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日本電産、25年までに売上高を3倍の5兆円に引き上げ=関係筋

発行済 2020-02-01 01:43
更新済 2020-02-01 01:45
日本電産、25年までに売上高を3倍の5兆円に引き上げ=関係筋
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白水徳彦 山崎牧子

[東京 1日 ロイター] - 複数の関係筋によると、日本電産 (T:6594)は今後5年間で売上高を現在の3倍の5兆円程度に引き上げる計画だ。電気自動車 (EV) のパワートレインシステムに注力するほか、他社のモーター技術全般を買収することなどを通じて達成を目指すという。

同社は早ければ2月4日にも、日産自動車 (T:7201)の副最高執行責任者(副COO、58)だった関潤氏を社長に迎える人事と並んで、成長戦略の詳細を発表する見通し。関氏の就任は4月1日付。日本電産の新たな収益拡大の牽引役になることが期待されている。

関係筋の1人は「EVモーターシステムは当社の成長戦略の要だ」と語り、業界で一般的に「eAxle(イーアクスル)」と呼ばれている統合EVパワートレイン・システムに言及。この技術は、モーターとパワーエレクトロニクス、トランスミッションを統合した、EV・ハイブリッド車向けのパワートレイン技術を指している。

同筋は「eAxleの市場は大きいが、それは当社の成長戦略の2本柱の1つにすぎない。成長のもう1つの大きな鍵は他社のモーター関連技術の合併と買収だ」と述べた。

日本電産は、広州汽車集団(GAC) (SS:601238)や仏自動車大手PSA (PA:PEUP)などの自動車メーカーにeAxleを供給する。同筋などによると、これをさらに「より効率的に小型に安価に」するため、技術を大幅に向上させる計画だという。

しかし同筋は、日本電産の成長は電気自動車以外のモーター技術からもたらされるべき、ともいう。

家電製品から携帯電話、ノートパソコン、その他の機器に至るまで、「日本電産は今後もM&Aに積極的に取り組み、たとえ小規模でも魅力的な技術研究所や新興企業を買収していく」とした。

どちらの情報筋も、報道機関との対話を許可されていないため、匿名を条件に明らかにした。

日本電産の中長期的なビジョンは、2025年までに売上高を5兆円にすること。創業者で会長の永守重信氏は、2030年までに10兆円にするという会社のビジョンを示唆しているが、達成までの過程は明らかにしていなかった。

永守会長は1月下旬の記者会見でパワートレイン事業に「約5000億円の投資が必要」と強調。会見では、日本電産がどのように資金調達を計画しているかについては具体的に明らかにしなかった。ロイターが取材した2人の関係者も、新戦略のために日本電産がどのように5000億円を調達する計画なのか、具体的には把握していなかった。

しかし、これらの関係者によると、日本電産はこの資金を使って、既存のeAxle技術の品質と性能を向上させるための新技術とノウハウを獲得する計画だという。自動車メーカーがガソリン車から電気自動車への転換を進める中、電気自動車の普及が加速すると判断したためだ。

フィラデルフィアに拠点を置く調査会社AutoForecast Solutionsは、2026年に生産が予想される9814万台の自動車のうち、5.6%に相当する546万台が、バッテリー電気自動車 (電気のみを動力源とする自動車) になると予測している。ガソリンと電気のハイブリッド車 (HV) など、いわゆる 「電気自動車」に属するものは全体の13.6%に当たる1333万台に上るとみられる。

業界関係者や専門家によると、日本電産や独ボッシュ (ROBG.UL)、トヨタ自動車 (T:7203)の関連会社「BluE Nexus(ブルーイー ネクサス)」といったメーカーが直面している主要な課題は、この技術のコストを1500ドル程度かそれ以下に抑えることだという。現在、一般的なeAxleの原価を考慮した適正とされる価格は2000ドル程度だが、当面は達成が困難なため、各社とも損を覚悟で自動車メーカーなどに1500ドルの程度の価格で提供している。

業界関係者や専門家によると、現在、多くのメーカーが数千ドルの損失を出しながらも自動車メーカーにeAxleを販売している大きな理由は、シェアの獲得だ。まず市場シェアを獲得し、次に規模のメリットを使って製造コストを削減、採算を改善しようとしているからだという。

同社が今後のeAxle事業に自信を持つのは、自動車メーカーのゼロエミッション化やガソリン車への依存度の低下に伴い、世界の自動車メーカーがスマートフォンやノートパソコンメーカーのように自動車を設計するようになるとの見方が背景にあるからだ。

永守会長は1月23日の記者会見で「エアコンやパソコンはメーカーごとに外観は異なるが、中を開けたら全部同じ部品」と指摘。同社がEV駆動装置に注力する理由を説明した。

つまり日本電産は、自動車─特に電気自動車─において、ノートPCやスマートフォン、その他の家電に広く使用されるインテル (O:INTC)製のチップと同じように、その主要部品には共通のものが使われるようになるという確信に賭けている。

関新社長を待ち受ける大きな課題の1つは、同社が計画しているM&Aによる急速な事業拡大を指揮し、中国をはじめとする世界中で高品質なEVパワートレインを生産していくことだ。

ある関係者は「関新社長の最大の課題は人材面にある」と指摘。「一時走るのを停止して焦点を絞る必要があるかもしれない」と話した。

日本電産はこの報道に関するロイターからの問い合わせについて「コメントできない」と答えた。

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