[5日 ロイター] - <為替> ドルが小幅高。朝方発表された雇用統計で雇用者数が予想に反して増加したことが材料となった。ただ米経済を巡る不透明感は根強く、上値は抑えられた。
5月の非農業部門雇用者数は前月比250万9000人増と、エコノミスト予想の800万人減に反してプラスに転じた。4月は約2070万人減と、1930年代の大恐慌以降で最大の落ち込みを記録していた。失業率は13.3%と、戦後最悪だった4月の14.7%から改善。市場予想は19.8%だった。
ドルは通貨バスケット (=USD)に対し0.18%高の96.93。週間では1.4%下落した。
ユーロ/ドル (EUR=)は0.38%安の1.129ドル。週間では1.73%上昇した。値上がりは3週連続。ドル/円
マニュライフ・アセットマネジメントのポートフォリオ・マネジャー、チャック・トームズ氏は「予想を上回る雇用統計が材料になった。市場の反応から米経済の好転やイールドカーブ拡大が織り込まれているようだ」と述べる一方、経済の見通しを巡る不透明感や新型コロナ感染第2波への不安から上値は重かったと指摘した。
アナリストからは、今回のような雇用の伸びは続かない恐れがあるとの声が聞かれる。
ジョン・ハンコック・インベストメント・マネジメントの共同最高投資ストラテジスト、マット・ミスキン氏は「多くの好材料がすでに織り込まれる中、将来の景気回復期待が今まで以上に高まることを考えると、期待通りにいくハードルも上がるだろう」と述べた。
NY外為市場:[USD/J]
<債券> 5月の米雇用統計が予想外に好調だったことで国債が売られ、利回りが大きく上昇した。
安全資産とされる国債からリスク資産への資金のシフトが続く中、10年債 (US10YT=RR)利回りは10.5ベーシスポイント(bp)上昇の0.9252%となり、3月20日以来初めて0.9%を上回った。
2年債 (US2YT=RR)利回りは2.2bp上昇の0.2161%。2年債と10年債の利回り格差 (US2US10=RR)は前日から約16bp拡大し、71bpと、2018年2月以来の高水準を付けた。
労働省が朝方発表した5月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比250万9000人増とエコノミスト予想の800万人減に反しプラスに転じたほか、失業率は13.3%と戦後最悪だった4月の14.7%から改善。新型コロナウイルス感染拡大抑制策の緩和を受け、雇用市場が改善していることが示された。
ソシエテ・ジェネラル(ニューヨーク)の米金利戦略部門責任者、スバドラ・ラジャッパ氏は「債券市場でここ数週間ほど見られていた売りが正当化された」と述べた。
雇用統計を受け米株価も上昇。ロイトホルト・グループ(ミネアポリス)の首席投資ストラテジスト、ジム・ポールセン氏は、今回の雇用統計で急速な景気回復が示唆されたと指摘。「回復の形はV字型になるとのメッセージが金融市場全体に広まった。こうした観測がどのくらい継続するか様子を見たい」と述べた。
米金融・債券市場:[US/BJ]
<株式> 大幅に値上がりし、ダウ平均株価 (DJI)は829ドル高で引けた。5月の雇用者数が予想に反して大幅に増加したことを受け、景気回復が一段と早まるとの期待が広がった。
ナスダック総合指数 (IXIC)は一時、終値での最高値を超えたものの、その後は伸び悩んだ。ダウ平均とS&P総合500種指数 (SPX)はともに最高値から10%以内の水準に戻した。
5月の雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比250万9000人増と、市場予想の800万人減に反してプラスに転じた。4月は約2070万人減と、1930年代の大恐慌以降で最大の落ち込みを記録していた。失業率は13.3%と、戦後最悪だった4月の14.7%から改善。市場予想は19.8%だった。
ステート・ストリート・グローバルアドバイザーズ(ボストン)の主任投資ストラテジスト、マイケル・アローン氏は「経済が順調に回復していることが改めて確認された」とした上で「新型コロナウイルス禍の影響は一時的で、経済は改善しつつあることがはっきりとうかがえる」と述べた。
米債券利回りの上昇に伴い、銀行株が好調。S&P500銀行株指数<.SPXBK>は4.9%上昇した。コロナ禍への打撃が大きい航空株も値上がりし、5.7%高。
ただ世界保健機関(WHO)は、新型コロナが終息したわけではなく、ロックダウン(都市封鎖)措置の緩和により一部諸国では感染が増加していると注意を促した。
市場では9—10日の米連邦公開市場委員会(FOMC)に注目している。
個別銘柄では航空機大手ボーイング (N:BA)が11.5%高。アメリカン航空グループ (O:AAL)は4日、7月に国内運航便を大幅に拡大すると発表した。アメリカン航空も11%超値上がりした。
宝飾品大手ティファニー (N:TIF)は6.5%高。関係者によると、高級ブランド世界最大手の仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン (PA:LVMH)はティファニーの買収を巡り再交渉を要求していないという。
ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を5.03対1の比率で上回った。ナスダックでは3.08対1で値上がり銘柄数が多かった。
米取引所の合算出来高は175億6000万株。直近20営業日の平均は120億3000万株。
米国株式市場:[.NJP]
<金先物> 米雇用統計が市場予想を上回る内容だったことを受け、急反落した。中心限月8月物の清算値は前日比44.40ドル(2.57%)安の1オンス=1683.00ドル。一時1671.70ドルと、4月21日以来の安値を付けた。
この日朝方発表された5月の米雇用統計は失業率が13.3%と、戦後最悪だった前月(14.7%)から改善。市場予想は19.8%だった。非農業部門の就業者数は前月から250万9000人増(市場予想800万人減)と、プラスに転じた。米国では新型コロナウイルスの感染拡大で停滞した経済活動の一部再開が着実に進んでおり、雇用情勢は最悪状態を脱したとの見方も出ている。これを受け、市場では投資家のリスク選好意欲が高まり、安全資産とされる金塊の需要は大幅に減退。金相場は急落を余儀なくされた。
金塊現物相場は午後3時10分現在、36.930ドル安の1682.345ドル。
NY貴金属:[GOL/XJ]
<米原油先物> 予想より良好な内容だった米雇用統計を受けて大幅続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月7月物の清算値は前日比2.14ドル(5.7%)高の1バレル=39.55ドルとなった。8月物は2.08ドル高の39.80ドルだった。
米労働省が5日発表した5月の雇用統計(季節調整済み)によると、失業率は13.3%と、戦後最悪だった前月(14.7%)から改善した。非農業部門の就業者数は前月から250万9000人増とプラスに転じた。新型コロナウイルス感染拡大後の最悪期を脱したとの見方が広がり、米株価が大幅上昇。同じくリスク資産とされる原油にも買いが膨らんだ。
ロイターによると、ロシアのエネルギー省は5日、石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟産油国で構成する「OPECプラス」のビデオ会議が6日に開催されると明らかにした。6月末が期限となる日量970万バレルの減産の延長をめぐり、関係国の間で調整が進んだとの期待が広がった。
また、米石油サービス会社ベーカー・ヒューズが公表した1週間の国内石油・ガス掘削リグ稼働数が前週比17基減の284基となり、過去最低を更新したことも相場の上昇を支援した。
NYMEXエネルギー:[CR/USJ]
ドル/円 NY終値 109.58/109.60
始値 109.24
高値 109.84
安値 109.18
ユーロ/ドル NY終値 1.1284/1.1288
始値 1.1327 (EUR=)
高値 1.1343
安値 1.1279
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 90*05.00 1.6691% (US30YT=RR)
前営業日終値 91*04.00 1.6260%
10年債(指標銘柄) 17時05分 97*14.50 0.8935% (US10YT=RR)
前営業日終値 98*04.50 0.8200%
5年債(指標銘柄) 17時05分 98*30.50 0.4630% (US5YT=RR)
前営業日終値 99*07.75 0.4040%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*26.63 0.2101% (US2YT=RR)
前営業日終値 99*27.63 0.1940%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 27110.98 +829.16 +3.15 (DJI)
前営業日終値 26281.82
ナスダック総合 9814.08 +198.27 +2.06 (IXIC)
前営業日終値 9615.81
S&P総合500種 3193.93 +81.58 +2.62 (SPX)
前営業日終値 3112.35
COMEX金 8月限 1683.0 ‐44.4
前営業日終値 1727.4
COMEX銀 7月限 1747.9 ‐58.2
前営業日終値 1806.1
北海ブレント 8月限 42.30 +2.31 (LCOc1)<0#LCO:>
前営業日終値 39.99
米WTI先物 7月限 39.55 +2.14 (CLc1)<0#CL:>
前営業日終値 37.41
CRB商品指数 138.9763 +3.2299 (TRCCRB)
前営業日終値 135.7464 OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20200605T213136+0000