- 国債の売りは高まり、株価の上昇を低下させこれからの下落を示唆している。
- モルガン・スタンレーはバリュー株へのシフトを警告している。
- 米国市場への投資家はアジア市場へ移っている。
- 米国債の利回り上昇は、セーフヘブン通貨としてドルを上昇させている。
重要なイベント
10日の米国債の利回りは上昇を再開しており、欧州STOXX 600や、先物のS&P 500、 ダウ平均、ナスダック 100は引き続き下落している。一方アジア市場は反発している。
米10年債利回りは9日の下落から反転し、利回り上昇が再開している。
9日の欧州株と米国株の上昇と同時に、利回りが下落した。一方、10日の欧州株や米国先物が下落と同時に、利回りの上昇が起こっている。
一般的に、国債利回りが下がると、株式は買われる。これは強気相場のパターンである。逆に、現在のように国債利回りが上昇している時は、株式は弱気相場となる。
モルガン・スタンレーは株式市場は「転換点」に来ていると警告している。利回りの上昇は、グロース株からバリュー株へのシフトや、テクノロジー株や一般消費財からエネルギー株/公共株/金融へのシフトに拍車をかけている。米国の投資銀行は、早ければ2019年にも調整を予想している。これは市場のセンチメントが指し示すより早く感じるかもしれない。
また、アジア株にもシフトしている。記録的な上昇をみせる米国株と比べると、アジア株は割安である。
世界の株価指数
10日の{{166|S&P 500}}は、輸出コストの上昇懸念によって0.14%下落した。素材 (-3.32%)に続いて資本財 (-1.54%)も下落した。原油の上昇とともに、エネルギー (+0.89%) は上昇している。
テクニカル的には、これらS&P500はヘッド&ショルダーを形成している。8月の安値(上図:黒い水平線)を割ってからRSIは下がってきているが、価格はまだその安値より上の水準で留まっている。
10日のダウ平均は0.21%下落した。また、ナスダック総合指数は0.03%の微増であり、 Russell 2000は0.47%落ちた。テクニカル的にはこれらの米国の主要なインデックスはMACDやRSIが売りシグナルを発している。
Russell 2000は下落したが、上昇トレンド内に収まっている。8月30日の1742.09を超えられないことは、下降トレンドに突入するだろう。
10日の 米ドルインデックスは、トランプ米大統領がFedの金融引き締めはペースが早すぎるとコメントした後に下落したが、現在反発している。テクニカル的には、米ドルインデックスは、9月下旬から10月初旬で上昇後、フラッグを形成している。
面白いことに、ドルは日本円に対しても強まっている。海外投資家は、日本円よりもより安全でリターンを望めるドル建て債を求めているのだろう。日本円よりも、再びドルがセーフヘブン通貨として好まれている。テクニカル的には、USD/JPYは7月のピークの水準によって支えられている。
ユーロは上昇を続けることはできなかった。一方、ポンドはEU離脱(ブレクジット)の進展受けて上昇していた。しかし、30から40人の労働党議員は「合意なき離脱(ノーディールブレクジット)」を避けるためにソフトブレクジット支持する可能性をタイムズ紙が伝えた後は、ポンドは上昇に苦戦していた。10日、英国とEUはブリュッセルの会議で来週の首脳会議で合意の目処を付けたいと述べている。
一方、 人民元は、通貨切り下げの議論が落ち着き、2日連続でドルに対し奮闘している。
WTI原油は、ハリケーン・マイケルによって原油生産に影響や、国際エネルギー機関(IEA)が産油国に増産訴えている背景の中で、1バレル75ドル以下まで下落している。