[ソウル 8日 ロイター] - 韓国の現代自動車は8日、自動運転の電気自動車(EV)開発で米アップルと現在は協議していないと明らかにした。
これを受け、0330GMT(日本時間午後0時30分)時点で現代自の株価は4.2%安となり、時価総額が21億ドル減少。操業面でアップルの提携先になると韓国メディアで報じられていた現代自の系列会社、起亜の株価も12%急落し、43億ドルの時価総額が吹き飛んだ。
現代自と起亜は8日、市場のうわさについて投資家への定期的な情報提供を義務付ける証券取引所の規定に基づき提出した文書で、「自動運転EV共同開発での協力についてさまざまな企業から要請を受けている。ただ、初期段階で何も決まっていない」と説明。「自動運転車の開発についてアップルと協議していない」と明言した。
韓国メディアは1月上旬、アップルと現代自が自動運転EVを2027年までに開発し、現代自または起亜の米国工場で電池を開発する計画について協議していると報道。これを受けて現代自は「アップルと現代自動車は協議を行っている。ただ、初期段階で何も決まっていない」と発表していた。
だが現代自はその後、アップルへの言及を削除した新たな声明を発表。企業名を特定せずに、EVでの協力要請を受けているとしていた。
アップルは自動車生産を巡る現代自との協議を確認していない。
ロイターは昨年12月、アップルが自動運転技術の開発を推し進め、自社開発の最先端の電池を搭載した乗用車の製造を2024年にも開始することを目指していると報じた。
アナリストは、提携計画がメディアにリークしたことを受けて協議が決裂した可能性があると指摘。アップルが現代自を戦略提携先ではなく製造業者として扱うことにこだわった可能性があるとの見方も出ている。
現代自と起亜を傘下に持つ現代自動車グループ内部では、アップルとの提携の可能性を巡り意見が割れ、一部の幹部はアップルの委託製造業者になるのを懸念していた。
アナリストは、協議が決裂した理由について、提携計画がメディアに漏れたこと、あるいはアップルが現代自を戦略的パートナーではなく委託製造業者にとどめることに固執したことが原因の可能性があると分析する。
SK証券のアナリスト、コン・スンウ氏は「両社間の協議について、守秘義務契約があったはずなのに、多数の報道が出てしまったのでやりにくくなったのだろう」と指摘。
eBestインベストメント&セキュリティーズのアナリスト、ケビン・ユー氏は「現代自がアップルとのやりとりについてあまり快く思っていなかったのが明白だ。アップルのサプライヤーあるいは委託製造業者として扱われたくないことを明確にした」と述べた。
*内容を追加しました。