[17日 ロイター] - <為替> ドルが上昇。対ユーロでは1週間ぶり高値を付けた。ここ数日発表の米経済指標が軒並み堅調な内容となったことを受け、景気減速が差し迫っているとの懸念が後退した。
朝方発表された昨年12月の米住宅着工件数は前月比16.9%増の160万8000戸と、2006年12月以来13年ぶりの高水準を付けた。
前日発表された12月の米小売売上高は底堅い結果となったほか、1月のフィラデルフィア連銀業況指数も8カ月ぶりの高水準を付けた。
CIBCキャピタル・マーケッツの為替戦略北米主任のバイパン・ライ氏は「ここ数日発表された指標は極めて良好」とし、「米連邦準備理事会(FRB)は消費者や家計を巡り幾分懸念を表明していたが、これら指標はこうした懸念を幾分和らげた」と述べた。
終盤の取引で、ユーロ/ドル (EUR=)は0.41%安の1.1089ドル。
ドル/円はほぼ変わらずの110.12円。米株価が最高値を更新する中、一時110.28円まで下落した。
中国国家統計局が同日発表した2019年国内総生産(GDP)伸び率は6.1%で、1990年以来29年ぶりの低水準となった。しかし、昨年第4・四半期のGDPは前年同期比6.0%増、前期比1.5%増と、ともにアナリスト予想と一致した。
MUFGの為替ストラテジスト、リー・ハードマン氏は「中国経済が手堅く19年を終え、20年に回復を遂げる用意が整っている可能性が示唆された」と述べた。
オフショア人民元は対ドルで上昇し、昨年7月以来の高値となる6.8567元を付けた。
<債券> 国債利回りが上昇した。堅調な米経済指標や良好な企業決算を受けた。
午後の取引で指標10年債利回り (US10YT=RR)は2.5ベーシスポイント(bp)上昇の1.8337%。
米商務省が17日発表した2019年12月の住宅着工件数(季節調整済み)は年率換算で前月比16.9%増の160万8000戸と、2006年12月以来13年ぶりの高水準を付けた。
これを受け、10年債利回りは一時1.849%まで上昇した。
ただアナリストは、米国株が最高値を更新しても10年債利回りが2%を超えるとはみられていないと指摘。MUFGの米金利戦略部門ディレクター、ジョン・ハーマン氏は、株式市場では企業特有の要因があり、債券市場が示唆している成長率は株式市場が示しているよりもやや緩やかとの見方を示した。
一方、ジェフリーズの金融市場エコノミスト、トム・シモンズ氏は、米財務省が16日に今年上半期に20年債を新規発行する計画を明らかにしたことが長期債利回りの押し上げにつながった可能性もあるとした。
30年債利回り (US30YT=RR)は2.295%と3.6bpの上昇。一方、2年債利回り (US2YT=RR)は1.5695%と上昇幅は1bp未満だった。
米連邦準備理事会(FRB)が17日発表した2019年12月の鉱工業生産指数は製造業部門が0.2%上昇し、市場予想の0.2%低下に反して伸びた。自動車・同部品の生産が落ち込む一方、ほかの耐久財や食品・飲料・その他のモノが増えた。
<株式> 主要3指数がそろって終値ベースで過去最高値を更新した。住宅着工件数などの堅調な米経済指標に加え中国経済指標が底堅かったことで、世界的な経済成長が上向くとの期待が台頭したことが背景。中でもS&P総合500種は、アップル (O:AAPL)や通信半導体大手クアルコム (O:QCOM)などのハイテク株が上昇したことで押し上げられた。
米中が15日に貿易交渉を巡る「第1段階」の合意に署名し、1年半に及ぶ米中貿易戦争がようやく休戦に向かったことで市場心理は好転。この日は、中国国家統計局が発表した2019年の国内総生産(GDP)伸び率は6.1%と、1990年以来29年ぶりの低水準となったものの、GDP統計とともに発表された12月の各種経済指標は鉱工業生産と投資の伸びが加速するなど予想を上回る内容となった。
米経済指標では、昨年12月の住宅着工件数(季節調整済み)が年率換算で前月比16.9%増の160万8000戸と、2006年12月以来13年ぶりの高水準となった。
ウェドブッシュ証券(ロサンゼルス)の株式トレーディング担当マネジング・ディレクター、マイケル・ジェームズ氏は「内外のマクロ経済指標はともに比較的好調だった」とし、「これにより、企業決算に加え業績見通しに対しても楽観的な見方が台頭した」と述べた。
週足ではS&P総合500種が1.96%、ダウ工業株30種が1.82%、ナスダック総合が2.29%、それぞれ上昇した。主要3指数の週間での上昇は昨年8月以来の大きさとなった。
