[ロンドン 16日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)は16日、2021年末に予定されるロンドン銀行間取引金利(LIBOR)廃止に向けた市場の対応が遅れていることを背景に、銀行や保険会社に資本の積み増しを強制するか、その他の「監督手段」を用いる可能性があると警告した。
50年間にわたって重要な指標金利であり続け、住宅ローンをはじめ400兆ドルにのぼる金融取引で基準金利として使われているLIBORの廃止は、市場にとって大きな試練だ。
複数の大手銀行によるLIBORの不正操作問題が2012年に発覚し、関与した大手行には合計90億ドル前後の罰金が科された。これを契機に、指定金融機関が提示したレートを基に算出する方法が問題視されるようになり、金融当局はLIBORを2021年末までに廃止する方針を表明した。
イングランド銀行と金融行為監督機構(FCA)は金融機関に書簡を送り、LIBORは2年後には廃止され、他に選択肢はないと警告した。
公表された書簡は「イングランド銀行の金融行政委員会(FPC)は、金融機関の移行度合いを踏まえながら、監督手段を利用する可能性について検討している」と表明。
FPCは、LIBORを利用した巨額の取引が残ったままLIBORの廃止時期が近づき、金融市場の安定が脅かされることを懸念している。前月には、LIBORに依存し続けることのリスクについて警告を発した。
イングランド銀行はFPCがどんな手段を用いるかは明らかにしていないが、FPCには資本の積み増しを命じたり、リスク対策が十分ではない融資に対する規制を強化する権限がある。
イングランド銀行とFCAは今年第3・四半期までにLIBORを使ったローンを廃止しなければならないことをあらためて確認するとともに、ポンド建ての金利スワップ取引で参照する指標金利を、3月2日までにLIBORからイングランド銀行が算出するポンド翌日物平均金利(SONIA)に切り替えるよう促した。
イングランド銀行は前月、LIBORからSONIAに切り替える動きが「頭打ちになっているようだ」と懸念を示し、SONIAに基づくローン市場を確立するためにもっと努力が必要だと指摘していた。