先週の米国株式市場は、注目されていたパウエルFRB議長の講演内容がかき消されるような米中貿易戦争の激化によって、主要3指数揃って大きく下落した。ダウ平均は623ドル安と大きく下落している。
中国の報復関税の発表に始まり、これに対するトランプ大統領による報復措置を示唆するツイートによって、株式市場の下落が大きくなった。大引げ後に、従来の2500億ドルに課している税率を25%から30%に、さらに予定されている第4弾関税は10%から15%にすると発表されている。9月には再度米中閣僚級貿易協議が予定されているが、この相次ぐ報復措置によって実際に開催されるかも不透明になっている(中止の発表はない)。開催されたとしてもこの状況からの改善見込みはかなり薄くなってきている。
この状況を受け、再び米国債が買われたことにより、10年年債利回りは再度1.5%を下回り、午前10時35分時点では1.488%となっている。ドル/円も大きく円高が進み、朝方年初につけた安値を下回って104.47円まで下落したが、反発して105.23円となっている。
上海総合指数は1.31%安、香港ハンセン指数は3.29%安と大きく下落。ドル/オフショア人民元は0.44%高と人民元安がさらに加速している。
先週、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄し、日韓関係悪化による韓国経済への悪影響が懸念されている韓国市場は韓国総合株価指数が1.58%安、ドル/ウォンが0.52%高となっている。米中経済戦争による影響を受けやすい国だけに、ウォン安がどこまで進むかが注目される。すでに2017年の水準を抜けており、8月13日の最高値1224.96を超えてくると、2016年につけた1250が次のターゲットになる可能性がある。
日経平均株価は2万237円と大幅安となっているが底堅い。朝方に2万100円台をつけていたが、2万円を試すことなく戻しに転じている。8月には2度同様に2万100円台をつけたが、どちらも下髭を残して終値では2万400円台まで戻していることもあり、本日も「2度あることは3度ある」となるかが注目される。ただし、過去2度と違うのはドル/円が104円台まで進んだことであり、こちらは要注意だ。8月に3度目となれば下値を試す局面があっても何ら不思議ではない。本日の米国市場の動向も予測が難しく、こちらも下落懸念を増大させている。為替等の外部環境次第では2万円台を試す可能性があり、後場の値動きには要注目だ。