[ワシントン 13日 ロイター] - 米情報機関は13日、米国の安全保障に対する世界の脅威についてまとめた年次報告書で、世界の強国を目指す中国の取り組みが最大の脅威だとの認識を示した。
同時に、米国の影響力を弱めようとするロシアの試みも主要な脅威だと指摘。イランと北朝鮮についても、米安全保障にとって課題だとした。
報告書は14─15日に開かれる上下院の情報委員会で取り上げられ、ヘインズ国家情報長官とバーンズ中央情報局(CIA)長官が証言する。
報告書では中国共産党について「中国の影響力を拡大して米国の影響力を低下させ、米政府と同盟国・パートナーの間に亀裂を生じさせる」とともに、自国の権威主義体制の受け入れを促そうと「政府一丸の取り組み」を推し進めるだろうと指摘。
同時に中国の指導者は、国益にかなう場合は米国との緊張を和らげようと「戦術的な機会」を模索するだろうと分析した。
また、米国内の重要インフラに少なくとも局所的で一時的な混乱を引き起こすサイバー攻撃能力を中国は保有しているとした。
ロシアについては、米国の影響力を弱め、西側諸国間に不和を引き起こそうとするほか、「主要なプレーヤーとして世界情勢を形作る」能力を構築しようと模索していると指摘。サイバーセキュリティー面でも依然として最大級の脅威だとした。
イランの核プログラムに関しては、現段階で主要な核兵器開発活動は行っていないとの見方を示す一方、トランプ前大統領による2015年核合意からの離脱を受けてイランが核合意に違反する「一定の核活動を再開」したと指摘。中東地域で「米国や同盟国の利益にとって脅威であり続ける」との認識を示した。
北朝鮮については、通常戦力を高めるに伴い「米国、韓国、日本に対する脅威が高まる」とし、大量破壊兵器の開発に対する北朝鮮の関心は引き続き重大な懸念事項だと指摘した。
また、金正恩総書記は核兵器になお強くコミットしており、同国は弾道ミサイルの研究開発に積極的に取り組むと同時に、化学兵器や生物兵器にも引き続き関心を持っていると分析した。