3月4日のダウ平均は急落した。米中貿易協議の合意が世界経済の早急な回復に繋がるのかという疑惑がある中、取引開始当初は買いが優勢となっていたが、その後は下落することとなった。
ダウ平均は前日比0.79%安、S&P500指数は0.39%安、ナスダック総合指数は0.23%安となった。押し目買いが入るまでダウは一時415ポイントまで値を下げていた。
米中貿易協議は今月の合意に近づいている。しかしブレグジットや米欧貿易戦争、中国経済の減速といった逆風が立ちはだかる中で、果たして米中貿易戦争の解決が世界経済の回復につながるのかといった懐疑的な考えから、投資家の楽観ムードが消え、株式市場を反落させている。
米中貿易協議が合意に達し、世界経済の回復や中国株を押し上げる要因となったとしても中国経済の中核にある問題の解決には繋がらないと主張している人もいる。
外需株であるボーイング(Boeing) (NYSE:BA)株は1.8%安となったが、キャタピラー( Caterpillar )(NYSE:CAT)株は上昇した。
貿易協議以外の面でも、金融やヘルスケア銘柄の低迷が株式市場全体の重しとなっている。ユナイテッド・ヘルス・グループ(UnitedHealth Group) (NYSE:UNH)はダウ構成銘柄の中で最も値を下げ、4.1%安となった。
市場でのリスク回避姿勢から、米国債への買いが殺到したことで米国債利回りは上昇し、銀行株は下落した。
米国10年債利回りが日中最低値で取引を終えたことで、ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs) (NYSE:GS)、シティグループ (NYSE:NYSE:C)、モルガン・スタンレー( Morgan Stanley )(NYSE:NYSE:MS)株は1%以上下落した。
国債利回りの下落は、調達金利と貸付金利の差である純金利マージンを減少させるため、銀行業にとって逆風となる。
テック銘柄のFAANG株が好調であったことから、市場全体の下落は抑えられた。フェイスブック(Facebook) (NASDAQ:FB)、アマゾン(Amazon.com) (NASDAQ:AMZN)株は上昇を牽引していたが、Netflix (NASDAQ:NFLX)株は下落し、日中最安値で取引を終えた。
その他企業関連のニュースでは、テスラ(Tesla) (NASDAQ:TSLA)が新型クロスオーバーSUV「モデルY」の詳細なスペックを発表したが、同社株は3.2%安となった。3月3日のイーロン・マスクCEOのツイートにおいて、モデル3と比べるとモデルYの価格は高くなり、同じ電池を使用すると航続距離は「やや短くなる」と発言している。
経済面では、直近の経済指標が相次いで予想を下回っている中で、12月の建設支出が予想を下回り、経済減速への懸念が強まった。
ウェルズ・ファーゴは、今回の12月統計で2018年の「総支出額が4.1%増、住宅支出が3.3%増と、住宅建設の景況感が悪化している中、2011年以来で最も鈍化したペースである」と発言した。
4日のS&P500指数 上昇/下落銘柄
DISHネットワーク( DISH Network ) (NASDAQ:DISH)、プルト・グループ(PulteGroup) (NYSE:PHM)、ノーブル・エナジー( Noble Energy )(NYSE:NBL)株の上昇幅が最も大きかった。
一方で下落幅の大きかった銘柄は、センチュリー・リンク( CenturyLink ) (NYSE:CTL)、ウェルケア・ヘルス・プランズ(WellCare Health Plans) (NYSE:WCG)、ギャップ(Gap) (NYSE:GPS)であった。