[東京 18日 ロイター] - 東証マザーズ指数 (MTHR)が堅調だ。東証1部上場の大型株が高止まりしていることや、米国株市場で成長株に対する期待が高まっていることなどが背景とされ、この新興株の活況が日経平均の2万4000円トライに向けて弾みとなるかにも目が向けられている。
マザーズ指数は18日、一時1087ポイント台まで上昇。6月26日に付けた年初来高値を上回り、2018年7月2日以来2年1カ月ぶりの高値を付けた。
背景の一つには、大型株のもたつきがある。日経平均は14日の取引時間中に2万3338円79銭まで上昇し、新型コロナウイルス感染拡大を受けた急落前の水準をほぼ回復したが、その後は伸びを欠き、2万3000円を割り込んだ。手掛かり材料に乏しい中で東証1部の売買は膨らまず、相対的に値動きのいい中小型株に資金がシフトしやすい状況だ。
米国株市場でハイテク中心のナスダック総合指数 (IXIC)が史上最高値圏で推移し、同じく成長株が多く上場しているマザーズ銘柄が物色されやすい地合いでもある。「(著名投資家の)ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハザウェイ (N:BRKa)が航空株や銀行株を売ったことからみても、シクリカル・バリュー株は厳しい。コロナ時代に対応できるIT関連や巣ごもり関連が選好されやすい」(アイザワ証券の市場情報部長、坂瀬勝義氏)。
アイザワ証券の坂瀬氏は「マザーズはバイオ関連が注目を集めやすいが、サーバーワークス (T:4434)やリックソフト (T:4429)など、クラウド関連やソフトウエア開発関連も多くある。経営リソースをコロナ耐性のある事業に集中させた企業には次の決算への期待感も出ている」と話す。
<需給面の改善も>
一方、マザーズ指数が年初来高値を付けた6月との違いとして需給面での改善を指摘する声もある。6月は、新型コロナウイルスの感染拡大による景気悪化や環境変化などを理由に新規上場(IPO)をいったん中止にした企業が「リベンジIPO」してきた時期と重なる。現在、マザーズ市場へのIPOラッシュは落ち着き、購入資金確保のための換金売りが収まってきたもよう。
さらに「中小型投信の解約売りが6月に比べて和らいできた」(東海東京調査センターのシニアエクイティマーケットアナリスト、仙石誠氏)との指摘もある。マザーズ指数は3月の急落からほぼ一本調子で上昇したため、6月は中小型投信の利益確定や戻り待ちの売りが出やすかったという。換金売りや中小型投信の解約売りが落ち着いたことで、「個人の買いが指数に反映しやすくなっている」(同)という。
市場からは、マザーズ指数の上昇は個人投資家の投資意欲を反映しやすいため、日経平均の先行指標になるかもしれない、との声も出ている。
「7月第5週の個人投資家による日本の現物株と先物合計の売買は4168億円の買い越しだった。2月から3月にかけて個人の買い越しが続いた後に日本株が上昇した経緯を踏まえれば、個人の物色が次の上昇相場を形成する先導役になる可能性がある。『相場巧者』の個人投資家の動きに目が離せない」(国内証券)としている。
(杉山健太郎 グラフ作成:田中志保 編集:青山敦子)