[上海 14日 ロイター] - 中国の個人投資家がMMF(マネー・マーケット・ファンド)を解約して株式への投資を増やしている。新型コロナウイルスの流行で打撃を受けた国内経済が政府の支援策で急回復するとの期待が背景だ。
コンサルティング会社Zベン・アドバイザーズのリポートによると、第2・四半期は中国のMMFから1兆2300億ー2兆元(1750億ー2850億ドル)の資金が流出した。
「今回の(株高の)主役は、MMFを積極的に解約し、新規に設定された株式ファンドに投資している個人投資家」だという。
上海証券取引所に上場する最大のマネーマーケットETF(上場投資信託)である「華宝テンイETF」 (SS:511990)も、受益権口数が今月13日時点で7億1400万口と、4月の9億1300万口から22%減少している。
MMFの運用会社は大量の解約に対応するため、短期証券の売却を迫られている可能性が高く、短期市場金利の上昇につながるとみられている。
中国銀河証券のアナリスト、Fu Yanping氏は、こうした資金シフトが長期にわたって続く可能性があると指摘。投資先の選択肢が少ないとの見方を示した。不動産は魅力に欠け、信託商品や銀行の理財商品も、デフォルト(債務不履行)の発生を受けて投資家が敬遠しているという。
一方、中国のA株市場は値上がりが続いている。上海総合指数 (SSEC)と優良株で構成するCSI300指数 (CSI300)は第2・四半期にともに13%上昇。
ハイテク株が多い深セン証券取引所の創業板(チャイネクスト)指数 (CNT)は、中国政府が新規株式公開(IPO)改革を進める中、第2・四半期に30%値上がりした。
大半のMMFは7日間の利回り(年率換算)が2%前後となっている。
個人投資家の株式投資熱が高まっていることは、株式ファンドの人気ぶりからもうかがえる。新規設定ファンドはわずか数時間で数十億元を集めており、中には応募超過で受け付けを中止するケースも出ている。