[21日 ロイター] - <為替> ドルが広範な通貨に対し下落した。2月の米購買担当者景気指数(PMI)は新型コロナウイルスへの懸念の高まりを背景にサービス業と製造業がともに低調で、ドル売りにつながった。
IHSマークイットが発表した2月の米PMI速報値は、サービス業が49.4と、2013年10月以来の低水準、製造業は50.8と、19年8月以来の低水準となった。
こうした中、主要6通貨に対するドル指数は0.59%下げた。
ユーロは対ドルで0.68%高。IHSマークイット発表の2月のユーロ圏総合PMI速報値は51.6と、前月の51.3から上昇し、ロイターまとめたすべてのアナリスト予想を上回った。
テンパスのシニア外為トレーダー兼ストラテジスト、フアン・ペレス氏は「ユーロ圏が回復できる兆候がようやく見え始めた。動きは緩慢かもしれないが、米経済が停滞すれば、ドル相場の圧迫要因となる」と述べた。
円は前日の取引で10カ月ぶりの安値を付けたが、この日は安全資産への需要が増大したことで地合いを回復。対ドルで0.5%上昇した。
中国を発生源とする新型コロナウイルスの感染が日本や韓国でも拡大し、昨年10─12月期の日本の経済成長率が年率換算でマイナス6.3%となり、5四半期ぶりのマイナス成長に陥る中、円は週初から売られていた。
アクション・エコノミクスのマネジング・ディレクター、ジョナサン・コフトレイ氏は「基本的に円は明らかに売られる地合いにある」としながらも、「安全通貨と見なされる状況があるため、円はアウトパフォームする通貨の1つとなる」と述べた。
豪ドルは対米ドルで0.2%上昇。英ポンドは対ドルで0.72%上昇した。
<債券> 国債利回りが低下した。新型コロナウイルスの感染拡大による経済的な影響を巡る懸念が高まり、安全資産に資金が流入した。
IHSマークイットが21日発表した2月の米購買担当者景気指数(PMI)速報値が、新型コロナウイルスへの懸念が高まる中でサービス業と製造業がともに低迷したことも利回り低下につながった。
終盤の取引で、指標10年債利回り (US10YT=RR)は5.4ベーシスポイント(bp)低下の1.4713%。昨年9月上旬以来となる1.5%割れとなった。
30年債利回りは5.4bp低下の1.9181%。一時1.886%と過去最低水準を付けた。
DRWトレーディングの市場ストラテジスト、ルー・ブライエン氏は、ここ最近の経済指標は堅調だったが、今日発表された米PMIは新型ウイルスの企業への影響を示す初期の兆候になったと指摘。「米経済への影響が明らかになり始めるのではとの懸念が高まった」とした。
投資資金が金や国債など安全資産に向かったため、米国株は下落。
BMOキャピタル・マーケッツの米金利ストラテジスト、ジョン・ヒル氏は、前週末と同様、週末を控えてリスク資産から資金が流出したと述べた。
中国当局は21日、新型コロナウイルスが湖北省以外の国内2カ所の刑務所で蔓延し、計234人が感染したと発表。韓国では、新たに100人超の新型コロナウイルスの感染が確認され、感染者は計204人に達した。
この日は米連邦準備理事会(FRB)当局者発言も相次いだ。FRBのブレイナード理事は将来の景気後退に対応するために予防的かつ積極的な措置が必要になるとの見方を示した。
米アトランタ地区連銀のボスティック総裁は、新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の混乱は一時的との見方を示した。
2年債利回り (US2YT=RR)は4.9bp低下の1.3461%だった。
<株式> 下落して取引を終えた。ナスダックの下落率は約3週間ぶりの大きさだった。新型コロナウイルスの感染拡大に加え、米経済指標がさえない内容だったことで、米経済成長に対する懸念が高まった。
前日に続きハイテク株が下げを主導。マイクロソフト (O:MSFT)やアマゾン (O:AMZN)、アップル (O:AAPL)などがS&P500を押し下げた。
S&P情報技術 (SPLRCT)は2.3%安。中国との関連性が強い半導体株も急落し、フィラデルフィア半導体(SOX)指数 (SOX)は3%安となった。
中国当局は21日、新型コロナウイルスが湖北省以外の国内2カ所の刑務所でまん延し、計234人が感染したと発表。韓国では新たに100人超の新型コロナウイルスの感染が確認され、感染者は計204人に達した。
チェース・インベストメント・カウンセルのピーター・タズ社長は、新型ウイルスが企業や投資家の「ワイルドカード」になっていると指摘。株価の最高値形成後に週末を迎える際には利益確定売りが見られると述べた。
シカゴ・オプション取引所(CBOE)ボラティリティー指数(VIX) (VIX)は終値ベースで2月3日以来の高値を付けた。
金や債券に加え、一部のディフェンシブ株に資金が流入。S&P主要消費財 (SPLRCS)はこの日、プラス圏で取引を終了した。
IHSマークイットが21日発表した2月の米購買担当者景気指数(PMI)速報値は新型コロナウイルスへの懸念が高まる中、サービス業と製造業がともに低迷した。
主要株価指数は週間でいずれも下落。ダウが1.4%、S&P500が1.3%、ナスダックが1.6%下げた。
