[ロンドン 29日 ロイター] - ロシア財務省は29日、来週4月4日に償還期限を迎える20億ドルのドル建て国債について、ルーブルで買い戻すと発表した。
ドルの受け取りが制限されている国内債券保有者を支援すると同時に、ハードカレンシー(国際決済通貨)での債務返済負担を軽減するのが狙いとみられる。
ロシアは西側諸国が導入した制裁措置を「経済戦争」と形容。これまでに非友好国に対し天然ガス購入時にルーブルでの支払いを求めており、対抗措置を強化した格好だ。
財務省は、債券保有者はロシア連邦証券保管振替機関(NSD)に売却の意向を30日1400GMT(日本時間午後11時)までに示す必要があると表明。額面価格で買い戻すとしたが、20億ドルのうちどの程度を買い戻すのか、また財務省の提案に応じない債券保有者への対応などについては明らかにしなかった。
JPモルガンによると、同債には30日間の猶予期間が設定されており、代替通貨での支払いに関する規定はない。
債券保有者がルーブルの受領を強制されるかは現時点で不明だが、同債の条件に違反すれば、ロシアがデフォルト(債務不履行)に陥ったと判断される可能性がある。
ブルーベイ・アセット・マネジメントのティム・アッシュ氏は、ロシア中央銀行と財務省による「デフォルト回避と、市場とルーブル相場の安定化」に向けた措置の一環との見方を示した。
シーポート・グローバルの信用アナリスト、ヒマンシュ・ポーワル氏は「これは買い戻し提案であり、これらの国債がルーブルで支払われるという最終決定ではない。ロシア当局者は投資家がルーブル受け取りにどの程度前向きか見極めたいのかもしれない」と述べた。
ニューバーガー・バーマンの運用担当者カーン・ナズリ氏は、国際証券決済機関ユーロクリアがロシア決済システムへのドル支払いを停止しているため、財務省の提案は国内投資家が支払いを受けられるようにすることが狙いではないかと指摘。
「(買い戻しに応じるのは)制裁で課題に直面している国内債券保有者や現地の銀行のみだろう」とし、ルーブルはもはや交換可能通貨でないため、海外投資家は関心を持たない可能性が高いとした。
ロシア財務省はこの日、2035年償還のユーロ債について、利払いを完全履行したと表明。西側諸国の制裁で外貨建て債務のデフォルトに対する懸念が浮上して以降、3度目の利払いとなる。