執筆:Yasin Ebrahim
Investing.com -- 米国債利回りの低下による銀行株の低迷と、ロシアがウクライナへの攻撃を強化し、原油価格が1バレル100ドルを超えたことで、経済見通しへの懸念が高まったことで、火曜日にS&P500種株価指数は下落した。
S&P 500は1.6%、ダウ平均は1.8%、598ポイント、ナスダックは1.6%それぞれ下落している。
ロシアは火曜日、同国第2の都市ハリコフで激しい攻撃を開始したと報じられた後、ウクライナの首都キエフへの進撃を継続した。
ロシアとウクライナの紛争が続く中、リスクオフの流れから物価と逆相関で取引される米国債利回りが低下し、SVB Financial Group (NASDAQ:SIVB)、Zions Bancorporation (NASDAQ:ZION)、Regions Financial (NYSE:RF)などの地方銀行を中心に金融株が売られた。
大手銀行株も大きな打撃を受け、JPMorgan Chase & Co (NYSE:JPM)は52週間ぶりの安値にまで急落した。Wells Fargo & Company (NYSE:WFC)とBank of America Corp (NYSE:BAC)も大幅安となった。
地政学的な緊張と同様に、米国債の利回りも、米連邦準備制度理事会(FRB)が当初の予想ほど積極的な利上げに踏み切らないとの見方により、低下圧力を受けている。
Investing.comのFed Rate Monitor Toolによると、50bps(0.50%)の利上げを行う確率は先週の34%から約1%に低下している。
地政学的緊張の継続による潜在的な供給途絶が、国際エネルギー機関が価格上昇を緩和するために緊急準備から6千万バレルの原油を放出したことを相殺し、米国の原油価格は2014年以来初めて1バレル100ドル以上にまで上昇した。
APA Corporation (NASDAQ:APA)、Chevron Corp (NYSE:CVX)、Occidental Petroleum Corporation (NYSE:OXY)などが大きく上昇し、OXY株は7%を超える上昇となった。
また、リスク・オフによって米国債利回りは低下したが、本来であれば金利低下はハイテク企業のような市場のグロース株にとって望ましいものだが、昨日は大手ハイテク企業も下落する展開となった。
Alphabet (NASDAQ:GOOGL)を除き、Apple (NASDAQ:AAPL)、Amazon (NASDAQ:AMZN)、Microsoft (NASDAQ:MSFT)、Meta Platforms (NASDAQ:FB) は1%を超える下落となった。
業績面では、Target Corporation (NYSE:TGT)が予想を上回る第4四半期決算と、コロナ禍後の成長ペースが続く可能性を示唆するガイダンスを発表し、大きく上昇した。
Zoom Video Communications Inc (NASDAQ:ZM)は、売上と最終収益の両方で好調な四半期決算を発表したが、ビデオ会議ソフトウェアの需要の鈍化を指摘した第1四半期および通期ガイダンスで相殺され、7%下落した。RBCは、ガイダンスが「重要な収益の減速」を示唆しているとして、Zoomの目標株価を300ドルから200ドルに引き下げたが、同行は、「センチメントは底打ちに近いかもしれない」という期待から、株式のアウトパフォーム評価を維持いる。
Lucid Group Inc (NASDAQ:LCID)は、売上が予想を下回り、予想を上回る損失を計上し、株価は13%以上下落した。
一方、経済データでは、米国製造活動は2月に予想より強かったが、サプライチェーンの苦境は引き続き続いている。
「このデータは、在庫を再建し、受注残を解消するための闘いにあまり大きな進展を反映していない」と、Jefferies はメモで述べている。