[上海/ソウル 18日 ロイター] - 中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]に対する米国の規制強化により、同社は汎用の半導体へのアクセスすら断ち切られ、ハイテク製品のグローバルサプライチェーンを再び混乱に陥れる──。複数の企業幹部や専門家がこうした見通しを示し、警告を発している。
トランプ米政権は17日、対ファーウェイ規制を強化。米国技術を利用して製造された半導体を特別なライセンスなしに同社に販売するのをサプライヤーに禁じた。5月の規制措置では同社がサードパーティーを通じて半導体を手に入れられる可能性があったものの、今回の規制強化はこうした抜け穴を塞ぐものだ。
上海に拠点を構えるコンサルタント会社、芯謀咨詢(ICWise)のチーフアナリスト、顧文軍氏は米国の規制強化について、「大きな影響が出る」と指摘。「子会社の海思半導体(ハイシリコン)に依存するよりむしろ外部から半導体を調達しようとしていたファーウェイの計画を狂わせるだろう」と述べた。
ファーウェイはこれまで、フラッグシップのチップセット「Kirin」について、サプライヤーに対する米国の圧力でハイシリコンによる製造継続が不可能になったとして、9月から製造をストップすることを明らかにしている。同チップセットはモバイルフォンの重要部品だ。
複数の専門家によると、半導体サプライヤーにとっても、大半が米国の設計ソフトウエア・半導体エッチング装置を使用しているため米国の規制は妨げになる見通し。
ある半導体業界筋によると、アジアでは韓国のサムスン電子 (KS:005930)とSKハイニックス (KS:000660)、日本のソニー (T:6758)、台湾のメディアテック (TW:2454)が影響を受ける可能性がある。
今のところどの程度のサプライヤーが規制に適合したライセンスを付与されるのかは不明だ。
サムスンとSKハイニックスはコメントを避けた。
ソニーの広報担当者はコメントを避けたものの、スマートフォン市場の環境変化に対応するために3カ年のセンサー投資計画を減額するとした最近の自社コメントに言及した。
メディアテックは、規制強化の内容を精査しているものの、入手できる情報を基にすれば短期的には事業に大きな影響を見込んでいないとした。
また、米国の規制はクアルコム (O:QCOM)やインテル (O:INTC)といった米国企業やその他規模の比較的小さなアジア・欧州の半導体メーカーにも影響を及ぼす見込みだ。
政治リスクコンサルタント会社ユーラシア・グループはノートで、新規制がどのように実行されるのかなどについていくつかの疑問が残っていると指摘。「(半導体供給業者は)ファーウェイ関連会社が購入者、中間受取人、最終受取人、エンドユーザーとなるかもしれない取引にかかわらないようにするため、自社製品のあらゆる行き先を知ることが義務付けられる可能性がある」とした。
ジェフリーズは調査リポートで、ファーウェイが規制強化に伴い半導体チップを調達できない場合、同社の携帯電話事業は消滅する公算が大きいと指摘。JPモルガンも同様の見方を示し、中国の小米科技(シャオミ) (HK:1810)や米アップル (O:AAPL)などにとってはシェアを拡大する機会になるとした。
ファーウェイからのコメントは得られていない。
(Josh Horwitz記者、Hyunjoo Jin記者)
*内容を追加しました。