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インテリックス Research Memo(9):2024年5月期以降、利益は高成長ステージへ(2)

発行済 2023-03-07 15:39
更新済 2023-03-07 15:46
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*15:39JST インテリックス Research Memo(9):2024年5月期以降、利益は高成長ステージへ(2) ■インテリックス (TYO:8940)の今後の見通し

今回の中期経営計画では、2025年5月期にリノヴェックスマンションの販売目標を1,603件(2022年5月期1,129件)としており、このうち約50%となる800件を「エコキューブ」とする計画となっている。
2022年5月期の実績については施工件数ベースで100件を超えた水準だったと見られ、2023年5月期は導入率で40%を目標としている。
第2四半期累計実績では11%にとどまっているが、下期より本格的にプロモーションを展開し販売を加速していく予定となっている。
具体的には、2022年12月末より首都圏でテレビCMやターミナル駅等での街頭大型ビジョンでの広告を開始したほか、2023年からは交通広告やインターネット動画広告なども開始した。
2024年5月期からは地方主要都市でもテレビCMを展開し、認知度の向上を図っていく予定だ。


省エネとQOLの向上という長所を訴求し、ブランド力を高めていくことができれば、販売ペースも今後一段と加速し各エリアでシェアを拡大していくものと期待される。
中古マンション市場での同社の販売シェアは1ケタ台前半の水準であるため、業界全体が伸び悩んだとしてもシェア拡大による成長余地は大きい。
施工面においても、物件構造上の制限(1階、最上階、ダクトのサイズと個数等)に対応した施工技術を開発しており、供給面での制約もほぼなくなった。
先行指標となる着工ベースのエコキューブ導入率は2022年12月時点で21%まで上昇しており、今後のさらなる販売拡大が期待できる状況となっている。


ちなみに、今後3年間で累計1,950件の「エコキューブ」を販売したとすると、CO2の削減効果は年間975トン、杉の木換算で約11.1万本分(東京ドーム換算で約24個分)に相当するとの試算※もある。
政府は脱炭素社会に向けた取り組みとして、2030年までに温室効果ガスを46%削減(対2013年比)し、このうち家計部門についてはCO2排出量を66%削減することを目標に掲げている。
目標を達成すべく、新築住宅等については2025年度から省エネ基準への適合を義務付ける改正建築物省エネ法が2022年5月に成立した。
ただ、既存住宅(約5,000万戸)のうち現行の省エネ基準(一定基準以上の断熱性能)を満たしている住宅は全体の10%にとどまっており、こうした住宅に対して省エネ型リノベーションを促進すべく、補助金や減税など国の支援策が今後も継続していくものと予想される。
こうしたことからも、「エコキューブ」が普及していく市場環境であることは間違いなく、業界に先んじて省エネ型リノベーション商品を投入した同社の成長機会は従来よりも一段と高まっているものと弊社では見ている。


※延床面積65m2の集合住宅を想定。
北海道大学大学院工学研究院 環境システム工学研究所室 葛准教授の試算による。



同社は「エコキューブ」の普及促進を図るために、FC事業展開も子会社の(株)リコシスで2022年4月から開始している。
サービス内容としては、温熱計算や補助金申請代行のほか、設計施工や資材調達、営業等の各種サポートを行う。
まだ加盟社数は少ないものの、「エコキューブ」が売れる商品であることが認知されるようになれば自ずと増えてくるものと考えられる。
同社は加盟店100社体制を当面の目標としており、同社グループの安定成長を推進する事業の1つとして育成していく考えだ。
加盟企業としては既存の協力会社のほか、同業となる中古マンション買取再販業者や工務店などを想定している。
「エコキューブ」が普及拡大していけば、リノベーション内装事業の売上成長も期待でき、今後の同社の業績をけん引していくことになる。


(2) 不動産直販プラットフォーム「FLIE」
同社は2019年11月に連結子会社、(株)FLIEを設立し、中古マンションの直販サイト「FLIE」の運営を開始した。
同プラットフォームでは買主と売主(不動産会社)が直接やり取りするため買主は仲介手数料(取引物件価格の約3%)が不要となるというメリットがある。
金利上昇により消費マインドの低下が懸念されるなかで、住宅購入コストを節減できる直販サイトの需要は今後増加していくものと予想される。


2023年1月時点の掲載エリアは首都圏のみだが、掲載件数は2,100件超(2022年7月時点1,500件超)と順調に増加し、直販サイトとしては日本最大級の規模となっている。
同社は2023年5月期下期中に掲載エリアを全国規模に拡大していく予定で、「エコキューブ」等の自社物件の販売拡大にもつながる取り組みとして注目される。


同社では、ユーザーの利便性向上につながる各種機能の開発も進めている。
具体的には、スマートフォンを使ってWeb予約を行い、いつでも自由に物件内覧ができる非接触型のセルフ内見予約システム「スマビュー」を開発中で、一部の物件でテスト運用を実施し、完成度を高めている状況にある。
また、不動産物件の電子契約についても2022年に解禁されたことから、今後はサイト上で電子契約を行う機能も実装していくものと予想される。


「FLIE」での販売実績はまだ少なく当面は開発投資が先行することになるが、全国展開により取扱件数が増加すれば収益に貢献してくるものと期待される。
現在は成約手数料を売上として計上しているが、今後は物件を掲載する不動産会社に対して開発した各種付加機能を提供し、サービス利用料金等も獲得していくことを想定している。


(3) 成長投資の内訳
2025年5月期までの3年間の成長投資は累計で31億円を計画している。
内訳は新事業分野で10億円、ブランディング強化で11億円、人員・システム増強で10億円となる。
新事業分野については「FLIE」の機能拡充等の開発費用のほか、「エコキューブ」関連の費用も含まれる。
また、ブランディング強化については「エコキューブ」を含めたリノヴェックスマンションのブランディング費用が中心となる。
人員については2022年5月期末の327名から2025年5月期は428名と1.3倍に増員する計画となっている。
増員分の大半は新事業分野や間接部門となり、全体の約3分の1を占める営業人員については現状の水準を維持し、1人当たりの生産性向上(仕入件数の増加等)を図っていくことにしている。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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