[8日 ロイター] - 米電気自動車(EV)メーカー大手テスラは8日、暗号資産(仮想通貨)のビットコインに約15億ドル投資したと明らかにし、テスラ車両や製品の購入でビットコインを受け付ける見通しとした。
テスラの発表を受け、ビットコイン は一時16%急騰し、過去最高値の4万4080ドルを付けた。機関投資家の買い意欲などに支えられ、過去1年間で約350%上昇している。
テスラは規制当局への提出文書で、ビットコイン購入は投資計画の一環で、資産の多様化とリターンの最大化が目的と説明。今後「時折もしくは長期的に、デジタル資産を購入、保有する」可能性があるとの見通しを示した。同社は、昨年末時点で193億8000万ドルの現金および現金同等物を保有していた。
さらに、「わが社は近い将来、適用法に沿って、まずは限定的に支払い手段としてのビットコイン受け入れ開始を想定している」と明らかにした。
市場では、テスラ以外にも資産運用大手ブラックロック、決済サービスのスクエアやペイパルなどが今後ビットコインに投資すると予想されている。
米グレート・ヒル・キャピタルの幹部、トーマス・ヘイズ氏は「あまり重要でない人物が資産の一部をビットコインに投じることを決めてもそれほど重大に受け止められなかっただろう」と指摘。「しかし世界一の富豪による決定ならば誰もが改めて検討せざるを得ない」とした。
テスラによる投資のニュースを受けて暗号資産取引が急増したことから、コインデスクによると、仮想通貨取引所のコインベース、ジェミニ、バイナンスなどで技術的な問題が発生した。
仮想通貨の調査会社メサリのエリック・ターナー氏は「世界屈指の企業がビットコインを保有し、テスラ株を保有する投資家もビットコインへのエクスポージャーを持つことになる」とし、テスラの動きがビットコインを巡る形成を一変させ、「企業がビットコインへの資産分散を加速させる」可能性があると予想した。
8日の金価格は1%超上昇し、暗号資産のイーサリアムは過去最高値を更新した。
テスラが投資を決める以前にも、ツイッターのジャック・ドーシー最高経営責任者(CEO)らが設立した決済会社スクエアや米ソフトウエア会社マイクロストラテジーがビットコインを購入したと明らかにしている。
RBCキャピタル・マーケッツのアナリスト、ミッチ・スティーブス氏は、アップルが次に暗号資産市場に参入する大手企業になるかもしれないと予想。モバイル端末用アプリ「アップルウォレット」でのビットコイン交換を可能にすると同時に、会社資金の一部を暗号資産に投じることが考えられるとした。
*内容を追加しました。