個別銘柄ではドロップボックス (O:DBX)が20%上昇。営業利益率の見通しを引き上げた。第1・四半期が予想外に増益となったディア (N:DE)は7%高だった。
スプリント (N:S)は6%高。TモバイルUS (O:TMUS)と新たな合併条件で合意したと発表した。Tモバイルは0.9%下落した。
ニューヨーク証券取引所では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を2.17対1の比率で上回った。ナスダックでも2.25対1で値下がり銘柄数が多かった。
米取引所の合算出来高は82億8000万株。直近20営業日の平均は76億6000万株。
<金先物> 新型コロナウイルスの感染拡大への警戒感が継続する中で安全資産として金が買われ、7営業日続伸した。中心限月4月物の清算値は前日比28.30ドル(1.75%)高の1オンス=1648.80ドルと、清算値ベースで2013年2月以来約7年ぶりの高値を前日に続いて更新した。
中国政府は21日、湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の死者が同日午前0時(日本時間同1時)時点で、前日より118人増え2236人になったと発表した。さらに、韓国やイランで感染者の死亡が伝えられたほか、レバノンでも初感染者が確認された。これを受けて、中国外でも感染者が拡大して世界的な景気減速につながるとの懸念が改めて強まり、「質への逃避」買いが金に入った。
また、外国為替市場では、対ユーロでドル安が進行。ドル建てで取引される金塊などの商品の割安感につながり、金塊相場を押し上げた。
金塊現物相場は午後1時31分現在、27.200ドル高の1645.935ドル。
<米原油先物> 新型コロナウイルスへの感染報告が世界各地で相次いだことを懸念し、下落した。この日から中心限月に繰り上がった米国産標準油種WTI4月物の清算値は、前日比0.50ドル(0.93%)安の1バレル=53.38ドル。5月物は0.56ドル安の53.50ドルだった。
新型コロナの発生地である中国では一時に比べ、感染拡大ペースが鈍化。一方、日本や韓国、イランなどでは死者が増えるなど状況の悪化が伝えられており、この日は株式や原油先物などのリスク資産を手じまう動きが優勢となった。
石油需要が打撃を受ける中、石油輸出国機構(OPEC)は非加盟の産油国と実施している協調減産の規模を拡大させたい考え。しかし、ロシアのノバク・エネルギー相は20日、一段の減産を支持するかどうかに言及せず、協議を行う会合の開催時期についても当初の予定通りとの認識を示すにとどめた。
一方、午後に入り、米石油サービス会社ベーカー・ヒューズは、同日までの1週間の国内石油掘削リグ稼働数が前週とほぼ同水準だったと発表。前日のエネルギー情報局(EIA)週報でも、米原油在庫が市場予想を大幅に下回る積み増しだったことが明らかになっており、52ドル台半ば近辺では買い支えが入った。
ドル/円 NY終値 111.57/111.60
始値 111.87
高値 112.03
安値 111.49
ユーロ/ドル NY終値 1.0843/1.0847
始値 1.0804 (EUR=)
高値 1.0863
安値 1.0797
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 101*28.50 1.9168% (US30YT=RR)
前営業日終値 100*20.50 1.9720%
10年債(指標銘柄) 17時04分 100*08.00 1.4729% (US10YT=RR)
前営業日終値 99*24.50 1.5250%
5年債(指標銘柄) 17時05分 100*08.00 1.3224% (US5YT=RR)
前営業日終値 100*00.75 1.3700%
2年債(指標銘柄) 17時05分 100*01.25 1.3543% (US2YT=RR)
前営業日終値 99*30.75 1.3950%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 28992.41 -227.57 -0.78 (DJI)
前営業日終値 29219.98
ナスダック総合 9576.59 -174.38 -1.79 (IXIC)
前営業日終値 9750.97
S&P総合500種 3337.75 -35.48 -1.05 (SPX)
前営業日終値 3373.23
COMEX金 4月限 1648.8 +28.3
前営業日終値 1620.5
COMEX銀 3月限 1853.0 +21.1
前営業日終値 1831.9
北海ブレント 4月限 58.50 ‐0.81 (LCOc1)
前営業日終値 59.31
米WTI先物 4月限 53.38 ‐0.50 (CLc1)
前営業日終値 53.88
CRB商品指数 174.6458 ‐0.0810 (TRCCRB)
前営業日終値 174.7268 OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20200221T222000+0000