[メルボルン 29日 ロイター] - アジア時間の原油先物は上昇。前日は5%急落したが、下げの一部を取り戻した。米ルイジアナ州に襲来したハリケーン「ゼータ」の影響で米メキシコ湾岸の石油生産の3分の2が停止となる中、短期的に供給が引き締まるとの見方が背景にある。
0120GMT(日本時間午前10時20分)時点で米WTI原油先物 (CLc1)は0.29ドル(0.8%)高の1バレル=37.68ドル。北海ブレント (LCOc1)先物は0.25ドル(0.6%)高の39.37ドル。
前日は供給過剰が拡大する兆候や新型コロナウイルス感染第2波を受けて原油相場が急落。ただ、市場関係者は29日の取引では、チャート上の下値支持線が意識されていると指摘。
CMCマーケッツ・アンド・ストックブローキングのチーフ・マーケット・ストラテジスト、マイケル・マッカーシー氏は「ボラティリティーの上昇はトレーダーにとって魅力的だ。37ドルの支持線への接近が今日の取引材料の1つになっている」と述べた。
Axiのチーフ市場ストラテジスト、スティーブン・イネス氏は、9月初め以降、WTIは36.45─36.95ドルのレンジで動く時間が長かったとし、このレンジ下限を割り込めば弱気シグナルになると述べた。
一方、ハリケーン「ゼータ」の影響は短期的と見込まれており、メキシコ湾岸の生産が再開すれば世界的な供給過剰が再び拡大するとみられる。
マッカーシー氏は原油の先行きに対しては、リビアの生産再開やドイツとフランスでの都市封鎖(ロックダウン)再導入など、マイナス材料が相次いでいると述べた。
ANZリサーチはリポートで、コロナ感染再拡大は石油輸出国機構(OPEC)に対し、来年1月の減産幅縮小を先延ばしするよう圧力をかけていると分析した。