[チューリッヒ 29日 ロイター] - 経営不振に陥っているスイスの金融大手クレディ・スイスが29日開いた年次株主総会で、2020会計年度の経営陣の責任を免除するという取締役会の提案を大差で否決した。一連の巨額損失に対する投資家の憤りが募っていることを鮮明にした。
取締役会が、経営破綻した英金融会社グリーンシルのサプライチェーン・ファイナンス・ファンド(SCFF)に関する法的な免除対象から除外した後でも35.88%の賛成にとどまった。
アクセル・レーマン会長は、取締役会がこの結果を遺憾に思っていると語った。
21年に積み上がった数十億の損失に揺れるクレディ・スイスは、一連の不祥事や訴訟によって赤字が続き、27日発表した22年第1・四半期決算でも赤字を計上した。
今年1月に就任したレーマン氏は会長として初めての株主総会で、クレディ・スイスは信頼を取り戻すために努力しなければならないと訴え。「私たちが直面している大きな課題は、大きな決意と一貫性をもって目標に向かって着実に取り組むこと、そうすることで顧客や従業員、規制当局、投資家の信頼を取り戻し、長期的に信頼を維持することだ」と表明した。
スイスでは企業の経営陣が故意または重大な過失による義務違反の責任を問われることがあり、毎年株主は経営陣の前年の法的責任を免除するかどうかを尋ねられる。
今回の総会での投票は2会計年度に及んだ。これはクレディ・スイスが21年の総会で、2つの不祥事について調査中なのを理由に議題から撤回したため。これらの不祥事には、グリーンシルのSCFFに関する100億ドルの損失が含まれる。
議決権行使助言会社は、後の不祥事につながったとするリスクと統制の不備を理由に投資家に20年の免責支持を拒否するよう勧めていた。
助言会社は、企業統治を改善するための「有意義なステップ」を踏んだ上で、21年の免責については賛成票を投じるよう株主に勧めていた。
株主は21年の免責を承認し、SCFFを巡る事項も除外された。