[ワシントン 11日 ロイター] - トランプ米大統領は11日、前日解任したボルトン前大統領補佐官(国家安全保障問題担当)について、北朝鮮政策で大きな失策があったと批判した。また、後任に5人の候補を検討していると明らかにした。
トランプ大統領はホワイトハウスで記者団に対し、ボルトン氏が北朝鮮の非核化を巡り、一方的な核放棄を要求する「リビア方式」に言及するなど過ちを犯したと指摘。「ボルトン氏がリビア方式について話した際、われわれの取り組みは大きく後退した。最悪だ」とし、「その後の金正恩朝鮮労働党委員長の発言を私は責めない。金委員長はそれ以降、ボルトン氏と一切関わりたがらなかった」と語った。
北朝鮮は昨年、金委員長とトランプ大統領の初の首脳会談を前に、リビア方式に言及したボルトン氏の発言を受け、会談中止を示唆した経緯がある。
トランプ氏はベネズエラ政策についてもボルトン氏と意見が食い違ったとしたが、詳細は明らかにしなかった。
さらに「ボルトン氏は私が非常に重要と考える政権関係者とうまが合わず、われわれが進めようとしていることに合致していなかった」と述べた。
アナリストは、ボルトン氏の解任によって北朝鮮の非核化協議再開に向けた機運が高まる可能性があるとする一方、同国に核放棄を迫る取り組みが容易になるとはみていない。
米国の北朝鮮分析サイト「38ノース」のジェニー・タウン氏は「今回の交代により、成功の定義やそのための手法を巡り新たなアプローチの余地が若干生まれる可能性がある」とした上で、「実際にそうなるか、ボルトン氏の見解がこの問題を巡る米国の考え方に深く根を下しているかはまだ分からない」と指摘した。
<後任に「5人の優秀な候補」>
一方、トランプ大統領はボルトン氏の後任について、「5人の優秀な候補者」を検討していると明らかにし、来週にも発表する考えを示した。上院の承認は必要ない。
共和党のグラム上院議員はFOXニュースの番組で、トランプ氏が後任候補として、ペンス副大統領の国家安全保障アドバイザーを務める元軍人のキース・ケロッグ氏や、国務省のイラン担当特別代表ブライアン・フック氏、大統領副補佐官(国家安全保障担当)を務めたリック・ワデル氏に言及したと語った。
関係筋によると、大統領はこのほか、人質問題大統領特使のロバート・オブライエン氏やスティーブン・ビーガン北朝鮮担当特別代表も検討している。
リチャード・グレネル駐独米大使も候補となる可能性があるが、トランプ大統領は同氏の大使としての仕事ぶりを評価しているという。
ホワイトハウスに近い筋によると、政権内で影響力を強めているポンペオ国務長官はケロッグ氏やフック氏を好んでいるもようだ。
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