[オタワ 16日 ロイター] - カナダ統計局が16日に発表した7月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で7.6%上がり、上昇率は6月の8.1%からやや鈍化し、市場予想と一致した。食品価格が急上昇したものの、ガソリン価格の伸びが大幅に鈍化し、全体を押し下げた。しかし、大幅利上げは引き続き見込まれている。
7月の前月比は0.1%上昇で、予想と一致した。
デジャルダン・グループのマクロ戦略部門の責任者ロイス・メンデス氏は投資家向けのノートで「今日の消費者物価指標を見てカナダ人はほっとするだろう」とした上で、「しかし、現状に満足している場合ではない」と指摘。ガソリン価格が6月に54.6%上がっていたのに対し、7月に上昇率が35.6%に縮小したのが前年同月比で鈍化した大きな要因とし、食品価格に加えて需要主導型の航空券やホテル宿泊料金などは上昇が続いていると言及した。
カナダ銀行(中央銀行)が景気判断で重要視するCPIコモンは5.5%上昇。6月は5.3%上昇と、大幅に上方改定された。
7月のCPI中央値は5.0%上がった一方、CPIトリム値は5.4%上昇とやや鈍化した。
マネックス・カナダのマーケットアナリスト、ジェイ・ザオ・マレー氏はこれらの3つの指標の平均値は過去最高で、今後数カ月間は経済が物価上昇圧力に直面することを示唆しており、9月の大幅利上げの見込みが高まっていると語った。
こうした中、カナダ銀行(中央銀行)のマックレム総裁はナショナル・ポスト紙のウェブサイトに掲載された論説で、「カナダのインフレ率はやや低下したが、依然として高すぎる。インフレがピークに達したように見えるのは良いニュースだが、悪いニュースはインフレが当面高止まりする可能性が高いことだ」と指摘。物価を急激に押し上げてきたガソリンなどコモディティー価格がここ数カ月で減速しているもようで、この傾向が続けばインフレは鈍化し続けるとした。
一方で、インフレを引き起こす世界的な要因の多くはすぐに解消されないとし、「中銀として、インフレをコントロールすることがわれわれの業務であり、それは状況を落ち着かせる必要があることを意味する。そのために3月から利上げしてきた」と言及。「高インフレから人々を守る最善の方法はインフレを取り除くことだ。それがわれわれの業務であり、それを成し遂げる決意だ」とし、「われわれの業務がまだ終わっていないことは分かっている。インフレ率が目標の2%に回帰するまで終わらないだろう」とした。