[17日 ロイター] - <為替> ドルが小幅安。新型コロナウイルスの治療薬や経済活動再開への期待からリスク選好がやや持ち直した。
新型コロナ治療薬を巡っては、ギリアド・サイエンシズ (O:GILD)の抗ウイルス薬「レムデシビル」を用いた臨床試験で重症患者の発熱や呼吸器症状の急速な回復が見られたほか、ほぼ全ての患者が1週間以内に退院したことが判明した。
こうした中、トランプ大統領は16日、新型コロナの感染拡大で打撃を受けている米経済の再開に向けた指針を明らかにし、各州は状況に応じて3段階で封鎖措置の解除を進めるべきとの考えを示した。
米国株式市場ではダウ平均株価 (DJI)が700ドル以上値上がりした。ドルは通貨バスケット (=USD)に対し0.08%安。ドルはユーロやポンドに対して下げる一方、円やスイスフランに対しては上げる展開となった。
テンパスのトレーディング部バイスプレジデント、ジョン・ドイル氏は「市場で全般的に楽観ムードが広がったためドルはやや下げたが、今後数カ月間は引き続きドルの堅調地合いが続く」と予想した。
オフショア人民元
ユーロ/ドル (EUR=)は0.3%高。ただ今月に入ってからは約1.5%値下がりしている。バンク・オブ・アメリカは調査リポートの中で「欧州の統計と米国の統計の乖離が予想されるほか、欧州では財政政策の協調性が期待できないことなどから、ユーロ/ドルには弱気だ」とした。
<債券> 国債利回りが上昇した。市場安定化を背景にニューヨーク連銀が来週から国債購入ペースを一段と減速させると発表したことを受けた。ただ、序盤の取引では10年債や30年債の利回りが2週ぶりの低水準を付けるなど不安定な地合いだった。
ニューヨーク連銀は17日、来週に合計750億ドルの米国債を購入すると発表した。1日当たりの購入額では平均150億ドルと、今週の300億ドルから減少する。
キャンター・フィッツジェラルドの金利ストラテジスト、ジャスティン・レデラー氏は「米連邦準備理事会(FRB)は大口の買い手だったが、購入額が徐々に減少している」と述べた。
終盤の取引で10年債利回り (US10YT=RR)は0.652%と、前日終盤の0.611%から上昇。序盤には0.587%と2週ぶりの低水準を付けていた。
30年債利回り (US30YT=RR)は1.271%と、前日の1.212%から上昇。序盤は1.183%と2週間ぶりの水準に低下した。
2年債は0.205%と、前日の0.203%から小幅上昇。前日は2011年9月以来の低水準を付けていた。
この日は米国株も上昇。新型コロナウイルスの治療を巡る明るいニュースのほか、トランプ米大統領による経済再開に向けた指針発表などが支援材料となった。
エバーコアISIの債券ストラテジスト、スタン・シプリー氏は「現状は米債利回りの大幅上昇に資するものではないが、初期段階の経済への影響は織り込まれているようだ」と述べた。
イールドカーブはスティープ化。2年債と10年債の金利差
<株式> 米経済活動再開への期待を追い風に続伸した。ボーイング (N:BA)が急伸し、ダウの上昇を主導。新型コロナウイルス治療薬の開発が見込まれるギリアド (O:GILD)も値上がりした。
主要株価3指数は週足でも上昇。とりわけナスダック総合の週間上昇率は6.1%で、先週分を合わせた2週間の上昇率は2001年以来の高さを記録した。ダウ平均 (DJI)も週間で2.2%、S&P500 (SPX)も3%それぞれ上昇した。
トランプ大統領は前日、新型コロナ感染拡大で打撃を受けている米経済の再開に向けた指針を明らかにし、各州は状況に応じて3段階で封鎖措置の解除を進めるべきとの考えを示した。
一部の州は近く、自宅待機令などの解除の日程を明らかにする見通し。ホッジズ・キャピタル・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ゲリー・ブラッドショー氏は、経済再開に向けた計画によって「市場や経済全体に希望や明るい見方をもたらす。出発点になる」と述べた。
ボーイングは約15%急伸。新型コロナ感染拡大を受けて先月から停止している米ワシントン州での商用機の生産を来週から順次再開すると発表したことが買い材料となった。
ギリアドも約10%高。同社の治験薬「レムデシビル」が新型コロナ感染症患者の治療で効果があったとの報道が材料視された。
KBWのトレーディング主任RJ・グラント氏は「今後数カ月で有力な新型コロナ治療法が出てくれば、景気動向に敏感な循環株への追い風となる。また、経済再開につながる何らかの正常化に向けた方策が見つかれば、銀行株は急上昇するだろう」と述べた。
銀行株は5日ぶりに反発。S&P金融 (SPSY)は5.6%上昇した。
S&Pエネルギー (SPNY)も10.4%急伸した。
