[ブエノスアイレス 28日 ロイター] - アルゼンチンのラクンサ財務相は28日、国債保有者および国際通貨基金(IMF)と債務返済期限の延長について交渉する考えを示した。確実な債務返済を図るためだとした。
同相は、アルゼンチンを訪問したIMFの担当チームと協議した後に記者会見を開き、IMFから緊急時に融資を受けられる総額570億ドルのスタンドバイ融資枠を利用した借り入れについて、返済期限を再設定する見通しだと明らかにした。
また、機関投資家が保有する国債も償還期限を延ばす考えだが、海外および国内向けに発行した国債について、今後支払われる利子と元本は変更しないと説明した。
「安定を確保することが目下の優先課題だ。安定がなければ景気活性化策を講じる意味がない」と語った。
通貨ペソはこの日の取引で大幅に下落。中銀はペソ安に歯止めをかけるため、前日に続いて市場介入を実施した。
ペソおよびアルゼンチンの株式と債券は、今月11日に実施された10月の大統領選挙の予備選挙で野党候補のフェルナンデス元首相が現職マクリ大統領を抑えて首位に立ち、マクリ氏の再選が危ぶまれる状況となったったことをきっかけに売りが加速している。
ラクンサ氏は、選挙に向けた安定確保のため、短期的な問題を解消するようマクリ大統領から指示があったと明かし、「大統領が国債償還の過剰な負担という制約なしに政策を実施できるように措置を講じた」と述べた。
大統領予備選以降にペソの対ドル相場が22%近く急落したことから、アルゼンチン政府によるドル建て国債の返済能力について懸念が強まっていた。
ラクンサ氏によると、短期債の償還期限は3─6カ月延長される見通しで、国内向け国債の償還期限変更は議会の承認が必要になる。
ブエノスアイレスのコンサル会社FyEConsultのエコノミスト、ヘルナン・エステベス氏は「市場はこれをデフォルト(債務不履行)と見なすだろう」と指摘。
「現政権による債務再編案が次期政権によって実施されなければならないという問題がある」と述べ、「この結果、秩序立った再編を遂行するのは非常に困難になる」とした。
IMFのゲリー・ライス報道官は声明で、アルゼンチン政府の新たな債務返済計画を精査しているとした上で、同国政府は流動性需要に対応し、外貨準備の保全を図るために「重要な措置」を講じたとの認識を示した。
一方、アルゼンチン中銀は、引き続き金融引き締め策を実施し、ペソ下支えのための為替介入を続けるとの声明を出した。
債務返済期限の延長は中銀が保有するドル準備金の取り崩しを防ぐ狙いがある。ドル準備金は今月26日時点で579億ドル。
中銀のグイド・サンドレリス総裁は別の声明で今回の決定について、「国債の大口保有者への支払い延期を伴うことになっても、外貨準備を活用した金融安定の維持を優先させる」と説明。通貨への下押し圧力を弱めることにもなるとした。
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