個別銘柄では、石油サービス大手シュルンベルジュ (N:SLB)が1.1%安。この日発表の第4・四半期決算は利益が予想を上回ったものの、株価は下落して終了した。
検索大手グーグル親会社のアルファベット (O:GOOGL)は2.0%高。同社は前日の取引終了間際に時価総額が1兆ドルを超えた。時価総額が1兆ドルを超えるのはアップル (O:AAPL)などに続き4社目。
ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を1.21対1の比率で上回った。ナスダックでは1.24対1で値下がり銘柄数が多かった。
米取引所の合算出来高は73億株。直近20営業日の平均は70億株。
<金先物> キング牧師生誕記念日の米祝日に伴う3連休を控えて、持ち高調整の買いが優勢となり、反発した。中心限月2月物の清算値は前日比9.80ドル(0.63%)高の1オンス=1560.30ドル。
この日朝方は、新規の手掛かり材料不足の中、前日に下落した反動から買い戻しが先行した。外国為替市場でドルが対ユーロで値上がりする場面では、ドル建てで取引される金の割高感が強まり、上値を一部削った。ただ、3連休を控えてポジション調整の動きも見られ、安値圏では買い戻しも旺盛。取引終盤に一時1561.40ドルまで上昇した。金塊現物相場は午後1時55分現在、9.405ドル高の1560.180ドル。
<米原油先物> 買いが先行したものの、ドルが対ユーロで上伸する中で売られ、ほぼ横ばいとなった。米国産標準油種WTI中心限月2月物の清算値は前日比0.02ドル(0.03%)高の1バレル=58.54ドル。3月物は0.05ドル高の58.58ドル。朝方の原油相場は堅調に推移。米中両国が15日に貿易協議「第1段階」の合意文書に署名したことや、北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」が近く成立する見通しとなったことから、世界のエネルギー需要の先行きに楽観的な見方が広がった。
ただ、外国為替市場では、ドルが対ユーロで上伸。ドル建てで取引される原油に割高感が生じ、原油は上げ幅を削った。国際エネルギー機関(IEA)が16日に発表した月報で、石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟国が減産を順守しても原油生産は需要を上回るとの見通しを示したことも圧迫材料。
ドル/円 NY終値 110.14/110.17
始値 110.13
高値 110.2
安値 110.06
ユーロ/ドル NY終値 1.1088/1.1092
始値 1.111 (EUR=)
高値 1.1114
安値 1.1087
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 101*30.00 2.2850% (US30YT=RR)
前営業日終値 102*16.00 2.2590%
10年債(指標銘柄) 17時02分 99*10.50 1.8250% (US10YT=RR)
前営業日終値 99*15.00 1.8090%
5年債(指標銘柄) 17時00分 100*19.25 1.6228% (US5YT=RR)
前営業日終値 100*19.00 1.6250%
2年債(指標銘柄) 17時05分 100*03.63 1.5654% (US2YT=RR)
前営業日終値 100*03.50 1.5680%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 29348.10 +50.46 +0.17 (DJI)
前営業日終値 29297.64
ナスダック総合 9388.94 +31.81 +0.34 (IXIC)
前営業日終値 9357.13
S&P総合500種 3329.62 +12.81 +0.39 (SPX)
前営業日終値 3316.81
COMEX金 2月限 1560.3 +9.8
前営業日終値 1550.5
COMEX銀 3月限 1807.3 +13.4
前営業日終値 1793.9
北海ブレント 3月限 64.85 +0.23 (LCOc1)
前営業日終値 64.62
米WTI先物 2月限 58.54 +0.02 (CLc1)
前営業日終値 58.52
CRB商品指数 182.8867 +0.6390 (TRCCRB)
前営業日終値 182.2477 OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20200117T223234+0000