[フランクフルト 6日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のパネッタ専務理事は6日、ユーロ圏経済が今年マイナス成長に陥る可能性があると指摘、ECBが短期的な高インフレを封じ込めるために行動すれば、経済が崩壊しかねないと述べた。
専務理事は講演で「四半期ベースの成長率は今年は非常に低くなるだろう。戦争の悪影響で成長率がマイナスに陥り、長期にわたって影響を及ぼす恐れも十分にある」と発言。
石油・ガス価格は長期的に高止まりするとみられ、食品価格もさらに上昇する可能性があるとした上で、中期的な見通しが依然として目標付近にある中、ECBが足元のインフレを抑制すれば、かなりの負担が生じるとの見方を示した。
「インフレを抑制するのであれば、その代わりに、内需を大幅に抑制する必要が生じる。現実には、欧州経済が現在見舞われている実質所得の犠牲を増幅する必要が生じる」と発言した。
専務理事は、ECBではなく、政府が補助金や減税を通じて危機を緩和する必要があるとし、ECBは足元の高インフレでインフレ期待が上昇するリスクやアンカーが外れるリスクがある場合にのみ行動すべきだと主張。「現在、そうした二次的な影響の形跡は見られない」と述べた。
防衛費の拡大や、環境を重視した社会改革のグリーントランスフォーメーション(GX)などは、中央集権的な財政政策がコストを上回る投資だと主張。「投資の拡大とそれに伴うコストの責任を加盟国だけに負わせれば、国によっては投資不足や財政余力の縮小につながる可能性がある」と指摘した。