[ブエノスアイレス 3日 ロイター] - アルゼンチンペソの公式レートと非公式レートの差が、2015年以降で最も大きくなっている。政治的な混乱や資本規制導入で、投資家がペソに対する不安を強めているためだ。
政府は1日、企業によるドルの購入と海外への送金を制限することなどを盛り込んだ外貨取引規制の再導入を承認した。8月11日の大統領選予備選で野党候補が勝利してから下落に歯止めがかからなくなったペソを支える狙いがある。
実際ペソの公式レートは2日に小幅高となった後、3日には急騰した。ただ非公式取引では2日にペソが値下がりし、3日の反発もわずかだった。このためロイターの集計では、両者のかい離率が10%近くになった。これほど大きな差は、クリスティナ・フェルナンデス・キルチネル前大統領時代の資本規制下で見られて以来だ。
コンサルティング会社センテニアル・グループ・ラテンアメリカを率いる元国際通貨基金(IMF)西半球局長のクラウディオ・ルーザー氏は「資本規制が実施されると、たとえ小規模であっても、常に不安が生じて、並行する市場に向かう人々によってそれが反映される」と指摘。これは政府や通貨への不信感の表れだとの見方を示した。
非公式取引は街頭における両替などで、本来違法だが、アルゼンチンでは数十年前から存在しており、厳格な資本規制があった局面では特に取引が活発化した。現在のマクリ政権はこれまで自由な市場を尊重し、資本規制に反対の立場を取ってきたため、非公式取引は極めて影が薄くなっていた。
しかしある外為トレーダーによると、今回の資本規制を受け、足元では非公式取引を通じたドル需要がはっきりと上向いており、公式取引でドルを買って非公式取引で売却し、利益を得ようとする人が今後増えていく公算が大きいという。