[北京 6日 ロイター] - ドイツのメルケル首相は6日、米中貿易戦争は全世界に影響を及ぼしていると指摘し、両国が早期に問題を解決するよう望んでいると述べた。
メルケル氏は2日間の日程で中国を訪問している。
メルケル氏は、中国の李克強首相との会談の冒頭に「米国との貿易摩擦の解決を望んでいる。世界に影響している」などとコメントした。
第2・四半期のドイツの国内総生産(GDP)は前期比0.1%減となり、輸出の不振を背景にマイナス成長に陥った。有力エコノミストらは、リセッション(景気後退)入りの可能性も指摘している。
中国事業の閉鎖検討を米企業に呼び掛けるなど対中強硬姿勢を強めるトランプ大統領とは逆に、ドイツは欧州連合(EU)と中国の関係が新たな段階に入ることを望んでいる。ドイツは2020年下半期にEU議長国となるが、メルケル氏はEU・中国サミットの開催を計画している。
メルケル氏はEUと中国の投資協定について、ドイツが議長国の間に妥結することを期待していると述べた。あらゆる中国企業によるドイツへの投資を歓迎すると表明した。ただ、一部の戦略セクターや重要なインフラへの投資については、審査を行うと付け加えた。
李氏は、ドイツがより多くの中国企業を受け入れ、一部製品の輸出規制を緩和するよう望むと述べるとともに、中国は経済の開放を一段と進めるとの意向を示した。
両首脳の会談に合わせて航空機大手エアバス (PA:AIR)や保険大手アリアンツ (DE:ALVG)など欧州企業数社が中国企業と契約を交わした。
航空機大手エアバス (PA:AIR)は中国でA320型機を生産することで中国航空工業集団公司(AVIC)と合意した。独エンジニアリング大手フォイト[VOITH.UL]と中国中車(CRRC)は電動バス事業で協力を目指すとした。また独シーメンスは国家電力投資集団(SPIC)とガスタービンの開発や水素の活用などに関する覚書を締結した。
<香港デモ「平和的解決を」>
メルケル氏は李氏との共同会見で、政府への抗議活動が続いている香港問題を取り上げ、平和的解決が求められている、と指摘した。
メルケル氏は「(香港)市民の権利と自由が認められなければならないと強調した」と指摘。
「現在の状況では暴力を防ぐ必要がある。対話こそが役立つ。香港政府トップが対話を呼び掛ける兆しがみられる。それが実現し、デモ隊が市民の権利として参加する機会を得られることを期待する」と述べた。
李氏は、メルケル氏との共同会見で「中国政府は『一国二制度』、『香港市民が香港市民を統治する』を断固守る」と述べ、香港政府が「法に則って暴力と混乱を収束して秩序を取り戻す」ことを中国政府は支持していると説明した。
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