執筆:Yasin Ebrahim
Investing.com -- FRBの政策立案者は、インフレ抑制のために利上げを「迅速に」行うべきとの認識で一致したが、労働市場の堅調さを指摘し、景気後退の可能性は低くみているようである。
「出席者はより中立的な金融政策スタンスに迅速に移行することが重要であると判断した」とFOMC会合の議事要旨に記載されている。
5月4日に開催された前回のFOMC会合終了時に 、0.75%から1%の幅で基準金利を引き上げた。この動きは、FRBにとって2000年以来最大の利上げとなった。
金融政策発表後の記者会見で、FRBのパウエル議長は経済の過熱感を冷やし、高まったインフレを抑制するためには、さらに0.5%の利上げが必要であることを示唆した。
同議長は5月4日の記者会見で、「FOMCでは、今後数回の会合で0.5%の追加引き上げが検討されるべきだという広範な認識がある」と述べた。
またFRBが今後のFOMC会合でより大規模な利上げを視野に入れているとの懸念を払拭した。また「0.75%の利上げはFOMCが積極的に検討しているものではない」とも述べた。
しかし、ここ数日で市場関係者の間ではFRBが年内に利上げサイクルを一旦停止し、インフレに対する進捗状況を再評価するとの見方が広がっている。
アトランタ連銀のBostic総裁は月曜日、アトランタ・ロータリークラブでの講演の後、記者団に「9月に一旦利上げサイクルを停止することが理にかなっていると思う、という基本的な考えを持っている」と語った。
10年物インフレ率のブレークイーブン(今後10年間のインフレ期待の重要な指標)は、今週初めに2.6%に低下し、FRBの目標である2%を依然として上回っているが、2月末にみられた3%以上からは低下している。
この指標は、タカ派的でないFRBを支持するようにみえる。インフレ期待は低下傾向にあり、金融引き締めは住宅や製造業など経済界の主要分野で要求され始めている。
FRBメンバーから発せられるタカ派的でないシナリオに対し、市場参加者は政策金利のピークに対する考えを再評価している。
「0.75%の引き上げという考えは薄れつつあるようで、FRBの政策金利のピークが3%超の領域にあるという話は沈静化している」と、INGは今週初めに述べている。
米国債利回りもこれに呼応し、最近の上昇が止まり、米国10年債利回りは3%から後退している。
FRBは来月、保有する約9兆ドルのバランス・シートを縮小することで量的引き締めを開始し、金融環境のさらなる引き締めに着手する予定である。
尚、FRBは6月1日からバランス・シートの縮小を開始し、毎月475億ドルのペースで縮小していく予定である。
この計画ではFRBはまず 300 億ドルの米国債と175億ドルのエージェンシーMBSをバランス・シートから売却させるが、3ヵ月後にはそのペースをそれぞれ月600億ドルと350億ドルに段階的に引き上げる予定である。