■アウトソーシング (TYO:2427)の会社概要
(3) 国内サービス系アウトソーシング事業
主に米軍施設等官公庁向けサービス等を提供している。
米軍施設向け事業(沖縄等)は、参入障壁が高いうえ、景気変動の影響を受けにくい分野であり、米軍基地内福利厚生施設への派遣や請負のほか、滑走路や格納庫等の軍事設備の改修・メンテナンス業務の請負も手掛けている。
今後はすでに進出済みのグアムをはじめ、環太平洋(ハワイ、アラスカ等)や米国本土へ展開する計画である。
一方、インバウンドを見据えた観光分野(ホテルなどの宿泊施設、ショッピングモールなどの商業施設、空港・駅などの公共施設など)についてはコロナ禍の影響により低調に推移しているが、今後は需要拡大が見込めるコールセンターや警備請負、eコマース関連、公共事業関連等に注力していく。
(4) 海外技術系事業
在外子会社にて、欧州及び豪州を中心にITエンジニアや金融系専門家の派遣サービス等を提供している。
特に、先進国で拡がりつつあり、安定的な公的サービスの民間委託市場に注力し、英国での政府系BPO事業(AIを活用した公的債権回収など)や豪州での公共機関向けICT技術者等のアウトソーシング、アイルランドを中心とする欧州各国で、IT、製薬、ライフサイエンス、ヘルスケア向けのスペシャリスト派遣などを手掛けている。
また、オセアニアにて、日本のKENスクールと同様のスキーム(未経験者や低スキル者を育成してエンジニアとして配属)にも取り組んでいる。
(5) 海外製造系及びサービス系事業
在外子会社にて、アジア、南米、欧州等において製造系生産アウトソーシングへの人材サービス及び事務系・サービス系人材の派遣・紹介事業や給与計算代行事業を提供している。
また、欧米、豪州において公共機関向けのBPOサービスや人材派遣、欧州とアジアにおいて国境を越えた雇用サービスにも注力している。
特に、EC拡大に伴って需要が伸びている流通系の強化や、国境を越えた人材流動化への対応を図るとともに、民間への委託が進む公共関連事業(刑務所や空港等の公共施設での各種アウトソーシングなど)を手掛けている。
2. 企業グループの状況
同社グループは、同社や連結子会社等の合計248社(国内46社、海外202社)によって構成されている(2021年12月末現在)。
相次ぐM&Aの実施や新しい産業への進出等によりグループ企業数も大きく増加してきた。
同社は、景気の影響を受けにくい公共事業関係のアウトソーシング等を中心にグローバル展開し、グループシナジーの最大化を追求する戦略である。
3. 沿革
同社は、現 代表取締役会長兼社長の土井春彦(どいはるひこ)氏が、1997年に生産工程の業務請負事業を目的として静岡県に設立した。
トヨタ自動車 (TYO:7203)グループをはじめとする自動車関連業界に強い顧客基盤を確立するとともに、全国の生産拠点における生産アウトソーシング需要に対応することで業容を拡大してきた。
2004年にジャスダック証券取引所(現 東京証券取引所(以下、東証)JASDAQ(スタンダード))に上場し、その後、円高の進行等を背景として国内メーカーによる海外への生産移管が加速されると、同社も2010年の中国進出を皮切りに、2011年に東南アジア・オセアニア地域5ヶ国、2013年にマレーシア、2014年にインド、2015年にはカンボジアに相次いで進出するなど、積極的な海外展開を図ることで業績を伸ばしてきた。
その一方で、リーマンショックや東日本大震災などを原因とした景気変動による影響を受けやすい事業特性からの脱却や今後の環境変化(生産の海外移管、国内人口の減少、産業構造のシフト等)への対応を図るため、積極的なM&Aや採用投資により、成長性や付加価値の高いIT及び建築分野などを中心とした「国内技術系アウトソーシング事業」の強化にも注力してきた。
2011年以降は海外事業やIT関連分野が同社の成長をけん引しており、2012年には東証2部へ上場、2013年3月に東証1部指定となった。
2015年12月期には、豪州のIT及び金融システム分野に強い人材サービス会社や、英国及びベルギーを地盤としてOracle (NYSE:ORCL)製品に特化したITコンサルタントを提供する専門会社のほか、チリの大手人材サービス企業グループを相次いで子会社化した。
また、事業拡大の余地が大きい米軍施設内アウトソーシング事業(沖縄等)を開始して受注を獲得するなど、同社の重点戦略であるIT関連分野の強化や新たな産業への進出、海外事業の拡大に取り組んだ。
2016年12月期には、先進国各国で拡大している公的サービスの民間委託市場への進出を加速するため、豪州及び英国で大型M&Aを実施するなど、景気変動による影響を受けない事業構造への変革を進めながら、大幅な事業拡大を実現している。
2017年12月期以降においても、Orizonグループの連結化によるドイツへの進出、アメリカンエンジニアコーポレイションの連結化による米軍施設向け事業の拡大を図ったほか、2018年5月には、オランダ及びポーランドを中心とした欧州に人材採用ネットワークを持つOTTO Holding B.V.(以下、OTTO)グループを連結化し、グローバル規模での人材流動化スキームの基盤を確立した。
2021年1月にはグローバルに展開する優良顧客網を持つCPLを連結化し、事業基盤のさらなる拡充を図った。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
