執筆:Noreen Burke
Investing.com -- 来月の50bpsの利上げ観測が広がる中、今週のハイライトは水曜日に発表される3月のFOMC議事要旨であり、内容が精査されることになるだろう。金融引き締めが経済に与える影響への懸念とともに、ウクライナ戦争をめぐる情勢が引き続き注目される。経済成長見通しへの懸念は株式市場ではみられていないが、米国債市場は警告のサインを点滅させている。また欧州中央銀行も議事録を発表し、豪州準備銀行は政策金利決定会合を開く予定である。一方、原油価格は週ベースで2年ぶりの急落を記録し、引き続き注意が必要だ。週が始まるにあたって知っておくべきことは以下の通りだ。
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FOMCの議事要旨
水曜日に発表されるFOMC会合の議事要旨では、金融政策の見通しに関する最新情報が投資家に提供され、FRBが有する9兆ドルのバランス・シートを縮小する計画に関する詳細も含まれる可能性がある。
このような状況の中、FRBは先月、インフレ抑制を目的とした金融引き締めサイクルの第一段階として、25bpsの利上げを実施した。3月のFOMC会合以降、パウエル議長を含む複数のFRB当局者が、高インフレ状態の長期化を防ぐため、より積極的な利上げを行う用意があることを示唆している。
先週金曜日に発表された雇用統計は堅調な内容となり、5月4日の次回FOMC会合でFRBが50bpsの利上げに踏み切る道筋をつけるものだった。
また、今週はBrainard理事、ミネアポリス連銀のKashkari総裁、ニューヨーク連銀の Williams総裁、セントルイス連銀のBullard総裁など複数のFRB幹部が公の場に姿をみせる予定になっている。
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米国債市場での警告シグナル
先週金曜日に発表された、雇用統計が強い結果となったことから、FRBの利上げ観測が強まったことを受けて、米国債のイールド・カーブ上の長短金利差が再び逆転した。
イールド・カーブの反転は、短期ゾーンの利回りが長期ゾーンの利回りを上回る現象であり、一般には将来的な不況を示唆するものである。
金融引き締めやウクライナ戦争による不透明感から、景気が後退するとの懸念は株式市場ではまだみられていないようだが、債券投資家はより悲観的な見方をしているようだ。
しかし、特にFRBの大規模な債券購入プログラムによって長期ゾーンの利回り上昇は抑制されていることから、景気後退の指標としてのイールド・カーブの反転の信頼性は低下しているとの見方もある。
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原油価格の変動
先週は、バイデン米大統領が5月から6ヶ月間、日量100万バレルの原油を戦略的石油備蓄(SPR)から過去最大規模で放出すると発表したため、ブレント原油と米国原油はともに約13%下落し引け、週次では過去2年で最大の下げ幅となった。
ロシアのウクライナ侵攻により、第1四半期の原油価格は約30%上昇し、エネルギー・コストの高騰がインフレ期待の主要因となっている。
しかし、エネルギー市場のアナリストは、バイデン大統領の計画に対して懐疑的なようだ。
オンライン取引プラットフォームOANDAのアナリスト、Ed Moya氏は、「今後6カ月間にSPRから1日100万バレルを放出するという発表による軽率な判断は、原油価格に長期的な影響を与えないために、地政学リスクが激化し続ければ、原油は先週の下落分のほとんどを取り戻すだろう」と述べた。
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経済指標
水曜日のFOMC議事要旨を除けば、今週の経済カレンダーに注目度の大きいイベントは少なく、火曜日のISMサービスPMIが主な焦点となりそうだ。
エコノミストは、当指数が3月に記録した56.5という12ヶ月ぶりの低水準から58.0に回復すると予想している。オミクロン株による感染波の影響で、12月に記録した69.1という過去最高値から下落し、インフレ高騰への懸念が消費者需要を制限する可能性がある。
米国ではこのほか、製造業新規受注、新規失業保険申請件数、貿易収支の発表が予定されている。
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各国中央銀行の動向
ECBは3月の理事会の議事録を公表する予定であり、4月14日に予定されている理事会まで1週間余りとなっている。ECBは先月、景気刺激策を撤廃する計画を加速させると発表し、市場にサプライズを与えた。
それ以来、3月のユーロ圏のインフレ率は7.5%と過去最高を記録し、パンデミックの影響が残り、ウクライナ戦争の影響で経済成長が鈍化しているにもかかわらず、インフレ抑制のために行動するようECBへの圧力が強まっている。
その他の地域では、豪州準備銀行は火曜日の最新の政策設定会合で金利を据え置くと予想されている。
カナダ銀行は月曜日に景気見通し調査を発表する予定であり、明るい数値であれば、13日の次回会合で50bpsの利上げ期待が強まる可能性がある。
--ロイターの報道を基に当記事を執筆