[16日 ロイター] - <為替> 9月の米小売売上高が低調だったことでドルが幅広い通貨に対して下落した。
商務省が発表した9月の小売売上高は前月比0.3%減と、2月以来7カ月ぶりに落ち込んだ。製造業の弱含みがより広範な経済に波及している懸念が高まり、連邦準備理事会(FRB)の追加利下げの論拠となる可能性がある。[nL3N27133W]
主要6通貨に対するドル指数 (DXY)は0.30%安の97.998。ドルは対円で0.1%、対スイス・フランで0.39%下落するなど、特に他の安全通貨に対し大きく下げた。
米中が前週、通商問題で部分的に合意したことについて市場は当初は好意的に受けとめたが、詳細が明らかにされなかったことで期待はしぼんでいる。
スポット物のオンショア人民元はこの日の取引を1ドル=7.1030元で終了。10月10日以来の安値となった。
ノルウェークローネは1ドル=9.119クローネと、2001年7月以来の安値を更新。原油輸出国であるノルウェーの通貨は、経済を巡る緊張の高まりに敏感に反応する傾向がある。
終盤の取引で英ポンドは対ドルで0.34%高。離脱を巡る欧州連合(EU)との合意に関して相反する情報が錯綜したことで、ポンド相場は翻弄された。[nL3N2713NE]
<債券> 国債利回りが低下。朝方発表された米小売売上高が7カ月ぶりに減少したことを受け、米景気減速を巡る懸念が強まった。[nL3N27133W]
終盤の取引で指標10年債利回り (US10YT=RR)は1.748%に低下した。
市場では、FRBが29─30日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げするとの見方が強い。
シカゴ地区連銀のエバンズ総裁はこの日、低金利環境下ではFRBによる金融政策の効果が制限されるとし、リスクが見られる時には経済に対する緩衝材を提供するために「積極的な」利下げが重要になるとの見解を示した。[nL3N2713MA]
午後に入り公表された地区連銀経済報告(ベージュブック)では、米経済が9月から10月上旬にかけて「わずかから緩やかに」拡大したとの認識が示された。ただ多くの企業から先行きについて低調な見方が示されたとも指摘された。[nL3N2713Q0]
英国とEUの離脱交渉も注目された。英EUが近く合意に達し、英国が無秩序な離脱を回避するとの期待が出ていたものの、複数メディアは同日中の合意はないと報じている。
米中通商交渉の先行きにも関心が集まっている。米下院は前日、香港が高度な自治を維持しているかどうか米政府に毎年検証することを求める「香港人権・民主主義法案」など中国への圧力を強める4つの法案および決議案を可決。中国外務省は香港のデモに関する法案に断固として抗議すると表明し、米議会の議員らに干渉をやめるよう求めた[nL3N2710B7]
<株式> 小幅に反落して取引を終えた。米企業の第3・四半期決算は全体的に堅調だったが、低調な米経済指標と地政学的な緊張感が重しとなった。
マイクロソフト (O:MSFT)が0.8%安となるなど、テクノロジー株が下落。主要3指数全てがマイナス圏で取引を終了した。
米中貿易摩擦を巡っては、前日に米議会下院が香港の抗議デモを支援する法案や決議案を可決したことで不透明感が高まった。[nL3N2710B7]
また、トランプ米大統領は16日、先週発表した中国との「第1段階」の通商合意の書面化に向けた作業が行われているとし、チリで来月開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で中国の習近平国家主席と会談するまでに署名する公算は小さいと述べた。[nL3N2713DG]
金融大手バンク・オブ・アメリカ(バンカメ) (N:BAC)は1.5%上昇。第3・四半期決算は利益が市場予想を上回った。助言手数料や融資が増加し、金利低下による悪影響を相殺した。[nL3N27138J]
ユナイテッド航空 (O:UAL)は2.1%高。四半期決算は利益が市場予想を上回り、今年の業績見通しを引き上げた。
S&Pの主要11セクター中、6セクターが下落。エネルギー (SPNY)とテクノロジー (SPLRCT)の下落率が大きかった。
自動車大手ゼネラル・モーターズ (N:GM)は1.1%高。全米自動車労組(UAW)と新たな労使協定で暫定合意に達し、1カ月にわたって続いたストが終結に近づいた。[nL3N27143J]
動画配信サービス大手ネットフリックス (O:NFLX)は引け後の時間外取引で10%超急伸。夕方に発表した四半期決算を受けた。
