[21日 ロイター] - <為替> ニューヨーク外為市場ではユーロが対ドルで上昇し、1年半ぶりの高値を付けた。欧州連合(EU)首脳が7500億ユーロ規模の新型コロナウイルス復興基金設立で合意したことが追い風となった。
EU首脳らは21日、週末を挟んで5日間に及ぶマラソン協議の末、ようやく復興基金の設立で合意した。焦点だった補助金と融資の額は、補助金3900億ユーロ、融資3600億ユーロで、補助金を当初の5000億ユーロから減らし、融資を増やすことで収まった。[nL3N2ES192]
FXストリート・ドットコムのシニアアナリスト、ジョセフ・トレビサーニ氏は「EU首脳が一致して復興基金の設立を認めたことは重要」と評価しながらも、内容は期待通りでなかったとし、ユーロの押し上げ効果は限定的になるとの見方を示した。
前日発表されたコロナワクチンを巡る良好な臨床試験(治験)結果を受け、市場心理も底堅さを保ったという。
ユーロ/ドル (EUR=)は0.69%高の1.15275ドル。一時1.154ドルと2019年1月11日以来の高値を付けた。
INGのアナリストはユーロ/ドルについて、復興基金の規模からしてユーロのロング(買い持ち)ポジションの手じまいが起きるとは考えにくいとし、年内に1.20ドルを目指す可能性があると予想した。
ドルは通貨バスケット (=USD)に対し0.64%安の95.123と3月初旬以来の安値。
豪ドル
ニュージーランドドル
<債券> 米金融・債券市場では、米国株が上昇したにもかかわらず、国債利回りが低下した。米政府による新たな新型コロナウイルス対策を巡る協議に注目が集まっている。
指標10年債利回り (US10YT=RR)は1.5ベーシスポイント(bp)低下の0.6053%。
BMOキャピタル・マーケッツのストラテジスト、ベン・ジェフリー氏は、米連邦準備理事会(FRB)による債券買い入れと低金利維持へのコミットが米債市場のボラティリティーを低下させる一方、米株市場にはポジティブに作用していると指摘。米国株は上昇しているものの、米債市場ではこれまでのレンジ相場が続いていると述べた。
一方、新型コロナ感染者と死者が急増する中で、新たな新型コロナ対策を巡るホワイトハウスと議会との協議は激化している。
シュワブ金融調査センターのチーフ債券ストラテジスト、キャシー・ジョーンズ氏は、財政刺激策が予想以上に大きな規模となれば、イールドカーブがスティープ化するとし、可能性は低いながらも「経済成長やFRBによる政策変更が早まるかもしれないという期待を高める」と語った。
一方、多くの州が再び閉鎖され、リセッション(景気後退)入りの可能性が高まれば、10年債利回りは低下するとした。
2年債利回り (US2YT=RR)は1bp弱低下の0.1432%。
2年債と10年債の金利差
<株式> 米国株式市場は、米政府が新たな新型コロナウイルス対策を策定するとの期待から景気敏感株に買いが入り、S&P総合500種とダウ工業株30種が上昇して終了した。ナスダック総合はハイテク株が売られたことで下落した。
年初来ではS&P500が0.8%高とプラス圏に浮上。ナスダックは19%上昇、ダウ平均は6%下落している。S&P500は2月下旬に付けた終値での最高値に4%以内の水準にある。
チェース・インベストメント・カウンセルのピーター・タズ社長は「景気に敏感な分野が非常に好調だった」とし、「米国と欧州の刺激策のほか、さまざまな企業の決算がまずまずだったことが背景だろう」と述べた。
米国の新型コロナ感染急増が続く中、数百万人に対する失業保険拡充が期限を迎える2週間足らずで議会は新たな景気刺激策をまとめようとしている。
タズ氏は、経済再開で需要の回復が経済全体で見られるようになっているとし、「回復か停滞かの瀬戸際にいる」と述べた。
一方、欧州連合(EU)首脳は21日、週末を挟んで5日間に及ぶマラソン協議の末、ようやく復興基金の設立で合意した。焦点だった補助金と融資の額は、補助金3900億ユーロ、融資3600億ユーロで、融資を増やすことで収まった。[nL3N2ES192]
セクター別ではエネルギー株 (SPNY)が6.2%急伸し、6月5日以来の上昇率となった。需要回復の兆しを受け原油価格が上昇した。
飲料大手コカ・コーラ (N:KO)は2.3%高。この日発表した第2・四半期決算は、売上高が28%減となったが、利益が予想を上回った。[nL3N2ES3PM]
軍事用航空機メーカー大手ロッキード・マーチン (N:LMT)は2.6%上昇。第2・四半期決算は予想を上回り、通年業績見通しを上方修正した。[nL3N2ES3MO]
電気自動車メーカーのテスラ (O:TSLA)は4.5%下落。JPモルガンが投資判断を引き下げ、前日付けた終値での最高値から後退した。