半面、アップル (O:AAPL)は1.4%安。ゴールドマン・サックスは、新型コロナ感染拡大防止に向けたロックダウン(都市封鎖)措置が響き、アップルのiPhone出荷が第3・四半期に36%落ち込むと予想。同社株の投資判断を「セル」に引き下げた。
米取引所の合算出来高は127億5000万株。直近20営業日の平均は137億2000万株。
ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を5.18対1の比率で上回った。ナスダックでも3.88対1で値上がり銘柄数が多かった。
<金先物> 米政府が新型コロナウイルス対策で制限した経済活動の再開に向けたガイドライン(指針)を発表したことなどからリスク選好ムードが広がり、3営業日続落した。中心限月6月物の清算値は前日比32.90ドル(1.90%)安の1オンス=1698.80ドルと、心理的節目の1700ドルを割り込んだ。
トランプ大統領は16日夕、経済活動再開への実施手順を定めた指針を公表。各地の感染収束度合いに応じ、州知事が外出禁止や休校などの制限の緩和・解除を3段階で進める計画だ。
また、米バイオ医薬品メーカーのギリアド・サイエンシズが開発した抗ウイルス薬「レムデシビル」の臨床試験で、新型コロナの感染患者が急速に回復していると報じられた。これらを受け、投資家のリスク選好意欲が高まり、安全資産とされる金の需要は減退。金相場は大幅に値を下げた。
金塊現物相場は午後2時51分現在、30.700ドル安の1685.325ドル。
<米原油先物> 中国の弱い経済指標などを受けて大幅下落した。米国産標準油種WTIの中心限月5月物の清算値は前日比1.60ドル(8.1%)安の1バレル=18.27ドルとなった。これは2002年1月中旬以来18年3カ月ぶりの安値水準。6月物は0.50ドル安の25.03ドルだった。
中国国家統計局が17日発表した1〜3月期の国内総生産(GDP)は、物価変動の影響を除いた実質ベースで前年同期比6.8%減少した。マイナス成長は四半期ごとの数値公表を始めた1992年以降で初めて。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う中国経済の急激な減速を受け、市場では原油需要が一段と落ち込むとの懸念が広がった。中心限月の交代を来週に控えた手じまい売りも出て、5月物は一時17.31ドルまで下落した。
一方、米石油サービス会社ベーカー・ヒューズが17日公表した同日まで1週間の国内石油掘削リグ稼働数は前週比66基減の438基と、削減幅は15年以来最大となった。ただ、供給過剰懸念を解消するには至らず、原油相場の支援材料にはならなかった。
ドル/円 NY終値 107.51/107.54
始値 107.81
高値 107.83
安値 107.31
ユーロ/ドル NY終値 1.0876/1.0880
始値 1.0835 (EUR=)
高値 1.0892
安値 1.0835
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 118*07.00 1.2647% (US30YT=RR)
前営業日終値 119*22.00 1.2120%
10年債(指標銘柄) 17時05分 108*05.00 0.6417% (US10YT=RR)
前営業日終値 108*15.00 0.6110%
5年債(指標銘柄) 17時05分 100*22.25 0.3580% (US5YT=RR)
前営業日終値 100*24.50 0.3440%
2年債(指標銘柄) 17時05分 100*10.75 0.2019% (US2YT=RR)
前営業日終値 100*10.75 0.2030%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 24242.49 +704.81 +2.99 (DJI)
前営業日終値 23537.68
ナスダック総合 8650.14 +117.78 +1.38 (IXIC)
前営業日終値 8532.36
S&P総合500種 2874.56 +75.01 +2.68 (SPX)
前営業日終値 2799.55
COMEX金 6月限 1698.8 ‐32.9
前営業日終値 1731.7
COMEX銀 5月限 1529.5 ‐32.7
前営業日終値 1562.2
北海ブレント 6月限 28.08 +0.26 (LCOc1)<0#LCO:>
前営業日終値 27.82
米WTI先物 5月限 18.27 ‐1.60 (CLc1)<0#CL:>
前営業日終値 19.87
CRB商品指数 123.7962 +0.1674 (TRCCRB)
前営業日終値 123.6288 OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20200417T213710+0000