<金先物> 香港情勢を巡る米中両国の対立を懸念した買いなどに反発した。中心限月12月物の清算値は前日比10.50ドル(0.7%)高の1オンス=1494.00ドル。
米下院は15日、香港の自治と人権の擁護を目的とする法案を可決し、香港のデモ行動 を支持する方針を明らかにした。米政府が中国の人権問題に踏み込む姿勢を示したことを受け、先週の貿易協議で一定の歩み寄りが実現した米中関係が再び冷え込むのではないかとの懸念が浮上。また、英国のEU離脱期限が月末に迫る中、依然として交渉の成否が見通せない状況が続いていることも金塊買いの手掛かりとなった。さらに、米商務省が16日朝に発表した9月の小売売上高が市場予想を下回る低調な結果となると、相場は上げ幅を拡大。一時1495.50ドルの高値を付け、その後ももみ合いながら高値圏で推移した。
<米原油先物> 石油輸出国機構(OPEC)主導の協調減産が継続されるとの期待などを背景に買い が優勢となり、3営業日ぶりに反発した。米国産標準油種WTI中心限月11月物の清算 値は前日比0.55ドル(1.04%)高の1バレル=53.36ドル。12月物は0. 57ドル高の53.45ドルだった。
OPECのバーキンド事務局長は15日、OPECと非加盟産油国は2020年以降も原油市場の安定維持に努めると強調した。これを受けて、20年3月まで日量120万バレルの協調減産で合意しているOPECとロシアなど非加盟産油国による「OPECプラス」が、12月の会合で一段の減産に踏み込むとの期待も浮上。外国為替市場で、ドルが対ユーロで下落し、ドル建てで取引される原油に割安感が強まったことも買いを後押しし、相場は一時53.74ドルまで上昇した。
一方、国際通貨基金(IMF)は15日に発表した最新の世界経済見通しで、米中貿易摩擦の影響を踏まえ、19年の成長率予想を下方修正。エネルギー需要の減退懸念が台頭して前日は原油売りが優勢となったが、この日は売られ過ぎ感からの買い戻しが活発化したもようだ。
市場の次の注目材料は、米官民が16日夕と翌17日午前に発表する在庫週報。ロイター調査によると、11日までの1週間の米原油在庫は前週比290万バレル増と、5週連続で積み増しとなったもよう。一方、ガソリン在庫は120万バレル減、ディスティレート(留出油)在庫は240万バレル減と、いずれも取り崩しが見込まれている。
ドル/円 NY終値 108.75/108.79
始値 108.72
高値 108.83
安値 108.58
ユーロ/ドル NY終値 1.1070/1.1074
始値 1.1023 (EUR=)
高値 1.1085
安値 1.1023
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 100*15.00 2.2283% (US30YT=RR)
前営業日終値 100*13.50 2.2300%
10年債(指標銘柄) 17時05分 98*29.50 1.7447% (US10YT=RR)
前営業日終値 98*22.50 1.7690%
5年債(指標銘柄) 17時05分 99*21.75 1.5674% (US5YT=RR)
前営業日終値 99*17.25 1.5970%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*26.50 1.5896% (US2YT=RR)
前営業日終値 99*24.50 1.6220%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 27001.98 -22.82 -0.08 (DJI)
前営業日終値 27024.80
ナスダック総合 8124.18 -24.52 -0.30 (IXIC)
前営業日終値 8148.71
S&P総合500種 2989.69 -5.99 -0.20 (SPX)
前営業日終値 2995.68
COMEX金 12月限 1494.0 +10.5
前営業日終値 1483.5
COMEX銀 12月限 1742.7 +4.3
前営業日終値 1738.4
北海ブレント 12月限 59.42 +0.68 (LCOc1)
前営業日終値 58.74
米WTI先物 11月限 53.36 +0.55 (CLc1)
前営業日終値 52.81
CRB商品指数 174.9753 +0.2260 (TRCCRB)
前営業日終値 174.7493 OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20191016T222202+0000