[ロンドン 11日 ロイター] - 格付け会社S&Pグローバルは11日公表した報告書で、パリ五輪がフランスの財政に継続的な打撃を与える公算は小さいとの見解を示した。会場の95%は既存の建物もしくは若干の改修で済む建物を使用するなど経費が節減されているためだ。
パリ五輪の予算は約90億ユーロ(約100億ドル)と、2012年のロンドン五輪や16年のリオデジャネイロ五輪、21年に延期された東京五輪、08年の北京五輪を大きく下回る。北京五輪への支出は過去最高の527億ドルと推計されている。
パリ五輪の主要な支出は、選手村の建設費用約15億ユーロ(16億4000万ドル)、競泳会場の1億7500万ユーロ、バドミントン・体操会場の1億3800万ユーロとなっている。
S&Pは「当社は五輪がパリや中央政府といったフランスの公共セクターを強く圧迫するとは予想していない」とした。
予算の内訳は、新たな会場や施設の費用が45億ユーロ、選手の滞在や交通輸送といった運営費用が44億ユーロとなっている。
S&Pはフランスの信用格付けを「AA」、見通しを「ネガティブ」としている。
S&Pの推計では、フランスの五輪への公共支出が五輪予算総額に占める比率は28%にとどまる。国際オリンピック協会によると、チケット販売やテレビ放映権、広告などで約42億ユーロの収入が予定され、運営費用の96%を賄える見込みだ。
また訪問客のホテルやレストランなどでの支出に伴う税収増も見込まれ、五輪費用の支払いに充当できそうだ。政府は五輪の経済効果を100億ユーロと推計している。