[ニューヨーク 30日 ロイター] - ニューヨーク外為市場では、米連邦準備理事会(FRB)が25ベーシスポイント(bp)の利下げを決定したものの、今後は利下げ休止を示唆したことで、ドル指数が上昇した。
FRBはがこの日までの2日間の日程で開いた連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を1.50─1.75%に25bp引き下げることを8対2で決定。利下げは予想通りだったが、FRBは今回のFOMC声明から景気拡大を維持するために「適切に行動する」との文言を削除した。この文言は将来的な利下げを示すものと解釈されていた。
CIBCキャピタル・マーケッツ(トロント)の北米外為戦略部門責任者、ビパン・ライ氏は文言削除について、FRBの今後の利下げに向けた勢いが弱まる可能性があると指摘。通商協議の悪化などがない限り利下げのハードルは高くなったとの見方を示し、「短期的にドル弱気はある程度抑制される」と述べた。
パウエルFRB議長はFOMC後の記者会見で、現在の金融政策スタンスが適切であり続ける公算は大きいとし、FRBが現在のスタンスを変えるには見通しの大幅な再考証が必要になると発言。こうした発言からも短期的に追加利下げはないとの見方が裏付けられた。
パウエル議長の記者会見中に主要6通貨に対するドル指数 (DXY)は上昇し、98.00と、10月17日以来の高水準を付けた。その後は0.09%高の97.77となっている。
商務省が朝方発表した第3・四半期の実質国内総生産(GDP)速報値(季節調整済み)は年率換算で前期比1.9%増と、市場予想の1.6%増を上回った。
これを受け、ドルはやや上昇。ウェルズ・ファーゴ(ニューヨーク)の外為ストラテジスト、エリック・ネルソン氏は「成長率はトレンドを下回ったが、それでも比較的安定しており、海外情勢を踏まえるとかなり底堅かったといえる」と述べた。
この日はチリのピニェラ大統領が11月に予定していたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の開催を断念すると発表。APEC首脳会議では米中首脳が「第1段階」の通商合意に署名するとの見方が出ていたことで、開催断念はドルの押し下げ要因となった。
米GDP統計とFOMCがこなされた後、市場の注目は11月1日に発表される10月の米雇用統計に移っている。
ドル/円 NY終値 108.83/108.86
始値 108.82
高値 109.28
安値 108.73
ユーロ/ドル NY終値 1.1148/1.1152
始値 1.1120
高値 1.1151
安値 1.1081