米中貿易協議への懸念の高まりによって、火曜日の米株式市場は主要3指数揃って大きく下落した。米商務省が事実上の禁輸リストである「エンティティー・リスト」に中国企業などを指定したことと、国務省が新疆ウイグル自治区のイスラム教徒への弾圧などを理由に中国当局者にビザ発給を制限したことが理由だ。パウエルFRB議長が講演で短期金利の乱高下を防ぐための保有資産拡大を明言し、追加利下げを否定しなかったことで、金融緩和期待が大きくなったが米中協議への懸念がそれを上回った。ダウ平均株価は313.98ドル安で終了している。
午前10時43分時点で米10年債利回りは1.536%、ドル/J円は107.09円となっている。
上海総合指数は0.56%安、香港ハンセン指数は0.58%安、韓国市場は休場となっている。ドル/オフショア人民元は0.16%安、ドル/ウォンは0.02%高だ。
閣僚級米中協議を前に、米国はウィグル問題で中国を牽制している。安易な妥協はできないというメッセージではあろうが、経済に影響が出てきているのも事実で協議の行方は混沌としている。米中両国とも10月15日の関税引き上げは避けたいというのが本音のはずで、合意に至らずともこれ以上の悪化を避ける何らかの手段を取ると見ておきたいが、果たしてどうか。
日経平均株価は米中貿易協議への懸念により2万1389円と下落している。大きな悪材料が出ない限り、貿易協議の結論が出るまでは、2万1300円台後半から2万1600円台前半で推移すると予想する。後場に関しても上値は重いながらも2万1300円台は維持するだろう。