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EU、英離脱後のアイルランド国境や貿易巡り懸念深める=外交筋

発行済 2019-09-06 00:40
更新済 2019-09-06 00:46
EU、英離脱後のアイルランド国境や貿易巡り懸念深める=外交筋

[ブリュッセル 5日 ロイター] - 欧州連合(EU)が、ジョンソン英首相が示すEU離脱後のアイルランド国境や将来の貿易協定を巡るスタンスについて懸念を深めていることが、外交筋などの話で5日明らかになった。

外交官や政府高官によると、EU離脱(ブレグジット)交渉のEU側のバルニエ首席交渉官は4日、EU加盟国の代表に行った状況説明で、離脱協定案で争点となっているアイルランド国境問題の解決策 「バックストップ(安全策)」を巡り、英国側が具体的な代替策を提示していないことを明らかにした。

アイルランド政府とEUは、アイルランドと英領北アイルランドの間にハードボーダー(物理的な国境)を復活させることは、北アイルランド紛争の和平合意「ベルファスト合意」を阻害するとして、懸念を表明している。

外交官の1人は「離脱期限は迫っているが、EUは引き続き、アイルランド島のハードボーダー復活阻止、ベルファスト合意の尊重、共同市場の保護などに向け建設的な論議を進めることに前向きだ」と語った。

バルニエ交渉官によると、貿易を巡ってジョンソン首相はEU側と最低限の自由貿易協定を締結したいとの考えを明確にしている。EU側の懸念は、英政府が環境基準や労働法規制、政府援助といった基本的なガイドラインへの法的なコミットメントをやめることで、そうなれば、英国はEU市場に安価な商品を輸出できるようになる。

別の外交官は、バルニエ氏の説明を受けて「英国との必要最低限の自由貿易協定や、公平な競争条件が損なわれることへの強い懸念」が高まったと指摘。「英国が規制緩和によって『テムズ川のシンガポール』になるという概念が具現化する可能性がある」と述べた。

また、ジョンソン首相が10月17─18日に開催されるEU首脳会議で妥協を引き出せると楽観視していることについて、他の外交官は「英国はEU首脳会議ですべてが奇跡的に解決に向かうという非現実的な考えを抱いているようだ」と述べた。

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