執筆:Geoffrey Smith
Investing.com -- 世界一の富豪が、世界最大のソーシャルメディア企業の買収提案を表明した。ドルの上昇は一服し、債券利回りは週間失業保険申請件数と月次消費者センチメントの指標発表を前に、高いままで安定した。ECB は 8 週間ぶりとなる政策会議を開催し、ロシアの黒海艦隊は旗艦を爆発で失い、米国はウクライナにさらなる軍事支援を行う。4月14日(木)の金融市場で知っておくべきことは、以下の通りである。
1. イーロン・マスク氏、Twitter(NYSE:TWTR)の買収を提案
Tesla(NASDAQ:TSLA)のCEOであるイーロン・マスク氏は、Twitterを1株54.20ドルの現金で買収することを提案した。これはTwitter社の価値を414億ドルと評価したことになる。この提示価格は、12日前にマスク氏が同社の9.2%の株式を「パッシブ」に保有していることを公表した前日の価格に対して38%のプレミアムとなる。
この提案は、同氏が適時に株式取得を開示しなかったとして訴訟を起こしているTwitterの株主の一部を納得させる効果を持つかもしれない。
いずれにせよ、マスク氏が世界で最も影響力のあるメディア資産を買収するという見通しは、米国政府やTeslaの株主の間に波紋を呼びそうだ。Teslaの一部の株主は、同氏の関心事を社内でなく社外に向けさせるものだと批判している。
2. ドル安、失業保険申請件数、ミシガン州消費者景況感
ドル高が一服したのは、市場参加者がFRBの積極的な利上げの動きに対する見通しを見直したためである。この背景には3月の消費者物価指数でコア・インフレ率がわずかに下振れしたことで、数ヶ月ぶりに物価の憂慮すべき傾向が緩和されたことを受けたためと思われる。
米国東部時間午前6時30分(午前10時30分GMT)には、ドル・インデックスは99.65となり、前日比0.4%減、週明けにつけたピークからほぼ1%ポイント減となった。この動きは、カナダとニュージーランドが水曜日に主要金利を0.5%ずつ引き上げ、債券ポートフォリオの縮小を許可し始めたことで、他の中央銀行がインフレ対策を示したことにも起因している。
米国債利回りも緩和され、2年債利回りは2.34%、10年債利回りは2.70%前後であり、それぞれ安定的に推移している。この後、先週の新規失業保険申請件数や、東部時間午前10時に発表されるミシガン州の消費者態度調査によって、状況が変動する可能性がある。
3. 欧州中央銀行の会合
今週の中央銀行の一連のニュースは、この後、欧州中央銀行の会合の内容が注目される。
しかし、ユーロ圏の経済は先進国の中でロシアのウクライナ戦争の影響を最も受けていることから、ECBは政策の変更を発表しないと予想される。Volkswagen (ETR:VOWG_p) は、3月のグループ販売台数が前年比で31%減少したと発表し、商品市場の変動が同社のヘッジ業務に悪影響を及ぼす可能性があると警告したのもその表れである。(JPMorgan (NYSE:JPM)は水曜日に、先月のニッケル市場の狂乱で1億2千万ドルの損失を出したことを認めた)。
フランクフルト市場でユーロは対ドルで0.3%上昇したが、ロシア・ウクライナ間の開戦以来、約3.3%以上下落している。 記録的な高インフレにもかかわらず、トレーダーは年内に0.5%以上の金利引き上げを見込んでいる。尚、ECBは今のところ、そのような予想を否定している。
4. 株式市場は上昇を期待、銀行決算発表に再び注目
(水曜日の)米国株式市場はこの後、小幅な上昇で始まるが、伝統のある代表的企業であるJPMorganの決算が予想を下回ったため、(木曜日の)取引開始前に発表される一連の銀行決算が注目されることになる。
Goldman Sachs (NYSE:GS)、Morgan Stanley (NYSE:MS)、Wells Fargo (NYSE:WFC)、Citigroup (NYSE:C)、PNC Financial (NYSE:PNC)、US Bancorp (NYSE:USB)、State Street (NYSE:STT)、UnitedHealth (NYSE:UNH)は取引開始前に決算発表予定である。尚、UnitedHealth(NYSE:UNH)は、これらの企業の中で非金融企業としては最大の企業である。
木曜日東部時間午前6時30分では、ダウ・ジョーンズ先物は65ドル(0.2%)上昇、S&P500先物は0.1%弱、ナスダック100先物は0.1%強の上昇となっている。
水曜日には、金利懸念が少し和らいで、ダウとS&Pがそれぞれ1%以上、ナスダック総合が2%以上上昇し、主要指数が堅調な上昇をみせていた。
5. ロシア海軍黒海艦隊の旗艦が爆発で沈没
ロシアは、黒海艦隊の旗艦が爆発で沈没し、ウクライナとの戦争で困難が増した。
巡洋艦モスクワ(Moscow)の乗組員が、艦内で弾薬の爆発が相次ぎ、退艦せざるを得なくなったことをロシア国防省が声明で認めた。この爆発がウクライナの攻撃によるものか、整備や安全対策の不備によるものかは明らかではない。
尚、米国は先に、ウクライナ東部地域への新たな攻撃に対応するため、8億ドルの軍事支援を追加で送ることを発表している。