Simon Jessop
[9日 ロイター] - 世界の最大手企業が設定している気候変動対策目標は全体としてあまりに低く、地球温暖化対策で役割を果たしていないとする最新調査が9日に公表された。
調査は、ドイツの調査機関ニュークライメート・インスティテュート(NCI)と非営利団体のカーボン・マーケット・ウォッチが共同で51社に実施。その結果、これら企業が2030年までに約束した温室効果ガス排出量の削減率は平均30%で、50年までに気温上昇を1.5度に抑制するのに必要とされる43%に達していない。
過去2年に19社で目標が改善したものの多くは内容があいまいで、事業の一部にしか関連してなかったり、削減でなく「カーボンオフセット」に依存。これにより、実質の貢献目標は5─20%にとどまってるという。
貢献率が高かったのは米食品のマース、スウェーデンの小売りH&Mグループ、イタリア電力最大手エネル、スペインのイベルドローラなどで、削減率は50─64%だった。
NCIのフレデリック・ハンス氏は「信頼できる気候変動対策へのコミットメントと切迫感が懸念されるほど欠如している企業があまりに多い」と述べた。
科学者らは、50年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロとする「ネットゼロ」を達成するには30年までに排出量を半分にする必要があるとみている。昨年は排出量も平均気温も過去最高を記録した。