[5日 ロイター] -
<為替> ドルが多くの主要通貨に対し上昇した。新型コロナウイルス感染抑制策の緩和による経済活動再開への期待から上昇した米株式市場に歩調を合わせた。一方、ユーロは欧州中央銀行(ECB)の資産買い入れプログラムを巡るドイツ憲法裁判所の判断を受け下落した。
一部アナリストは、新型ウイルス感染拡大を受け、3月からドル相場と米株価の連動性が増したと指摘。TDセキュリティーズ(ニューヨーク)の外為ストラテジスト、マゼン・イッサ氏は この日のドルの動きについて「株式相場の動きに比較的連動している」と述べた。
終盤の取引で主要6通貨に対するドル指数 (=USD)は0.2%高の99.714。
ドルは対スイスフラン
ユーロは対ドルで (EUR=EBS)0.5%安の1.0850ドル。
独連邦憲法裁判所はこの日、量的緩和策に基づく公的部門証券買い入れ(PSPP)について、ECBが政策の必要性を証明しなければ、ドイツ連邦銀行(中央銀行)は3カ月以内に国債買い入れを停止する必要があるとの判断を下した。ただ、新型コロナウイルス感染拡大を受けECBが新たに導入した総額7500億ユーロのパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)については、今回の判断は適用されないとした。
この日発表の米経済指標では、米供給管理協会(ISM)の4月の非製造業総合指数(NMI)が41.8と、2009年12月以来初めて景気拡大・縮小の節目となる50を割り込んだ。ただ市場予想の36.8ほどは悪化しなかったことで、ドルの支援要因となった。
資源国通貨はリスク選好度の改善を反映し上昇。豪ドル
中国人民元
この日は日本や中国が祝日のため、商いは薄かった。
NY外為市場:[USD/J]
<債券> 国債利回りが上昇した。主要国の経済再開計画を受け、リスク選好の動きが強まった。
米国のほか、イタリアなどが新型コロナウイルスの感染拡大を抑制するロックダウン(都市封鎖)措置を暫定的に緩和している。
キャンター・フィッツジェラルドの金利ストラテジスト、ジャスティン・レデラー氏は「短期的または長期的な期待にかかわらず、投資家は部分的な経済再開を見始めている」と述べた。
米財務省の四半期定例入札(クオータリーリファンディング)発表を6日午前8時30分(日本時間午後9時30分)に控え、超長期債もアンダーパフォームした。来週の3年債、10年債、30年債の入札規模が発表される予定で、規模拡大が見込まれている。新発20年債の詳細も発表される見通し。
財務省は4日、第2・四半期は2兆9990億ドルの借り入れを行うと発表。新型コロナウイルス感染拡大への対応費用がかさむためで、四半期としての借入額は過去最高となる。
指標10年債利回り (US10YT=RR)は2ベーシスポイント(bp)上昇の0.654%。
2年債と10年債の金利差
30年債利回り (US30YT=RR)は3bp上昇の1.327%。
社債発行が相次いでいることもこの日の米債市場の重しとなった。
米金融・債券市場:[US/BJ]
<株式> 続伸。新型コロナウイルス流行で休止状態にある経済活動再開に向けロックダウン(都市封鎖)措置を緩和する動きが米国内外で広がっていることが材料視された。新型コロナ治療への期待からヘルスケア関連銘柄が買われ、S&P総合500の上昇を主導した。
しかし、米連邦準備理事会(FRB)のクラリダ副議長が第2・四半期の米経済が大幅に縮小し、失業率が1940年代以来の水準に悪化する公算が大きいと発言したことを受け、株価は終盤にかけ上げ幅を縮小した。
今週に入り、カリフォルニア州を含む米国内の複数州のほか、新型コロナ流行の影響が深刻なイタリアなどでロックダウン措置の段階的な緩和が始まった。
キングスビュー・インベストメント・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ポール・ノルテ氏は「米国の一部州で経済活動の再開が始まった。状況は今後緩やかに改善するだろう」と述べた。
製薬のファイザー (N:PFE)は2.4%高、リジェネロン・ファーマシューティカルズ (O:REGN)は6%高。
ファイザーは、ドイツ企業と共同開発する新型コロナワクチン候補の臨床試験を米国で開始したと発表。
リジェネロンは新型コロナ感染症の治療に用いる抗体カクテル療法の臨床試験を6月に開始する準備を加速させており、夏の終わりか秋までに利用できる可能性があるという見通しを示した。
ハイテク株ではマイクロソフト (O:MSFT)とアップル (O:AAPL)に買いが入った。
