[ロンドン 15日 ロイター] - 国際エネルギー機関(IEA)は15日公表した月報で、2020年の原油需要予想を引き下げた。2カ月連続の下方修正で、新型コロナウイルスで打撃を受けた景気の回復見通しが不透明なことが理由。
最新の予想は日量9170万バレル。前月の予想から20万バレル引き下げた。
月報は「原油需要の回復はほぼ一巡し、2020年後半はかなり失速すると予想する。景気が減速局面から完全に反転するには何カ月もかかる。加えて、すでに欧州で起こっている感染第2波で、再び移動が規制される可能性がある」と指摘した。
多くの国で感染が再び拡大し、感染防止のための規制(ロックダウン)が導入され、航空セクターは依然厳しい状況にあることが原油需要に打撃を与えているとしている。
主要国に比べてロックダウンの解除が早く、世界需要の押し上げに寄与している中国は力強い回復を継続、一方で感染拡大が深刻なインドは4月以降、最大の需要押し下げ要因となっているという。
原油生産が増加する一方で需要の見通しは悪化しているということは、世界中でロックダウンが実施された時期に積みあがった原油在庫の減少ペースが落ちることを意味すると指摘した。
石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの主要産油国が減産を縮小したため、8月の世界原油供給は日量110万バレル増加した。
一方、ハリケーン襲来で石油関連施設が操業停止した米国の生産は日量40万バレル減少した。
<OECD諸国の原油在庫、7月は過去最高>
IEAによると、先進国の原油在庫は7月に過去最高となった。
「3カ月にわたる在庫減少が6月に終わり、積み増しに転じた。経済協力開発機構(OECD)諸国の在庫は7月は32億2500万バレルと過去最高水準となった」としている。
IEAは、今年後半の在庫取り崩し量を前月の予想から約100万バレル引き下げ日量約340万バレルとした。
ただ8月の暫定データによると、商用原油在庫は米国、欧州、日本で減少。洋上タンクの備蓄量は5990万バレル減少し1億6840万バレルとなった。
それでもIEAは「暫定データによると9月は在庫量が上昇するとみられる」と指摘した。
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