<金先物> 21日のニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、ドル安・ユーロ高を受けた割安感などを背景に買われ、3営業日続伸した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比26.50ドル(1.46%)高の1オンス=1843.90ドルと、中心限月ベースで2011年9月以来約8年10カ月ぶりの高値となった。
欧州連合(EU)首脳会議は21日、新型コロナウイルス危機対応で7500億ユーロの経済再建策について合意した。これを受けて外国為替市場では、ドル安・ユーロ高が進行。ドル建てで取引される金に割安感が強まり、買いが活発化。新型コロナのワクチン開発に関して、複数の製薬会社から臨床試験(治験)で有望な結果が報告されているものの、感染拡大への警戒感から「安全資産」としての金需要も依然として根強い。世界的に低金利環境が当面続くとの見方も、金利を生まない資産である金塊の支援要因となっている。
<米原油先物> 21日のニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場 は、欧米の追加経済対策や新型コロナウイルスのワクチン開発進展を好感し、続伸した。 この日納会を迎えた米国産標準油種WTIの中心限月8月物の清算値(終値に相当)は、 前日比1.15ドル(2.82%)高の1バレル=41.96ドル。米国で新型コロナ感 染拡大が深刻化し始めた3月初旬以来、約4カ月半ぶりの高水準を回復した。9月物の清 算値は1.00ドル高の41.92ドル。
欧州連合(EU)は21日、新型コロナ危機対応の経済再建策について合意。7500億ユーロの資金を供給する原案は規模や配分をめぐって調整が難航したものの、最終的に決着した。また米国でも、政権と与党共和党による追加経済対策をめぐる本格協議が始まり、エネルギー需要が上向くとの思惑が台頭。このほか、米国や欧州、中国などの製薬企業から新型コロナのワクチン開発が順調に進んでいるとの報が相次いだことも安心材料と受け止められ、相場は午前に一時42.40ドルの高値を付けた。
その後は上げ幅の一部をいったん縮小。ただ、ロイター通信が午後に発表した週間統計予想で、原油と石油製品の在庫がいずれも取り崩しを示したことなどが手掛かりとなり、再び買いが活発化した。
ドル/円 NY終値 106.76/106.79
始値 107.27
高値 107.31
安値 106.69
ユーロ/ドル NY終値 1.1526/1.1529
始値 1.1437 (EUR=)
高値 1.1539
安値 1.1426
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 98*15.00 1.3122% (US30YT=RR)
前営業日終値 98*10.50 1.3180%
10年債(指標銘柄) 17時05分 100*06.00 0.6053% (US10YT=RR)
前営業日終値 100*01.50 0.6200%
5年債(指標銘柄) 17時05分 99*29.00 0.2691% (US5YT=RR)
前営業日終値 99*26.50 0.2850%
2年債(指標銘柄) 16時18分 99*30.88 0.1432% (US2YT=RR)
前営業日終値 99*30.50 0.1490%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 26840.40 +159.53 +0.60 (DJI)
前営業日終値 26680.87
ナスダック総合 10680.36 -86.73 -0.81 (IXIC)
前営業日終値 10767.09
S&P総合500種 3257.30 +5.46 +0.17 (SPX)
前営業日終値 3251.84
COMEX金 8月限 1843.9 +26.5
前営業日終値 1817.4
COMEX銀 9月限 2155.7 +136.5
前営業日終値 2019.2
北海ブレント 9月限 44.32 +1.04 (LCOc1)<0#LCO:>
前営業日終値 43.28
米WTI先物 8月限 41.96 +1.15 (CLc1)<0#CL:>
前営業日終値 40.81
CRB商品指数 142.5041 +1.8134 (TRCCRB)
前営業日終値 140.6907 OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20200721T221845+0000