先週の新興市場では、日経平均と同様にマザーズ指数、日経ジャスダック平均も連日の大幅安となった。
世界的に新型肺炎の感染が広がり、これまで比較的堅調だった欧米株が大きく値を崩すと、東京市場でも運用リスクを回避する動きが一段と強まった。
個人投資家からの目先の利益を確保する売りや損失限定の売りもかさみ、マザーズ指数は2016年2月以来およそ4年ぶりに700ptを割り込む場面があった。
なお、週間の騰落率は、日経平均が-9.6%であったのに対して、マザーズ指数は-15.4%、日経ジャスダック平均は-11.6%だった。
個別では、メルカリ (T:4385)が週間で0.2%安にとどまったものの、フリー (T:4478)が同20.5%安、Sansan (T:4443)が同11.3%安とマザーズ時価総額上位は軒並み大幅安。
前の週まで堅調だったインターネット/IT系銘柄にもリスク回避目的の売りが広がった。
売買代金上位では投資家心理の影響を受けやすいそーせいグループ (T:4565)、ジーエヌアイグループ (T:2160)といったバイオ関連株が大きく下落し、週間のマザーズ下落率上位にもブライトパス・バイオ (T:4594)などが顔を出した。
反面、出資先が新型肺炎の治療薬開発に着手したカイオム・バイオサイエンス (T:4583)、教育向けICTサービスのバーチャレクス・HD (T:6193)やすららネット (T:3998)などが逆行高となったが、値上がり銘柄数は4にとどまった。
ジャスダック主力も日本マクドナルドHD (T:2702)が同13.4%安、ワークマン (T:7564)が同18.8%安、ハーモニック・ドライブ・システムズ (T:6324)が同13.2%安ときつい下げ。
売買代金上位ではリプロセル (T:4978)が軟調で、協和コンサルタンツ (T:9647)などが週間のジャスダック下落率上位に顔を出した。
反面、巣ごもり消費関連として出前館 (T:2484)などが買われ、fonfun (T:2323)はテレワーク関連とされて上昇率トップになった。
IPOではAHCグループ (T:7083)がマザーズへ新規上場し、公開価格を6割ほど上回る堅調な初値を付けた。
今週の新興市場は、引き続き不安定な相場展開を強いられそうだ。
2月28日の米NYダウは7日続落し、マザーズ先物も夜間取引で大きく下落。
株価変動率(ボラティリティー)が急上昇したことで、当面は株式市場全体として買い持ち高を減らす動きが続くだろう。
マザーズでは既に信用取引の追い証(追加証拠金)発生に伴う売りがかなり出ているとみられるが、新型肺炎の影響が広範に及んできたため、積極的な押し目買いに動ける銘柄は少ない。
このため、前述した教育支援や巣ごもり消費、テレワーク関連の限られた銘柄に資金が集中しやすいだろう。
直近の好決算も加わってしっかりした値動きのAmazia (T:4424)などに注目したい。
なお、今週は3月4日にウチダエスコ (T:4699)、6日にアスカネット (T:2438)などが決算発表を予定している。
学校教育のIT化推進が追い風となっているウチダエスコは業績好調が続くか注目されそうだ。
IPO関連では、3月2日にカーブスHD (T:7085)が東証1部へ、4日にKids Smile HD (T:7084)がマザーズへ、6日にきずなHD (T:7086)がマザーズへ、ウイルテック (T:7087)が東証2部へそれぞれ新規上場する。
3月の新規上場企業は28社と、2014年12月以来の社数となっている。
カーブスHDは国内初の「スピンオフ上場」として注目されているが、悪地合いのなかでのIPOラッシュには不安も出てきそうだ。