在庫は前週比290万バレル増と、市場予想(ロイター通信調べ)の140万バレル増を上回る積み増しとなった。在庫増加はこれで4週連続。米国内の原油生産は日量1260万バレルに達し、過去最高となった。
ドル/円 NY終値 107.46/107.49
始値 107.35
高値 107.62
安値 107.33
ユーロ/ドル NY終値 1.0969/1.0973
始値 1.0979 (EUR=)
高値 1.0983
安値 1.0968
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 103*20.00 2.0862% (US30YT=RR)
前営業日終値 104*20.00 2.0420%
10年債(指標銘柄) 17時05分 100*11.00 1.5871% (US10YT=RR)
前営業日終値 100*25.00 1.5390%
5年債(指標銘柄) 17時05分 100*14.00 1.4086% (US5YT=RR)
前営業日終値 100*21.75 1.3580%
2年債(指標銘柄) 17時05分 100*01.88 1.4697% (US2YT=RR)
前営業日終値 100*04.63 1.4250%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 26346.01 +181.97 +0.70 (DJI)
前営業日終値 26164.04
ナスダック総合 7903.74 +79.96 +1.02 (IXIC)
前営業日終値 7823.78
S&P総合500種 2919.40 +26.34 +0.91 (SPX)
前営業日終値 2893.06
COMEX金 12月限 1512.8 +8.9
前営業日終値 1503.9
COMEX銀 12月限 1781.0 +11.0
前営業日終値 1770.0
北海ブレント 12月限 58.32 +0.08 (LCOc1)
前営業日終値 58.24
米WTI先物 11月限 52.59 ‐0.04 (CLc1)
前営業日終値 52.63
CRB商品指数 173.0682 ‐0.2520 (TRCCRB)
前営業日終値 173.3202 OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20191009T223327+0000