[3日 ロイター] - <ロンドン株式市場> 続伸して取引を終えた。米連邦準備理事会(FRB)が、新型コロナウイルスの米経済への打撃を防ぐために、金融危機以来初めて緊急利下げに踏み切った。[nL4N2AW28B]
主要7カ国(G7)の財務相・中央銀行総裁は、新型ウイルスの感染が世界中に拡大する中「適切な」政策手段を用いるとする共同声明を発表した。詳細は明らかにしていなかった。新型ウイルスによって世界各地でスポーツイベントや展示会、大規模な集会に影響が出ている。[nL4N2AW3DR]
FTSE350種鉱業株指数 (FTNMX1770)は1.76%、旅行・娯楽関連株指数 (FTNMX5750)は1.36%上昇した。
一方、利下げを受け銀行株指数 (FTNMX8350)は1.94%下落した。
みずほ銀行の経済部門を率いるビシュヌ・バラタン氏は「各国の中央銀行は、疫病の流行に直接対応することはできないが、株価急落を抑止することはできる」と述べた。
ただ、供給網に深刻な混乱が生じる中で、アナリストは利下げの効果について懐疑的な見方を示している。資源大手リオ・ティント (L:RIO)や酒造大手のディアジオ (L:DGE)などの複数の国際的な企業が、今年の利益が打撃を受けると指摘している。
CMCマーケッツのアナリスト、マイケル・ヒューソン氏は「人々は隔離される可能性に直面しているほか、人が集まるところを避けている。FRBが50ベーシスポイント(bp)引き下げたところで旅行者が増えたり消費が増えたりするわけではない」と指摘。「この日の利下げは、短期的には好材料と市場に受け止められたが、その後はもちろん『FRBは何を恐れているのか』という疑問が湧いてくる」と述べた。
こうした中、マーケティング製品のフォー・インプリント・グループ (L:FOUR)は15.1%上昇。新型ウイルスによる影響は今のところ最小限に抑えられているとの見方が好感された。
<欧州株式市場> 続伸して取引を終えた。新型コロナウイルスの景気への打撃を和らげるために米連邦準備理事会(FRB)が緊急利下げに踏み切ったことで、ほかの中央銀行による金融緩和への期待が高まった。
主要7カ国(G7)の財務相・中央銀行総裁は、財政政策を含む「適切な」措置を取る準備ができていると表明した。その後、FRBは0.5%ポイント金利を引き下げ、金融緩和の動きで先頭を切った。英国と日本、フランスの中銀も緩和政策に前向きな意向を示唆している。
先週は世界の株式市場で時価総額の5兆ドル超が吹き飛んだ。
STOXX欧州600種旅行・娯楽関連株指数 (SXTP)は9営業日ぶりに反発し、1.48%上昇した。感染拡大を防ぐための渡航制限によって旅客数や宿泊需要が減り、同部門は低迷していた。
スペインの銀行株も買われた。欧州連合(EU)司法裁判所(ECJ)は、スペインの銀行が提供する変動金利型住宅ローン(IRPH)の条項が不当だったかどうかについてスペインの各裁判所が一件ずつ個別に判断するべきだとする判決を下した。カイシャバンク (MC:CABK)とスペインの銀行バンキア (MC:BKIA)は3.7%と0.6%値を上げた。
ドイツに上場する遺伝子検査会社キアゲン (DE:QIA)は16.7%急騰。医療・科学機器を手掛ける米サーモ・フィッシャー・サイエンティフィックがキアゲンに対して104億ユーロ(116億ドル)の買収手続きを開始したことが材料視された。
一方、銀行株指数 (SX7P)は1.01%下落。金融サービスは金利が高い方が好材料となる。
<ユーロ圏債券>米連邦準備理事会(FRB)が緊急利下げを決定したことを受け国債利回りが低下した。市場の関心は欧州中央銀行(ECB)が後に続くかどうかに集まっている。
FRBは3日、フェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を50ベーシスポイント(bp)引き下げて1.00─1.25%にすると発表した。新型コロナウイルスの感染拡大による影響から米経済を守るため、緊急の連邦公開市場委員会(FOMC)を開いた。
新型ウイルスの感染拡大を受けた渡航規制や需要低下、供給網(サプライチェーン)の混乱、金融市場の急落などで成長が危ぶまれており、世界各国の政府・中央銀行には成長を支援するよう圧力がかかっている。
FRBの緊急利下げ発表後、ドイツ10年債利回り (DE10YT=RR)は1ベーシスポイント(bp)下げ、マイナス0.62%。序盤に付けたマイナス0.57%から低下した。
イタリアでも国債買いが強まり、終盤の10年債利回り (IT10YT=RR)は16bp低下の0.99%。前日は5週間ぶり水準の1.23%を付けていた。
ユーロ圏のインフレ期待を示す指標である5年先スタート5年物フォワードレートは前日に1.10%を割り込み過去最低水準を付けたが、この日は1.15%を超えて推移した。
ECBのラガルド総裁は2日、新型ウイルスの感染拡大による経済への影響に対応するため、ECBには「適切かつ的を絞った措置」を講じる用意があると表明。新型ウイルスの感染拡大で影響を受けている中小企業の資金繰り支援に向けた対策を検討していると、関係筋が明らかにした。[nL4N2AV54B][nL4N2AW3AM]
ラボバンクの金利部門責任者、リチャード・マグワイア氏は「利下げは米国債と安全資産には良いニュースで、それが大幅上昇を反映している」と指摘。「これでECBによる利下げの可能性が高まると考えられる。ECBが何もしないのは難しいように思う」と述べた。
ユーロ圏短期市場では、来週の欧州中央銀行(ECB)理事会での10ベーシスポイント(bp)利下げが90%の確率で織り込まれている。
<為替> 欧州終盤 アジア市場終盤 コード
ユーロ/ドル 1.1173 1.1118 (EUR=)
ドル/円 107.27 108.03
ユーロ/円 119.87 120.12
<株式指数> 終値 前日比 % 前営業日終値 コード
STOXX欧州600種 381.13 +5.16 +1.37 375.97 (STOXX)
FTSEユーロファースト300種 1487.26 +18.07 +1.23 1469.19 (FTEU3)
ユーロSTOXX50種 3371.97 +33.14 +0.99 3338.83 (STOXX50E)
FTSE100種 6718.20 +63.31 +0.95 6654.89 (FTSE)
クセトラDAX 11985.3 +127.52 +1.08 11857.87 (GDAXI)
CAC40種 5393.17 +59.65 +1.12 5333.52 (FCHI)
<金現物> 午後 コード
値決め 1615.5
<金利・債券>
米東部時間14時22分
*先物 清算値 前日比 前営業日終盤 コード
3カ月物ユーロ 100.51 +0.01 100.50 (FEIc1)
独連邦債2年物 112.37 -0.03 112.40 (FGBSc1)
独連邦債5年物 135.85 -0.02 135.87 (FGBMc1)
独連邦債10年物 177.74 -0.09 177.83 (FGBLc1)
独連邦債30年物 220.32 -0.76 221.08 (FGBXc1)
*現物利回り 現在値 前日比 前営業日終盤 コード
独連邦債2年物 -0.828 +0.011 -0.827 (DE2YT=RR)
独連邦債5年物 -0.819 -0.008 -0.817 (DE5YT=RR)
独連邦債10年物 -0.639 -0.006 -0.626 (DE10YT=RR)
独連邦債30年物 -0.172 +0.004 -0.175 (DE30YT=RR) OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20200303T225152+0000