一方、ノルウェージャン・クルーズライン・ホールディングス (N:NCLH)は22.6%急落。継続企業の存続能力に疑問を投じたことが嫌気された。
米供給管理協会(ISM)が朝方発表した4月の非製造業総合指数(NMI)は41.8と、2009年12月以来初めて景気拡大・縮小の節目となる50を割り込んだ。
市場では8日に発表される4月の米雇用統計に注目が集まる。
ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を1.52対1の比率で上回った。ナスダックでも1.18対1で値上がり銘柄数が多かった。
米取引所の合算出来高は約106億株。直近20営業日の平均は約120億株。
米国株式市場:[.NJP]
<金先物> 新型コロナウイルスの感染拡大で停滞している経済活動の再開に向けた動きが欧米で広がっていることを受け、3営業日ぶりに反落した。中心限月6月物の清算値は前日比2.70ドル(0.16%)安の1オンス=1710.60ドル。
米カリフォルニア州のニューサム知事は前日、週末8日にも小売店など一部の経済活動が再開されるとの見通しを示した。欧州ではイタリアで外出や経済活動の制限が一部緩和され、建設業などの再開が認められた。
また、この日はニューヨーク原油(WTI)先物相場が堅調に推移。市場では投資家のリスク選好意欲が強まり、安全資産の金は売り圧力に押された。
NY貴金属:[GOL/XJ]
<米原油先物> 新型コロナウイルスの感染拡大で制限されていた経済活動を再開する動きが欧米で広がっていることを受けて石油需要回復への期待が高まり、大幅続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月6月物の清算値は前日比4.17ドル(20.45%)高の1バレル=24.56ドルとなった。価格上昇は5営業日連続。7月物は3.71ドル高の26.49ドルだった。
米国では、南部のアラバマやテキサス、フロリダなどの各州で、経済活動を段階的に再開する動きが進んでいる。欧州では、感染が深刻だったイタリアなども外出制限の緩和に踏み切った。市場では、エネルギー需要回復への期待が広がり、相場を押し上げた。
米国ではこのところ、「4月に景気の落ち込みが底入れした」(米エコノミスト)との見方が強まり、株式や原油などの相場改善につながっている。ただ、「回復は緩やかになる。早急な経済再開で『第2波』の懸念もある」(同)と警戒する声も根強い。
NYMEXエネルギー:[CR/USJ]
ドル/円 NY終値 106.58/106.61
始値 106.75
高値 106.77
安値 106.43
ユーロ/ドル NY終値 1.0838/1.0842
始値 1.0837 (EUR=)
高値 1.0886
安値 1.0832
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 116*10.50 1.3337% (US30YT=RR)
前営業日終値 117*10.00 1.2970%
10年債(指標銘柄) 17時03分 107*29.50 0.6619% (US10YT=RR)
前営業日終値 108*05.50 0.6370%
5年債(指標銘柄) 17時04分 100*00.00 0.3750% (US5YT=RR)
前営業日終値 100*02.75 0.3580%
2年債(指標銘柄) 17時00分 99*27.88 0.1901% (US2YT=RR)
前営業日終値 99*28.38 0.1820%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 23883.09 +133.33 +0.56 (DJI)
前営業日終値 23749.76
ナスダック総合 8809.12 +98.41 +1.13 (IXIC)
前営業日終値 8710.72
S&P総合500種 2868.44 +25.70 +0.90 (SPX)
前営業日終値 2842.74
COMEX金 6月限 1710.6 ‐2.7
前営業日終値 1713.3
COMEX銀 7月限 1511.0 +31.4
前営業日終値 1479.6
北海ブレント 7月限 30.97 +3.77 (LCOc1)<0#LCO:>
前営業日終値 27.20
米WTI先物 6月限 24.56 +4.17 (CLc1)<0#CL:>
前営業日終値 20.39
CRB商品指数 123.6425 +5.1182 (TRCCRB)
前営業日終値 118.5243 OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20200505T213945+0000