[ドバイ/ワシントン 4日 ロイター] - イランは4日、2015年の核合意で定められた義務の履行を停止する「第3弾」の措置として、ウラン濃縮活動の加速に必要な遠心分離機の開発を開始すると発表した。一方で、核合意存続に向けた欧州の対応期限を2カ月延長することも明らかにした。
米国はイラン制裁緩和の可能性を否定し、イラン産原油の密輸阻止を狙った新たな制裁を発表。フランスがイランに提案した150億ドルの信用供与枠の設定に冷ややかな反応を示したが、排除はしなかった。
こうした動きは、イランや米欧がそれぞれの立場を堅持しながらも外交余地を残していることを示唆している。
トランプ米大統領は4日、ニューヨークで今月行われる国連総会でイランのロウハニ大統領と会談する可能性に含みを残した。ただ、制裁を緩和する考えはないと明言した。
ロウハニ大統領はテレビ演説で、核合意の履行停止第3弾として、遠心分離機の開発を6日から開始すると発表した。「6日からさまざまな種類や新型の遠心分離機、さらにウラン濃縮活動の加速に必要なあらゆる研究・開発に乗り出す」とし、「6日をもってイランの研究・開発に対する制限はすべて解除される」と言明した。
米国の核合意離脱後、イランは2回にわたり義務履行を停止する措置を実施し、9月5日までに欧州が合意存続に向けた対応をとらなければ履行停止をさらに進める考えを示していた。
しかし、イラン国営テレビによると、ロウハニ大統領は「今日明日中に欧州と合意する可能性は低い。欧州は約束を果たすための時間をあと2カ月得る」と述べた。
同氏は履行停止第3弾について、「国連の監視の下で平和的に行い、欧州が約束を果たせば元に戻すことができる」とも述べた。
仏外交筋はイランの措置に遺憾を示し、「有益ではない」とした上で、引き続き解決策を模索する考えを示した。
こうした中、米政府は4日、イランのイスラム革命防衛隊の関与が疑われる石油輸送網に属する企業や船舶、個人を制裁対象に指定したと発表した。シリアに数億ドル相当の石油を供給し、米制裁に違反したという。
米国務省のイラン担当特別代表ブライアン・フック氏は記者団に対し「制裁は今後も拡大する。適用除外は一切検討していない」と述べ、最大限の圧力をかける取り組みに注力していることを強調した。
米政府はまた、イラン革命防衛隊が米制裁を回避するため「詐欺的手法」を用いているとして注意喚起し、制裁対象者と取引をする者にも制裁を科す可能性があると警告した。
さらに、革命防衛隊の資金取引などの阻止につながる情報を提供すれば最大1500万ドルの報酬を出すと発表した。
一方、スウェーデンによると、イランは7月にホルムズ海峡で拿捕(だほ)した英タンカーの乗組員23人のうち7人を解放した。タンカーはスウェーデン企業が所有している。
*内容を追加しました。