(3) 国内サービス系アウトソーシング事業
主に米軍施設等官公庁向けサービス等を提供している。
米軍施設向け事業(沖縄等)は、参入障壁が高いうえ、景気変動の影響を受けにくい分野であり、米軍基地内福利厚生施設への派遣や請負のほか、滑走路や格納庫等の軍事設備の改修・メンテナンス業務の請負も手掛けている。
今後はすでに進出済みのグアムをはじめ、環太平洋(ハワイ、アラスカ等)や米国本土へ展開する計画である。
一方、インバウンドを見据えた観光分野(ホテルなどの宿泊施設、ショッピングモールなどの商業施設、空港・駅などの公共施設など)についてはコロナ禍の影響により低調に推移しているが、今後は需要拡大が見込めるコールセンターや警備請負、eコマース関連、公共事業関連等に注力していく。
(4) 海外技術系事業
在外子会社にて、欧州及び豪州を中心にITエンジニアや金融系専門家の派遣サービス等を提供している。
特に、先進国で拡がりつつあり、安定的な公的サービスの民間委託市場に注力し、英国での政府系BPO事業(AIを活用した公的債権回収など)や豪州での公共機関向けICT技術者等のアウトソーシング、アイルランドを中心とする欧州各国で、IT、製薬、ライフサイエンス、ヘルスケア向けのスペシャリスト派遣などを手掛けている。
また、オセアニアにて、日本のKENスクールと同様のスキーム(未経験者や低スキル者を育成してエンジニアとして配属)にも取り組んでいる。
(5) 海外製造系及びサービス系事業
在外子会社にて、アジア、南米、欧州等において製造系生産アウトソーシングへの人材サービス及び事務系・サービス系人材の派遣・紹介事業や給与計算代行事業を提供している。
また、欧米、豪州において公共機関向けのBPOサービスや人材派遣、欧州とアジアにおいて国境を越えた雇用サービスにも注力している。
特に、EC拡大に伴って需要が伸びている流通系の強化や、国境を越えた人材流動化への対応を図るとともに、民間への委託が進む公共関連事業(刑務所や空港等の公共施設での各種アウトソーシングなど)を手掛けている。
2. 企業グループの状況
同社グループは、同社や連結子会社等の合計248社(国内46社、海外202社)によって構成されている(2021年12月末現在)。
相次ぐM&Aの実施や新しい産業への進出等によりグループ企業数も大きく増加してきた。
同社は、景気の影響を受けにくい公共事業関係のアウトソーシング等を中心にグローバル展開し、グループシナジーの最大化を追求する戦略である。
3. 沿革
同社は、現 代表取締役会長兼社長の土井春彦(どいはるひこ)氏が、1997年に生産工程の業務請負事業を目的として静岡県に設立した。
トヨタ自動車 (TYO:7203)グループをはじめとする自動車関連業界に強い顧客基盤を確立するとともに、全国の生産拠点における生産アウトソーシング需要に対応することで業容を拡大してきた。
2004年にジャスダック証券取引所(現 東京証券取引所(以下、東証)JASDAQ(スタンダード))に上場し、その後、円高の進行等を背景として国内メーカーによる海外への生産移管が加速されると、同社も2010年の中国進出を皮切りに、2011年に東南アジア・オセアニア地域5ヶ国、2013年にマレーシア、2014年にインド、2015年にはカンボジアに相次いで進出するなど、積極的な海外展開を図ることで業績を伸ばしてきた。
その一方で、リーマンショックや東日本大震災などを原因とした景気変動による影響を受けやすい事業特性からの脱却や今後の環境変化(生産の海外移管、国内人口の減少、産業構造のシフト等)への対応を図るため、積極的なM&Aや採用投資により、成長性や付加価値の高いIT及び建築分野などを中心とした「国内技術系アウトソーシング事業」の強化にも注力してきた。
2011年以降は海外事業やIT関連分野が同社の成長をけん引しており、2012年には東証2部へ上場、2013年3月に東証1部指定となった。
2015年12月期には、豪州のIT及び金融システム分野に強い人材サービス会社や、英国及びベルギーを地盤としてOracle (NYSE:ORCL)製品に特化したITコンサルタントを提供する専門会社のほか、チリの大手人材サービス企業グループを相次いで子会社化した。
また、事業拡大の余地が大きい米軍施設内アウトソーシング事業(沖縄等)を開始して受注を獲得するなど、同社の重点戦略であるIT関連分野の強化や新たな産業への進出、海外事業の拡大に取り組んだ。
2016年12月期には、先進国各国で拡大している公的サービスの民間委託市場への進出を加速するため、豪州及び英国で大型M&Aを実施するなど、景気変動による影響を受けない事業構造への変革を進めながら、大幅な事業拡大を実現している。
2017年12月期以降においても、Orizonグループの連結化によるドイツへの進出、アメリカンエンジニアコーポレイションの連結化による米軍施設向け事業の拡大を図ったほか、2018年5月には、オランダ及びポーランドを中心とした欧州に人材採用ネットワークを持つOTTO Holding B.V.(以下、OTTO)グループを連結化し、グローバル規模での人材流動化スキームの基盤を確立した。
2021年1月にはグローバルに展開する優良顧客網を持つCPLを連結化し、事業基盤のさらなる拡充を図った。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)