[東京 2日 ロイター] - 東京国際金融機構の中曽宏会長(前日銀副総裁)は2日、脱炭素への移行を支援する金融をテーマとしたセミナーであいさつし、東京証券取引所による二酸化炭素(CO2)の排出量取引市場の本格稼働に向けた取り組みについて、「アジア・太平洋地域を中心とする海外の取引プラットフォームとの間で相互接続の可能性を模索することが重要だ」と述べた。
中曽会長は、透明・公正かつ円滑に排出量が取引できるような市場の枠組みが整備されれば「事業法人や金融機関による炭素排出の抑制に対して合理的な経済価値を付与することが可能になる」と指摘。脱炭素への移行に向けた取り組みの持続可能性を大きく高めることにつながるのではないかと述べた。
さらに、アジア・太平洋地域の主要都市で同じ基準で排出量取引することができれば、地域全体の「エネルギートランジションに貢献できるのではないか」と語った。
中曽会長は、日本は金融資産の蓄積、分厚い産業構造、インフラの集積という点で優れ、アジアの脱炭素に貢献する上で「他の金融センターとは異なる独自の役割を果たしていくことができるのではないか」と話した。
中曽会長はあいさつで、アジア太平洋経済協力会議(APEC)のビジネス諮問委員会でトランジションファイナンスを含む金融問題を取り扱うタスクフォースの議長を務めることを明らかにした。「有益な成果を挙げられるよう、最大限努力していきたい」と述べた。
中曽会長は次期日銀総裁の有力候補の1人とみられている。